第126話二郎インスパイア!八百万!!!

 二郎系ラーメン 関東では言わずと知れた、吉村家発祥横浜系豚骨醬油ラーメンと天下を二分する、二郎系ラーメン。 

 

 二郎直系店はもちろんの事、数々のラーメン好きを虜にし、本店で修業していないにも関わらず、二郎に憧れ恋焦がれ自らを捨て二郎を追ったインスパイア系まで存在する。 

 

 創業者である、山田拓美氏は一度インタビューでこう答えている。 

 

 二郎系じゃないだろ?自分の店系だろ?二郎系をいったら負けだろ?まず自分の味だろ?そしてもはや醬油、塩、味噌、豚骨と味のジャンルに並ぶ程になった二郎と言う新たなジャンル、その事に真似される事はやはり嬉しくなないと、自らが作りあげた味、それを弟子に継承するならまだわかるが、多くのインスパイア店には真似をしてほしくないと、痛い言葉が放たれた。 

 

 それでも!小説界に多くの異世界転生と言うジャンルが蔓延る様に!歌い手の多くが、初音ミクの曲を登竜門に歌う様に、ラーメン二郎を模しながらも、二郎とは違いを見せようと奮起する店も数多く存在する。 

 

 憧れて憧れて焦がれてやまない二郎系、そしてその先には自らが進化した独自の味の先があるに違いないと、真似た二郎系。 

 

 もちろん本店、二郎直系店を尊敬しない日はない、模倣から始まり新たな味に、独自の味に挑戦する事に、周りはそれは正道ではないと石を投げるかもしれない。 

 

 だが見えてしまったのだ。 

 

 小説に異世界転生と言う土台があり、その土台ありきにたより中身を変えて勝負する様に、二郎と言うベースがあってその先に追い求める味の先、素人がふと思う、ここかえれば、物凄い作品になるんじゃないか?という閃き、多くの人にとって我々なろう作家は書籍化してもライトノベル作家とは認められないかもしれない、歌い手は永久に歌い手で歌手にはなれないかもしれない、それでも凡人は凡人なりに、天才を模倣してでも進まなきゃいけない先があるとして、全員が人生と言う道を走っているのだと思う。 

 

 最初は確かに儲ける為、稼ぐ為、生きていく為の模倣だったのかもしれない。 

 

 それでも真似だ、パクリだ、模倣だと言われても、自分なりの二郎、家系、なろう、歌で勝負したい!認めない人が多いのもわかる。 

 

 それでも私達はこのジャンルで戦って生きていくのだと。 

 

 大仰な話をしたが、ラーメンの話である。 

 

 豚骨をベースにキレの強い醬油、豚骨がベースである事を吹き飛ばす程の旨味の強い醬油に出汁である豚骨が纏わり、まさに新たな味わいと言わん味が完成される。 

 

 また店により乳化しているか?非乳化か?でも味わいは深く変わり、また客としてはその味の違いを楽しめる凄いラーメンなのである。 

 

 もやしときゃべつ、野菜をこれでもかともれるマシマシ、ニンニクが荒めに刻まれ、その存在感がまたたまらない。 

 

 そして脂、まさに日本で脂を思いっきり味わいたいなら二郎に行け!と言いたいほど、野菜の上に盛られる背油。 

 

 そして日本最高峰といっていい豚、店によって違うが、この豚のとろけ具合に脳が痺れやられる人間は多い、神豚と言われる程美味い豚も存在する。 

 

 店によって多少違いはあれど、ニンニク入れますか?の言葉を合図に、ニンニク、野菜、脂、からめ、をマシ、またはマシマシまで増量できるのが特徴だ。 

 

 食券は小豚、大豚、またダブルなど存在しているが、小豚でも普通の店よりも多く舐めてかかって撃沈する人間も少なくない。 

 

 店によっては半分にできたり、ミニというものが存在するので、残すような失態を犯す前にミニで様子を見る事をお勧めする。 

 

 ラーメンクィーン、ハイリューン・ヒルデガルド、ウェールズ一豚骨を愛し、家系ラーメンや様々な料理を愛するハイエルフの姫(潜伏中)の妹、ハイリューン・シグルドリーヴァ(同じく潜伏中)である。 

 

 姉が国を出て旅行を楽しんでいるのを、後から追っかけて来た妹であるのだが、潜伏中なのに姉妹揃って煌びやかな格好は変わらず、見た目も明らかに神秘的な神々しい見た目な為、認識阻害の魔法をかけているが、それでも周りからは明らかにどこかの国の王族とバレる外見をしていて、しかも常に認識阻害がかかってる訳でもないので、素顔も普通に見られたりする。 

 

