第117話 幼馴染のお腹はとても魅力的である。

 俺は由佳とともに、お風呂に入っていた。色々とあった結果、一緒に汗を流そうという話になったのだ。

 当然俺はタオルを巻いているし、由佳は水着である。流石にまだ裸でお風呂に入るなんてことはできないのだ。


「ろーくん、重くはない?」

「ああ、まったく重さは感じていない」

「まあ、水の中だもんね」

「いや、そもそも由佳は気にするような体重ではないだろう」


 由佳はいつも通り、俺にもたれかかっている。先程ダイエットの話などをしたからか、彼女は自分の重さを気にしているようだ。


「でも……」

「……由佳、体重なんてそんなに気にしなくてもいい。太り過ぎたりしなければ、問題なんてないんだ。というか、痩せ過ぎたらそれこそ問題だ」

「ひゃ!」


 俺はゆっくりと由佳のお腹を撫でる。少々躊躇いはあるが、今はそうするべきだと思った。彼女に問題ないと伝えるためには、こうするのが一番であるはずだ。

 もっとも、もしかしたらこれは言い訳なのかもしれない。その心地いい感触を味わっていると、単純に俺が由佳のお腹を触りたかったというだけのような気もしてくる。


「ろ、ろーくん?」

「由佳は前、別に触られてもいいと言っていたよな?」

「あ、うん。それはいいって思ってたけど……でも、今日のろーくんの触り方、ちょっと大胆じゃない?」

「そうだろうか?」


 俺は由佳のお腹を、力を入れ過ぎないようにしながら揉んだり撫でたりしていた。

 正直その感触は、とてもいいものだ。ずっと触っていても飽きないだろう。

 とはいえ、今回はそれによって昂ってはいけない。これはあくまでも由佳にわかってもらうための行為だと、俺自身が深く意識しておかなければならない。


「まあ、それは由佳のお腹が魅力的なのがいけないんだ」

「私のお腹が?」

「ああ、柔らかくてとても良い触り心地だ。もう少し太っていてもいいくらいだな」

「そ、そんなことないと思うけど……」


 由佳の声色は、喜んでいるような感じだった。そのことに、俺は少し安心する。これで軽蔑されたら、どうしようかと思っていたからだ。

 ただ、まだ由佳は完全に納得していないような気もする。俺がこれだけ楽しんでいるというのに、まだお腹を気にする程に、彼女の中で太るということは許せないことなのだろう。


「……もちろん、俺は由佳が細くなっても太くなっても嫌いになんてならないが」

「ひゃうっ! ろ、ろーくん?」

「そういった事柄で由佳が無理をすることは許容できないな……」


 俺は由佳のへそを、ゆっくりとなぞった。

 正直、少し調子に乗っている感は否めない。今回へそは関係ないのだから、触れる必要なんてないのではないだろうか。


「む、無理はしないよ?」

「……本当か?」

「うん。ちゃんと食べてるし……運動だって無理はしてない。んんっ……それが体によくないことだって、それはわかっているから……」

「そうか……」

「んんっ……あっ、うっ」


 俺は、由佳のへその中に指を入れた。そのまま、彼女のへその中でその指を動かしていく。

 すると由佳は、少し艶めかしい声をあげた。それに俺の心は、つい昂ってしまう。


「ろーくん、キスしたい……」

「ああ……」

「んんっ……」


 由佳の要望に応じて、俺は振り返った彼女とゆっくりと唇を重ねた。

 彼女の柔らかい唇を味わいながら、俺は尚も由佳のへそとお腹を楽しむ。なんというか、本当にずっと触っていたい。

 しかし流石にそういう訳にもいかないだろう。由佳もわかってくれたような気がするし、そろそろやめ時だ。


「……由佳、すまなかったな。急にお腹を触ってしまって」

「……え?」

「まあ、さっきも言った通り、由佳は今のままでも構わない。それ所か少し太ってもいいくらいだ。それを覚えておいてくれ」

「あ、うん。それはいいんだけど……」


 俺はゆっくりと、由佳のお腹から手を離した。

 すると彼女は、少し不満そうな顔をする。それはもしかして、もう少し触っても良かったということなのだろうか。


「ろーくん、遠慮しなくてもいいんだよ?」

「……もっと触ってもいいのか?」

「うん。いいよ。もちろん恥ずかしいけど、それ以上にろーくんが喜んでくれるなら嬉しいし……」

「……それなら、遠慮なく触らせてもらう」


 由佳の許可が得られたため、俺は改めて彼女のお腹を触る。もちろん、大切なお腹であるため乱暴に扱ったりはしない。ゆっくりと撫でて、時々優しく揉むだけだ。

 そんな風にお腹を楽しみながら、俺は振り向いた由佳とキスを交わす。手も唇も、幸せな感触でいっぱいだ。


「……ろーくんにお腹触られるの好きかも」

「……そうなのか?」

「うん。なんだかすごく気持ちいい……特に撫でられるのっていいね。なんだか、ワンちゃんとかの気持ちがわかったかも」

「ほう……それなら何よりだ」


 どうやら、由佳の方も触られることに一定の喜びを感じてくれているらしい。

 それならこちらとしても、大分遠慮なく触れる。もしも彼女が許してくれるなら、これからも触らせてもらうのもいいかもしれない。

 こうして俺達は、しばらくお風呂でそのように戯れるのだった。

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