第127話我が名はリンネ!!!

 八百万 

 

 邪神ちゃん 

 

 リンネである!!! 

 

 すっかり子龍のアリスと猫のキャス子といついてしまった私だが、他に行くところも目的も何もない、そして何より、ここの飯は美味く、私を世話する男、八意斗真を気に入っているのもある。 

 

 朝、斗真に起こされ起きると、食事の準備がもうしてある。 

 

 くぬう!寝ていたとはいえ私の側を離れるとは!なっとらん!だが寝起きで頭がはっきりしないのもあって、そんな事を考えながらもこっくりこっくりと頭が揺れる。 

 

 飯の支度が終わり全員がそろったのか?抱っこされて洗面台で顔をあらわれ、食事の席に着く。 

 

 今日はパンか!分厚いパンにじゅわじゅわのバター!卵を乗せて半熟の黄身を潰しても美味い!燻製?された肉に腸詰とか言う肉も美味い、私はこの喜びを体全体で表現してみなに知らしめるのだ! 

 

 「うんま!んままま!うんま!んままま!んふ~!!!」 

 

 「美味しいねぇ、今日もご機嫌だねぇリンネ」 

 

 「ずる~い!ねねにも!ねねにもあ~んして!!ねねだって抱っこされたいし、あ~んもされたいいいいいい」 

 

 「はいはい、お姫様」 

 

 「あ~ん、んふ~~お兄ちゃんのご飯はやっぱり美味しいよ~!」 

 

 これ!ねね!わしの斗真じゃ!私の斗真なんだ!斗真も斗真だ!誰彼構わず給仕するとは!なっとらん!  

 

 そんなやり取りを、羨ましそうに孤児達はじっと斗真をみるのだ。 

 

 男も女もまだまだ親に甘えたい盛り、他の大人に比べ斗真ははっきりいって子供にべたべたに甘い、笑顔がどことなく余裕のある大人のとおおおおおおっても優しい笑顔をするので、周りにいる子供達はみな、自分の親なのでは?親だったらいいなぁと、どこまでなら甘えても大丈夫か?と試したりするが、斗真はずぶずぶに甘く、孤児達を支えてやろうとするから、どこまでも孤児達を甘やかす。 

 

 悪い事をしても絶対に手をあげず、どうしてそんな事したのか?悲しそうな顔で聞いてくるのじゃ、斗真の悲しそうな顔は叩かれたりするよりも痛く悲しいのだと、子供達全体は理解した。 

 

 子供同士だから喧嘩だってする事はある。 

 

 でも孤児達は盗みやスリなんかはしなくなった。 

 

 しなくていい様にしてくれたのが斗真だ。 

 

 物を買うには金が要る、金を手に入れるには働くしかない、働けないなら盗むしかない、というこの図を壊したのが斗真だ。 

 

 八百万で働いている孤児達はしっかり給料をもらっている。 

 

 でも自分でもっていると食べたり、飲んだりに使ってしまう、はずだった。 

 

 斗真といると、食うにも飲むにも困らない。 

 

 おもちゃがほしいというと、斗真がどこからか見た事もないおもちゃを孤児達全員に渡してくれたり、遊んでくれたりする。 

 

 だから本当は金なんて必要ないんだけど、みんなが大人になった時、必要になった時の為に商業ギルドに個人個人で貯めている。 

 

 孤児院だって綺麗になり、隙間風もなく、ベットや毛布も温かく、風呂だって大きなお風呂がある。 

 

 でも幼い子は夜に泣いてしまう子もいる。 

 

 どうしても泣き止まない子がいると、年長の子かシスターか先生が抱っこして八百万まで来る。 

 

 その事には私はアリス達と寝ているので知らないが、たまに朝方まで斗真に抱っこされている子供がおる事はしっておる!そいつは私の世話係だと言うのに!!キーーー! 

 

 最近になって街をちょっと弄って、それでも近かった孤児院を更に八百万のほぼ隣、むかいって所まで近くにおきよった! 

 

 するとどうだ!今までは我慢してた甘えん坊共が、我も我もと斗真に抱っこにおんぶ!甘えに甘えおって!シスターも先生とか言う奴も仕方がないと、なぁにが仕方がないだ!それは私のだ!百歩ゆずってねね姉には勝てぬ故譲るが、あとリリねーねも特別だな。 

 

 だぁが!それ以外は駄目じゃ!駄目なのじゃ!斗真は私の父上でママ上なのだ!他の奴を抱っこしたりするのは許せないのだ!!! 

 

 ぐぬ!ぐぬぬ!と段々悔しくなってくると、大粒の涙が流れ、叫び声をあげる。 

 

 「まんまあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!あああああああ!!!まんま!ままああああああああああああ!!!!」 

 

 「どうしたのリンネ?近くにいるでしょ?」 

 

 「焼きもち焼いてるんだよ。お兄ちゃんは私のだ!って、リンネよりもお姉ちゃんも撫でてあげて!」

 

 「ふぇ!?私は大丈夫だよ」 

 

 「そうだな、リリもいつもありがとうね。二人にあってから、毎日が楽しくて仕方ないよ。もちろんみんなともだけど」 

 

 斗真は優しく抱きしめて、それは大切な宝物を触る様に撫でてくれる。 

 

 血の繋がりはなくても、そこにしっかりと家族の愛がある様に、伝わる様に、子供達は温もりが必要なのだ。 

 

 わかっていても触れ合いが必要な時があるのだ、抱きしめてほしい時、優しく撫でてほしい時、子供を持つ親が当たり前に慈しむように子供に向ける慈愛の心。 

 

 それをほしいと思う子は多い。 

 

 「ボクもなでて?」 

 

 「ずるいわたしも」 

 

 「あたしも」 

 

 「ぼくも」 

 

 「はいはい、順番にね、しっかりご飯は食べようね」 

 

 斗真は優しい、もじもじして恥ずかしがってる年長組にもふざけながらもしっかりハグをする。 

 

 朝食を食べ終わったら、みんなでご馳走様をして、酒臭い寝泊まり組の冒険者をたたきだし、孤児院の子供達は勉強の時間、ねねとリリも勉強してる。 

 

 私はアリスとキャス子とこのままでは斗真を取られてしまうと、なんとかせんとと話をしている途中でいつも、いつの間にか眠って布団の上でまた目を覚ます。 

 

 この肉体はもっと起きている事が出来る赤子の肉体のはずなのに?何故かすぐに眠ったり起きたりを繰り返してしまうのだ。  

 

 そうこうしていると、あっという間に太陽は真上に、斗真の飯を食いに大勢の客がくるのを、ねねやリリ、孤児達と迎え撃つのだ! 

 

 

 

  

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