9.彼女達のコミュニケーション能力は高い。

 友人達は、神社に続々と集まっていた。

 四条一派に関しては、既に全員集まっており、半数は境内に入っている。

 そんな中、俺と由佳は月宮と水原とともに、神社の前で待機していた。後二人、この場に来る者達がいるのだ。


「あ、ろーくん」

「む……」


 その二人の内の一人、江藤は俺達を見つけて笑顔を浮かべて手を振ってきた。

 江藤の隣には、穂村先輩もいる。予定があったため、この二人も今回の集まりに参加しているのだ。


「四人だけかい? 他の皆はまだ来ていないのかな?」

「ああいや、もう境内にいるんだ。それなりに人もいるからな。先に様子を見に行ってもらっている」

「なるほど、そういうことかい」


 集合時間ぎりぎりであるためか、江藤は既に全員が集まっていると思っていたのだろう。俺達を見つけた時から、周囲を見渡していたのは恐らくそれが理由だ。

 といっても、二人も別に遅刻してきたという訳ではない。単純に距離が遠かったため、時間がかかったというだけだ。


「美冬さん、こんばんは」

「こんばんは、由佳さん」

「来てくれて嬉しいです。美冬さんは、色々と大変な時期ですし……」

「息抜きも必要だと、言われてね。まあ、後輩の集まりに参加するのは少々気が引けたけれど」

「私達は大歓迎ですよ」

「そう言ってもらえると、こちらとしては嬉しいかな」


 由佳と穂村先輩は、親しそうに会話を交わしていた。

 二人の仲が良いことを、俺は既に知っている。そのため、特に驚きはない。ただ、月宮と水原は二人の様子に驚いているようだ。


「由佳は本当に顔が広いよね? あの穂村先輩とも、友達なんて」

「まあ、由佳はコミュ力高いからね」


 月宮と水原が言っている通り、由佳のコミュニケーション能力は非常に高い。穂村先輩ともいつの間にか仲良くなっていたし、すごいと思っている。

 しかしそれに関しては、二人にもいえることだ。人と接する能力に関して、四条一派は全員高いのである。


「月宮さんに、水原さんだね。こうして話すのは、初めてかな?」

「あ、はい。そうですね。というか、私や涼音のこと知っているんですか?」

「二人は有名人だからね」

「有名人っていうなら、穂村先輩の方が有名人ですよ? なんといったって、美人で有名な生徒会長ですから」

「お褒めいただき光栄だね」


 俺がそんなことを考えていると、月宮が穂村先輩と楽しそうに会話を始めていた。水原もその隣で涼しい顔をしているし、多分すぐに打ち解けるだろう。


「千夜、それに穂村先輩、そろそろ時間が……」

「ああ、そうだった。ここで話をしていると、今年が終わってしまうね?」

「それじゃあ、境内に行きましょうか」


 そこで水原は、とても大切なことを言ってくれた。

 よく考えてみれば、今年の終わりは刻一刻と迫っている。ここで話して年を越してしまったら、本末転倒だ。早く境内で、竜太達に合流しなければならない。

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