 一族特有の白銀の髪はもちろん、エルフの中でも一段と美しく芸術の絵画の美人絵が抜け出したかのような存在だが、ウェールズの街の多くの人は厄介事と判断して率先的にかかわらない。 

 

 その証拠に彼女ら姉妹には、ハイエルフの6賢人、ハイエルフの中でも神々に並ぶほど魔法が上手く、賢者と呼ばれた6人がそれぞれ独自に彼女たちの事を見守っているからである。 

 

 ハイエルフは個人にもよるが、エルフ族全体が長生きする事で次第に様々なものに執着する欲望というものが薄くなっていく事が問題視されているのだが、6賢人も姉妹を見守っていて、眠っていた食への欲求が高まり、中には八百万に直接食事をしに行きたい!!!と強い欲求に悩まされる者も多く、今も姫様達越しに八百万の食事を観察していた。 

 

 ハイリューン・シグルドリーヴァ 

 

 ニンニクいれますか?のタイミングでニンニク、野菜、脂、からめをマシかマシマシまで選択可能、からめの場合はカラカラで。 

 

 今日は八百万が小豚と大豚しか用意していない、大盛の大豚を食うか?否ここは小で様子を見る。 

 

 小豚、ニンニク少な目、野菜マシマシ、脂カタマリ!で!!。 

 

 コールが決まった、ちなみに脂カタマリは他の店にはないコールである。 

 

 どんと運ばれてきた、小豚ラーメン異世界人にあわせたサイズ、日本人が見たら、小とはいったい???と首をかしげるサイズである。 

 

 野菜がほどほどに盛られ、その野菜の上にははんぺんの様な背油の塊が三枚鎮座している。 

 

 卓上のタレを脂と野菜にまんべんなくかけ、いざ出陣!。 

 

 うん!野菜とタレがシャキシャキで文句なく美味しい!そこに箸で脂の塊をカットして野菜と食べる!これぞ脂サラダ!醬油の味と脂の濃厚こってり感が野菜の青さとよく合う! 

 

 バクバクと食べ進めると、そろそろ麺が顔を出す。 

 

 うどん?に一見にているが、うどんよりもむちむちと麺の小麦の密度が高く、ぐねんぐねんとまがった麺はごわごわわしわしとして力麺!?こんなに力強い麺は初めてで驚くと同時に、麺!麺が物凄く美味い事に気が付く!これだけの醬油と豚骨の味の中、ぐねぐねと喉奥に進む麺の存在感が気持ちよく、噛めば小麦のみちみちとして力強い弾力と歯ごたえ、そして明確に麺の味が美味い!時として麺とは強い出汁。スープに沿う形で美味さを発揮する事があるが、醬油や出汁の味を押しのけ!どいたどいたどいた!!!主役はおいらだああああああああああああああああっとぷっつり、衝撃を放ちながら、他とはちがうんでぃ!!麺のオイラが主役で美味いんでい!!!ともの凄い主張とねじり鉢巻き!遠くから、何処かの将軍のパワー!!!って叫び声とやあああああああああああ!!!!って叫び声が脳内に響くが、頭を切り替える。 

 

 麺!この力麺はまさに家の土台の様にがっしりと美味く、そしてスープを絡ませ、神輿よろしく豪快に喉に消えていく!大工なの!?原さんなの!?韋駄天ブラックが如く、麺の小麦の主張感、のど越し!まさに大将軍が如く天下無双!野菜と麺!脂と麺!単純なのか複雑怪奇なのか!?もう大混乱!美味い!ただそれだけを立ち去る背中、漢立ちで語っている!!!

 

 

 そしてこれだけはしゃいでいて、丼にはまだこいつがいる。 

 

 豚である。 

 

 一口口に入れるとホロホロと崩れ、脂身と言う鎧をまといながら快感の元胃に落ちていく、神豚!!!脂はねっとりとして舌に纏わりつき、繊維の赤身はしっとりと口の中でほどけ、矛盾を感じる。 

 

 豚、煮過ぎれば肉の身の部分は硬く、みちみちもっさりしたパサパサな肉になりかねない豚肉、それがしっとりぷりりんとして喉に引っかかる事無くずるりと胃に簡単に落ちる。 

 

 人間の新たな味覚、食感!サクサクとかとろりとして食感が好まれるが、この豚はまさしくパサパサなんて一切なくとろんとろんでまさに神の領域! 

 

 思わずため息が出る、麺と豚のコラボレーション!麺が将軍なら豚は戦局を変える軍師、豚の孔明!もしくは豚の司馬懿である!!! 

 

 まさに天下を二分する、二郎と家系の天下二分の計!! 

 

 家系に続き、二郎を求めて小刻みに揺れる冒険者達の姿が、八百万でたびたび発見される事になった

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