第129話ピザやグラタンの味見
八百万
今日はいつもとは違い、リリやねねにこれから店に出す予定の料理なんかを食べてもらって判断しようと思う。
まずはピザとグラタン、冷凍ものは一切使用しないで、生地の小麦からウェールズ産の小金小麦を使ったピザ生地に野菜も異世界の野菜をたくさん使う。
トマトソースには紅玉トマト、サファイアピーマンと王玉タマネギなどを使い、チーズは地球のチーズをたっぷりかけた贅沢な一品。
グラタンは異世界の王牛のミルクを使ったホワイトソースにマカロニではなく、ミートソースを包んだラビオリを入れようかと思う。
黄銅芋なんか入れて、ごろっとした芋の感じを味わうのもいいかもしれない、その場合追加でホワイトソース自体にベーコンなんかも塩漬けか燻製した肉とタマネギなんかも加えたりしたら、楽しいかと思う。
ピザ、色々なピザがあるのだけれど作るのは、初めてだし具のバランスなんかも必要になってくる。
定番のマルゲリータなんかは美味しいけど、それだと少し物足りないシンプルさがあるかとも思ってしまう。
またボリュームをもたせるなら、パイの様に分厚いシカコピザなんてのもありかな?異世界の人はスラっとしてても大量に食べるから、苦しくなって吐き出すなんて事もないし。
「みんな~、ちょっときて~、料理の味見だよ~」
そう叫ぶと、各々好きに動いていた子達が、ドタドタとこっちに向かってくる音がする。
「いっちばあああん!味見か!」
「二番!何食べさせてくれるの?」
「美味しそうな匂いですね」
ニーア、ねね、リリの順番であらわれる。
「今度店でピザとグラタンなんかを出そうと思うんだ。グラタンなんかはいい出来だと思うんだけど、ピザの上に乗せる具に少し悩んでるんだ。よかったらみんなの意見きかせてくれないか?」
「へ~ピザってこの?パン?みたいな奴の事か?」
「凄いね!?色々具が乗ってる!卵サンドでも思ったけど、パンで挟んだり、乗せたりなんてよく考えつくよね?パンはパンだもの」
「でも確かに具と挟んで食べるパンはとっても美味しいのよね」
「んじゃまぁ!さっそく!んお!伸びる!チーズか!んもんも、ん!平べったいパンなのにもちっとしとる!しゃくしゃくの野菜が生意気にも美味い!」
「トマトのソースとチーズって合うね!お肉も野菜も美味しい!文句なんてないよ!」
「一枚くらいなら簡単にたべられちゃいます!おかわりする人なんかもいるかと」
特に問題はないみたいだ。
シーフードとかアボガドなんか乗ってるピザとか、現代には本当に種類が多いピザがあるし、かといって種類変えて一回で複数出すのも大変だ。
今回はこれでいいかな?。
さて、次はグラタンだ。
オーソドックスな物なら、マカロニなんかが入った簡単な物なんだが、今回のはラビオリに鴨肉のひき肉とトマトソースが詰め込まれている。
別にひき肉じゃなくてもよかったんだけどね、あとやっぱりトマトソースがかぶってるのがちょっと気になった。
「へ~グラタン?ホワイトソースって奴と、チーズは別物なんだよな?どれ・・・ん!美味いな!このホワイトソース!チーズも!あたしはこれ大好きな味だ!」
「私もあつつつ!ふーふー!んぐ!んんん!ほんとだ!美味しい!お芋入ってる!ほくほくでソースとチーズと合う!玉ねぎかな?しゃくしゃくして美味しい」
「ふわぁ~!この大きな具!お肉とトマトが濃くって美味しい!ホワイトソースと全然違う性質でこってり感を出したんですね!対比したみたいになって濃厚で美味しい!」
「どれだ?これか!んも!んふぉふぉふぉ!んぐんぐ!ほんとだ!うめぇ!牛でも豚でもないな!鳥?鴨?独特の味に脂身が特徴的で美味い!んでもってホワイトソース!今度はさっぱり感じる!」
