6.彼女の家に泊まりに来るのは久し振りだ。

「なんだか、ろーくんがこうやって家に泊まりに来るのが随分と久し振りに感じるなぁ……」

「まあ、確かにそうだな。一週間くらいしか開いていないはずなんだが……」


 終末、俺は由佳の家に泊まりに来ていた。

 夏休みの時は、ほぼ毎日お互いの家に泊まり合っていたが、流石に学校が始まってそういう訳にはいかない。お互いに家に帰って、学校に備える必要があるのだ。

 しかし当然、休日の前はそんなことは考える必要はない。故にこうして、由佳の家に泊まりに来たのだ。


「やっぱり、ろーくんとは毎日一緒にお風呂に入って、毎日同じベッド寝たいな……」

「それは俺も同じ気持ちさ」


 由佳とは、できることなら毎日一緒の家で過ごしたいと思っている。

 もちろん、それは現状では難しい。ただ何れはきっと、叶えられることでもある。


「明日は久し振りのお休みだね? どうしよっか?」

「由佳は、どこかに出掛けたいのか?」

「うーん、どうだろう? 家でゆっくりするのもいい気がするなぁ……」

「どちらかというと、俺はそうしたい気分だ。夏休みは、色々と活動的だったからな……」

「ろーくんがそっちがいいっていうならそうしよっか」


 俺の言葉に、由佳はゆっくりと頷いてくれた。

 別に彼女が出掛けたいとなら出掛けても良かったが、どちらでもいいなら明日はできれば家にいたい気分だった。

 久し振りの学校は、俺をそれなりに疲れさせている。そのため明日からの休みは、家でまったりしたいのだ。


「よく考えてみたら、宿題とかもあるもんね」

「ああ、そうだな……宿題か、夏休み後半は、それから解放されていたから、やっぱり少し億劫だな」

「うん、そうだね。お陰様で、宿題に追われる夏休みにならなかったよ」


 初日から余裕を持ってやっていたため、夏休み後半には宿題は終わっていた。

 宿題から解放された夏休みというのは、気楽で本当に楽しいものだった。その楽しい期間が終わってしまったのは、非常に残念である。

 いや、それを言うならそもそも夏休みが終わったのが残念だ。本当にあの日々は良いものだったとしか言いようがない。


「夏休みが本当に懐かしいな……」

「もっと続いて欲しかったよね……でも、二学期にも楽しみはあるから」

「修学旅行のことか?」

「うん。それに文化祭もあるよ?」

「ああ、そうだな……」


 由佳の言葉に、俺はゆっくりと頷いた。

 確かに、それらの行事は楽しみだ。今は素直にそう思える。それらも全て、由佳のおかげだ。

 きっと二学期も楽しいことが待っている。由佳の笑顔を見ながら、俺はそんなことを思うのだった。

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