16.冬休みにも課題はつきものだ。
冬休みにも、色々なことがあった。
クリスマスやお正月などのイベントがあり、それらは例年とは違ったもので、とても楽しかったと思っている。
ただ、そんな冬休みにも課題はつきものだ。冬休みの宿題を、終わらせなければならないのである。
「ろーくんがいてくれて、本当によかったよ。私一人だったら、この時点でも手をつけていなかったかもしれないもん」
「まあ、四条や水原もいた訳だから、大丈夫だったとは思うが」
「あはは、二人もこういうことに関してはマメだからね……」
夏休みの時も、というか普段もそうだが、由佳は真面目に宿題をこなしていた。
余裕を持って終わらせれるように計画をしていたが、その計画通りに課題を終わらせることができたため、後二日残っている休みはただ満喫することができる。
「それに、今回由佳は俺と離れている間もちゃんと課題をこなしていた訳だろう?」
「あ、うん。それはまあ、ろーくんから言われてたから……私も、ろーくんと一緒に大学に行きたいし」
「そうか……」
去年までの由佳がどういう風に勉学に励んでいたか、俺はそこまで詳しい訳ではない。
ただ、四条一派の面々から聞いた話から考えると、今年の由佳はかなり真面目だったようだ。
そんな彼女は、大学進学を志したことによって、さらに勉学に力を入れている。それはきっと、いい傾向なのだろう。
「……また先生達に何か言われるかもしれないな」
「あはは、確かに皆私のことを真面目になったって言ってたもんね」
「彼氏の影響とか言われると反応に困ってしまうんだがな……」
「でも、ろーくんの影響なのは事実だからね。黒髪に戻したのも勉強を頑張るようになったのも、ろーくんのおかげだもん」
由佳と教師陣との距離感は、結構近い。それは由佳のコミュニケーション能力が成すものだとは思うが、それ故に俺との距離感も近くなっているのだ。
最近は、先生方からもよくからかわれる。当然といえば当然だが、それくらい俺と由佳との関係は周知されているのだ。
「さてと、何はともあれ、これでとりあえず無事に三学期を終えられそうだな……」
「うん。三学期……もう私達は三年生になるし、美冬さんは卒業しちゃうんだね」
「少し寂しいな……」
三年生の卒業なんて、去年の俺はまったく気にしていなかった。
しかし、今年はそうではない。穂村先輩という尊敬できる先輩が旅立つのだ。それが少し寂しく思えてくる。
そうなったのも由佳と再会したことによって、様々な人と繋がったからだろう。本当に今年度は、俺にとって転機だった。
「だけど、三学期だってテストなんかはある訳だからな。寂しがってばかりいられない。俺達もちゃんと励まないとな」
「あ、そうだよね。今更落第なんて、嫌だもん」
「ああ、頑張るとしよう」
「うん!」
俺の言葉に、由佳は力強く頷いてくれた。
こうして俺達は、三学期に対して気持ちを新たにするのだった。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
今回の更新は、ここで一区切りとさせていただきます。
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