第97話中華の日!

 八百万 

 

 邪神の生まれ変わりのリンネに子龍のアリス、子猫のキャス子が増えてから、子守りの毎日の斗真。 

 

 子猫のキャス子、猫の成長は早く、体もがっしりしていくはずが、キャスコには成長していく様子が見えない。 

 

 子龍の成長速度はわからないので、なんとも言えないのだが、猫はもっと大きくなってもいいはずだ。 

 

 神獣って所が何か関係しているのだろうか?ちなみにこの子達は何でも食べて魔力に変換するからNGな食材はないとの事で、味覚なんかもしっかりあるので一般的な猫の様にカリカリや猫缶なんかより、人間の様な食事の方が好むと言う。 

 

 確かに人間と同じ味覚してるなら、カリカリなんか見向きもしないだろうし、それこそ毎日カリカリなんて楽しくもなんともない。 

 

 人間でいったら、毎日白米だけ只管食べさせられる様なものだ。 

 

 僕の何を気に入ったのか?この三人は僕からひっついて離れない。 

 

 あまりに甘やかしてもいけないので、本当に忙しい時は三人でしっかり待っている様に言うと諦めて各自好きに動き始めるのだが、少したつとまた自然とくっついてくる。 

 

 アリスとキャスコは好き勝手に体をよじ登り、リンネは抱っこをせがむのだ。 

 

 店の常連客にもリンネやアリスの事が知れ渡り、いつの間に子供が!?みたいな話になるし、笑いながらも受け入れられたのでいいのだが。 

 

 そんな八百万、毎日メニューを決めるのは大変なのだが、ちょっと前までは仕入れの状況でメニューを決めていたのだが、今では食材も豊富にあるので頭を悩ませなければいけない。 

 

 そんな今日のメニューは、八百万でも人気のメニューの日、中華の日。 

 

 チャーハンにスープがついて、中華メニューから三皿好きなメニューが選べる、大人気の日である。 

 

 選べるメニューは餃子、小籠包、エビチリ、春巻き、レバニラ、かに玉、チンジャオロース、回鍋肉、酢豚、マーボー豆腐、八宝菜、角煮、油淋鶏と選べる種類も豊富である。 

 

 一品プラスする事に銀貨一枚。 

 

 この豊富なメニューに頭を悩ます客も多い。 

 

 「おいおいおいおい!聞いたか!!今日は中華の日だってよ!!おらぁあのチャーハンがたまらなく好きだ!普通のコメもうめぇけどよ、チャーハンの具とぱらっぱらの米!こいつがめちゃうまんだよな!チャーハンだけでもご馳走だぞ!!」 

 

 「付け合わせの鳥スープも滅茶苦茶うまいんだよな!あれは最強だぞ!ほどける肉!ゼラチン質のぷるぷるする部分もあって、何羽も鍋で豪快に煮たスープ!ラーメンのスープとはまた違って極上なんだよなぁ」 

 

 「餃子ははずせねぇよな!むっちりの皮にみちみちに詰まってる中の肉と野菜!小籠包ももふもふの皮から飛び出るスープ!あれをがぶっと思いっきり一口で食うのがすきなんだ!下手に食うとスープが飛び出て大惨事になる」 

 

 「エビチリのぷりぷりのエビをこう、ごっそりとって口に入れんのがいいんだよ!レバニラの癖が強いのも米とあってうまいんだ」 

 

 「かに玉もとろっとろのアンと卵が美味くて米ともあうぞ!オムレツなんかとは全然違うんだよな!」 

 

 「チンジャオロースの肉と野菜!こりこりしゃきしゃきの野菜と肉がいい!おらぁピーマンなんか嫌いだったけどあの料理だけは別だな!」 

 

 「春巻きも美味いぞ!なんで春巻きっていうのかしらんけど、中のアンがうまいんだよなぁ、しゃくしゃくパリパリの皮!中の野菜たちもしゃきしゃきでくわ~!春巻きだけではらいっぱいになりてぇもんだ!」 

 

 「回鍋肉と酢豚もつまるところは野菜炒めと酢で味付けした様なもんだろ?それなのに普通の野菜炒めとは全然違うんだよなぁ、不思議なもんだ。酢豚もだ!酢で炒めただけにはおもえねぇ、真似しようにもここの味はだせねぇんだよなぁ?特に回鍋肉だ、一見ただの野菜炒めに見えるが、肉や野菜の味に深みがあるし独特で美味いんだよ。酢豚はあのとろりとしたのがなんなのかわからねぇ」 

 

 「麻婆豆腐が好きだ!とろとろで辛くて!それをハフハフいいながらたべるんだ!辛くてもちゃんと美味い!じんわりした辛さ!カレーとは違う辛さ!米と一緒に食ってもいい!でもチャーハンとはちょっともったいない気がする、でも時々一緒に食う!」 

 