「なんかレストランの食事みた~い、贅沢な感じがしていいよ~。何より食べてて楽しいし、驚きも沢山!特にこの鴨の具はびっくりするぐらい豪華で美味しい!お貴族様のディナー出て来る料理みたい!食べた事ないから想像だけど」
「パスタなんかもいっそ一緒にセットにしてもいいかもしれないですね~」
ピザにパスタにグラタンのセットか、いいかもしれない。
そうなってくると、どんなパスタがいいかな?コーンスープのスープパスタ?バジルのパスタ?和風のシメジやシイタケマイタケのキノコパスタやシャケとイクラのホワイトソースかぶりでもいいな、しじみやホタテの出汁の効いたパスタもいいけど、ボロネーゼって手もある。
フェットチーネ・アルフレード、フェットチーネとパルメザンチーズのさっぱりパスタも伝統的でいい、タリアテッレを使ったボロネーゼもいいなぁ。
似たような二つのパスタだが、フェットチーネはきし麺に似ていて、タリアテッレはもっと薄くて幅も狭いからピラピラした食感の多少違いがある。
八百万オリジナルとして、ドードの白レバー、フォアグラを使って、玉ねぎ、人参、トマトソース、赤ワイン、肉のブイヨンを使い、ポルチーニの変わりに異世界の網キノコを使う。
気がつけば滅茶苦茶贅沢なパスタが出来上がっていた。
りんねにもふーふーして食べさせてあげよう。
「はーい、りんね、あ~ん」
「あーん・・・・・んんんん~~~!!!あ~ん!あ~ん!」
美味しかったのか、次をくれとせがんでくる。
「ずるい!私も!」
「はいはい、あ~ん」
「んも!ナニコレ!!!めっちゃ美味しい!すんごい!なんだろ!?この味!濃厚で小麦の麺と合う!これはわかる!!高級な味って奴だ!!!」
「なぁにぃ!あたしも食うぞ!んぐ、あぐ、あぐぐ!!ほんとだ!高級な味って奴、言われて納得だわ!!こりゃ確かにお貴族様の味って感じの料理だ!!味は美味いけど、定食屋の八百万って感じではないな、でも滅茶苦茶美味いぞ!!」
「確かにこれは王族の様な人たちが食べる味って感じですね。うちとは確かに違うかもしれないけど、それでもお客さんは喜びますよ。っていうかびっくりするんじゃないか?しかも値段は?」
「銀貨3枚から5枚って所だな」
「高級料理店もびっくりの味の料理が、銀貨5枚・・・・・確かにぶっとぶね」
「まぁ庶民ってか、冒険者含めて食事の金額の幅は広いからな銅貨5枚から、銀貨5枚、大銀貨2枚から小金貨5枚くらいまでなら、お祝いで高級店にいくやつもいる。あたしは王族の晩餐にも呼ばれた事があるから言うけど、この味なら金貨5枚から大金貨1枚くらいの値段にはなりそうだけどな?相場をそこまで知らないけど」
「うちは銅貨5枚で食べ放題やっちゃう店だもんね」
「それもこれもみんなのおかげであり、アーサーさんや王様、冒険者のみんなが毎回鬼の様に食材もってくるから、いくら消費してもなくならないんだよ?うちのアイテムボックスの素材の量どれくらい残ってるか知ってる?ブリタニア王国以外にも2か国くらいなら飢饉のとき半月は賄えるかもしれないくらいの量の食材が眠ってるんだよ?タダで無限に配っても配っても、送られてくる食材の方が多いんだから追いつくわけがない・・・・・」
つくづく、アイテムボックスの容量が無限である事にマーリン様に感謝した。
「ウナギやアナゴ、港町の未利用魚なんかもあるし、内臓も色んな魔物の内臓が眠ってるんだよな・・・・・・相変わらずすげぇな」
「レオンさんなんか、この間キングタートル狩って帰ってきたもんね。あの山の様な亀も全然消費してないんだもんね」
「その内、アイテムボックスに限界がくるなんて?ないですよね?」
全員が互いの顔を見て笑った。
「「「「はははははははははははは」」」」
そんな事はおこらないと、マーリンさんや伝説のみなさまの技術力を信じている!!!
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