おじモンスターハンター
おじは病んでいた。
「アカン、おばぶがモンハンにはまっておじと全然絡んでくれへん……」
そんなおじの様子に気付いた人が、やさしく声をかけました、
「パン焼いてる場合じゃねえんだよ」
「ちゃうんや。おばぶがな、工場長になったらご褒美くれるって約束してん」
「うわぁ」
「なんやのその反応! ええやんか、おじだって少しくらい夢見させてくれたってバチ当たらんやろ?」
おじの声には疲れが見えていたが、その奥底には仄暗い希望があることも感じられた。
「おばぶと絡みたいならおじもモンハンやればいいじゃん」
「イヤッ!おじはな、もうおっちゃんやねん。ゲームなんてできひんねん。あー……でもな、やっぱりモンハンか……あかん、なんでみんなおじを差し置いて楽しくゲームなんかしてるんや」
「おじ大丈夫?」
「アカンイライラしてきた、何がひと狩り行こうや。ピコピコでしばいてもなんも楽しくあらへんやろ。おじわかったわ、人狩り行こうや。オマエラヤンハンターにおじはなるで!」
おじは怒りに身を任せると部屋を飛び出し、おばぶのいる部屋へと突撃していった。
***
「おばぶぅぅぅぅぅぅ!」
「え、おじじゃん。こっちくるの珍しいね。会えて嬉しい!」
「おじな、会社辞めてなろうと思うんや、オマエラヤンハンターにな!」
「えっ どしたの急にw」
「おじ気づいたねん。この世は狩るか狩られるかやねん。メインターゲットはお前らやで?覚悟せぇよ?」
「なんだよいきなり出てきて意味不明なことばっか喚いてんじゃねえ」
ケンシロウの言葉におじはにやりと笑うと、急に部屋の雰囲気が異変が起きた。どこからともなくモンスターハンターのテーマが流れ始めたのだ。緊張感が高まっていく。
「お前らおじにモンハンで勝てるんか?」
おじの挑発的な声が、モンハン部の間に響き渡った。
「え、お前らってうちも入ってる?」
少し驚きと不安が交じる声で、おばぶが尋ねた。
「もちろんや。おじは1対4でも構わへんで」
おじは決意を固めていた。おじの目は闘志に燃えており、まるで大型肉食恐竜モンスターを前にした熟練ハンターのようだった。
「無理だよおじ!」
「イヤッ、おじは勝てるで。かかってこいや」
おじが構えると、モンハン部も応戦せざるをえないのでそれぞれ武器を手に取り、戦闘態勢に入った。
「おじの大剣を見ろ、でかいやろ?」
誇らしげに言うおじが持つ大剣は、まるでおじのプライドが具現化したように天高く屹立していた。
「おじのイチモツはな、でかいだけやないねんぞ。溜めれば溜めるほど攻撃力が増すんや。ふんっ」
おじが大剣を振りかぶってチャージを開始したその瞬間、
「隙ありっ」
えーとすがヘビーボウガンでおじに麻痺弾を撃ち込んだ。
「お前ら、そんな小細工がおじに通用する思ったか?おじを舐めるな」
おじは強がりか本心か、麻痺弾の連射を食らっていても直立不動だった。
そこにガジガジが追撃で、
「おじにはこっちの方が効くだろ」
と言ってローションを投擲した。
「アカン身体が痺れてきた!」
麻痺で身体が言うことを効かなくなったおじは、ついに足元のローションと合わせて体制を崩してしまう。
「お前らに武士道の心はないんか!?」
こけたおじはチャージしていたエネルギーによってローション上で大剣と一緒にグルグルと滑り出し始めた。
「誰か助けてくれえええええええええ!」
おじが必死にバランスを取ろうとする一方、彼の滑走路には大量の大タル爆弾が待ち構えていた。
「おじ愛してる💓」
おばぶはそう言うと、おじが滑って大タル爆弾にぶつかる瞬間に起爆した。
「あかーーーーーーーーーーーーん!!」
こうして、おじは力尽きました。
BAD END
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