 「八宝菜も美味いだろ!野菜の濃厚な味とトロトロ感!野菜が肉のおかずみたいにご馳走に変わるんだぞ!また野菜の食感と味が楽しくて美味い!野菜嫌いな人間でもぺろっと食えちまう!てかこの料理嫌いな人間の方が珍しいだろ!」 

 

 「油淋鶏のざくざくの鳥とネギ!そこに醬油のタレ!脂っぽくてうまいんじゃ!肉も淡白でパサパサかと思えば、そんなことはなくしっとりしなやかでうめぇ!ネギがまたいい塩梅でかかせんのじゃ!そこに米でもいい!チャーハンでもいい!掻っ込むんじゃ!ムハムハと口に掻っ込むんじゃい!口いっぱいに咀嚼して飲み込む事の気持ちのええ事!スープ!チャーハン!油淋鶏!だけでも完成されてんのに、そこにさらに好みで二品追加できる!今日は聖人の誕生日かなんかなのか?」 

 

 「甘味も出してくれるのがいいのよ!ゴマ団子か杏仁豆腐か選べてさ!ゴマ団子のパリサクの皮の中からしっとりとろ~りとした濃厚なゴマのアンが出て来るの!!もうさいっこう!杏仁豆腐のとろとろでクリーミーな味もさっぱりでいいし、あ~~ん!斗真さん甘味のメニューだけでもお持ちかえりとか、甘味のメニューの日とか作ってくれないかしら?八百万のたまに出る甘味!女子の間ではすっごくレアですっごく!人気があるのに!!甘味メニューはあんまりだしてくれないんだよねぇ!はぁ・・・・・ねねちゃん達が羨ましい・・・・・・あの子達のおやつ作ってるのも斗真さんなのよね、食べれるのはねねちゃん達やニーアさんやクリスタ様だけで、お店の方には出してないっていうのよ。昼時のにぎやかな時間が終わってからの、おやつ時に流れるあの甘い匂い・・・・・・うわぁ~んお願いだから甘味も売ってほしいわ!!ギムレットさんかニーアさんに陳情しようかしら?」 

 

 オーガのオグレス 

 

 「中華の日!オグレス!中華大好きだよ!斗真にいちゃんの!料理どれも好きだけど!中華の日!特に大好きだよ!!色々一杯食べれて幸せの日なんだよ!うれしいなぁ!うれしいなぁ!」 

 

 タイタンのレックス 

 

 「八百万は俺達の様な巨人族や大食いの人種にとってはパラダイスみたいな店だもんなぁ、オグレスがはしゃぐのもわかるよ。特に高級な店なんかにいくとな、豆粒みたいな料理に金貨5枚も10枚も払わなきゃいけないとかな」 

 

 「それ酷くない?だって料理のサイズはあくまでも人族サイズだろ?巨人族の客相手なら巨人族用に大きくしなきゃおかしくないか?入る前にでも人族サイズの店ですとでもいってもらえねぇとなぁ」 

 

 「屋台とかだったらわからんでもないけどな、店頭に飾ってる料理のサイズしか売ってないとかはさ」 

 

 レックス 

 

 「店によってはちゃんと巨人族用のメニューや妖精族、精霊族、ドワーフにエルフなど各種族におすすめの料理とかメニューがしっかり存在しているぞ。だが数は少ないな、超高級店とかは特に、人族にあわせた店が多い。俺達巨人や妖精、精霊に魔族、獣人だってたまには背伸びして、その高名なシェフの料理に憧れて店にいくんだが、応えてくれるシェフもいれば、断られる事も多い、断られる事は仕方ないが、受け入れて人族サイズの料理をだされて、大金奪われるのはちょっとな・・・・・・それも事前に何日も前から予約してもそんな扱いをする店もある。大抵の店は巨人族や他種族が事前に予約したら、俺達のサイズにあわせて料理してくれる店も多い、値段も手ごろでな、そんな店は決まって予約で毎日埋まっている超超超高級店の三ツ星だったりするんだ、これが」 

 

 「あくどい事を考える、こずるいシェフもいれば、差別なくしっかり受け入れてくれるシェフもいるのか」 

 

 レックス 

 

 「八百万みたいに、毎日メニューが変わっても、俺達の急な来店にもサイズを合わせる店は王都にはまだないな、ウェールズくらいだ。そんな店で溢れてるのは」 

 

 「あ~だから種族によってあんだけ専門店がはやってるんだなぁ、なるほどなるほど」 

 

 巨人の料理人が作る、巨人料理の専門店もあれば、妖精や精霊のシェフが腕を振るう専門店も存在していて、もちろん人間のお客さんも歓迎している。 

 

 そういった種族関係なく、お腹いっぱいに楽しめる店はウェールズには沢山あるのだが、他の街までこの流儀が広がるのはまだまだ時間がかかりそうだ。

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