第58話復刻メニュー 第五位 超濃厚どろ系ポタージュラーメン

 -ハイエルフの姫 次女 ハイリューン・シグルドリーヴァ 潜伏中ー 

 

 お姉さまの目撃情報によれば、ウェールズの街で多くの人がヒルデガルドを見たと言う情報が入っています。 

 

 エルフの領主でもあるエーテルお姉さまの領地も近いし、きっとここいらへんにいるはずです!。 

 

 なんでもウェールズの街でも有名な宿に滞在して、昼食はその宿直営店の八百万で昼食をとり、その後は宿の施設や遊技場でゲームと言う名の勉学に励んでいると、更には王国の名馬達ど触れ合える場所や、乗馬場、障害物レースや一着から三着を当てるレースなどもあり、非常に充実しているとの事。 

 

 アスレチックはもちろん、森林を楽しみながらのコースターなる乗り物や、まるで空を飛んでいるかのようなジップライン、ミニバンジーに球体に入ってコースを転がり降りる遊びなどなど、更には室内遊戯も複数あり、自由に絵を描ける様に、キャンバスや絵の具なども無料で貸し出しして、良い絵は宿で飾り、貴族が気に入れば買い取り、描いた人に手数料を引いた売り上げが支払われるなど、面白い取り組みもしているとか。 

 

 なんなのよこの宿!!こんな大規模な宿?遊戯施設?こんなのあるなんて聞いてない!ずるいわ!お姉さま!しかも野菜の朝摘みや湖での魚釣り、果物など自分がとった魚なんかも調理してくれるとか面白そうだし、野菜の朝摘みはいいわね!! 

 

 特に食事にうるさい、あのお姉さまが八百万なる定食屋の列になんの文句も言わずに、言われるがまま従い列に並んでいるというのが、はっきりいって不気味で驚異的だわ。 

 

 それも毎日の様に通ってるって話じゃない!あの飽き性で一つの場所に留まる事が出来ない姉が、毎日並ぶほどの店。 

 

 認識阻害つかってるのに、姉ってバレてる所が、なんというか身内としてちょっと恥ずかしいわ。 

 

 えーっと他には八百万なる店の常連と思われる人物達?ライブラのギムレッド、笑う災害のフィガロ、海神ルーカス、深紅の衝撃のクリスタ、カラミティクィーンのニーア、神刀のガンダルフ、黄金のレオン、タイタンのレックス、精霊姫エーテル、ラウンズの英雄王アーサー、太陽の子ガウェイン、海の女王リナリア、薬の大家のメフィストフェレス、王都絶対主義のオールウェイ、行商界の重鎮、タント老、国家最強従者部隊序列三位のクラウスに第六位のルーナ、獣人国の三大英雄、雷帝ミニャに最近では神出鬼没の空間のエスメラルダまで常連なのだとか? 

 

 え?なぁにこぉれぇ?我が国の5大英雄はもちろん、国家防衛の要ラウンズに獣人国の三大英雄、神出鬼没の神刀のガンダルフに空間のエスメラルダ、人生のほぼすべてを行商にかけた、様々な街の情報や名産品に詳しく、あまり知られていないがぶっちぎりの武闘派商人、巨星タント老に全ての娯楽に美食、ありとあらゆるものを王都に集める男、知恵のオールウェイ。 

 

 なんでこんな大物ばかりがこの店の常連になってるの?しかもそのほとんどの人が、一般人に紛れて、普通に列に並んで入店してるなんて、それだけ引き付ける何かがあるって事なのかしら? 

 

 あら?確かに何やら嗅いだことのない匂いが・・・・・・って並んでいる!?匂いにつられていつの間にか並んでいるだと!? 

 

 まぁいいわ!どれだけ報告を聞いても、実際に食べてみない事にはわからないものね!なんでも毎日メニューが変わると聞いたけど、それだとお目当ての物や自分の食べたいものが食べれなくて不便じゃないかしら? 

 

 報告の話では今日は八百万のメニューの中でも人気だった、第五位の料理との事だけど、投票結果もみていないから何が出て来るかわからないけど、聞き耳を立てていると、濃厚なラーメンだとか? 

 

 店に入り、席に座りまっていると、目の前に出されたのは、スープ?中にあるのは麺?これがラーメン? 

 

 「今日は第五位濃厚ドロドロ系のラーメンだよ!お米とも相性がいいからほしかったらいってね!」 

 

 レンゲでスープを持ち上げてみると、確かにドロドロとまではいわないけど、ねっとりとろ~りとした粘度のあるスープだ、サラサラな普通のスープに比べると確かに粘度がある。 

 

 ネギが大量に上に乗っかっていて、メンマにチャーシュー、赤いショウガものっている。 

 

 一口飲むと濃厚な豚の旨味と鳥の旨味が雷の様に下から脳みそに突き抜ける! 

 

 強烈な美味さだ!なんだこれ!濃い!濃いのに臭くない!塩分もきつすぎない!不思議なスープ! 

 

 次は麺を持ち上げる、細麺でありながら細すぎず、程よく縮れた麺にスープが絡み持ち上がる。 

 

 麺と一緒に持ち上がったスープが丁度良く、小麦の味とスープの濃厚な味が一体となって心地よい舌ざわりとのど越しを演出する。 

 

 またネギがさわやかでいてシャキシャキといいアクセントになってる、なるほど!濃厚なスープにネギのさっぱり感、辛みをあまり感じずネギの風味がダイレクトに伝わってくる。 

 

 味玉、黄身がとろりと半熟で濃厚で、スープの濃厚さとは味も風味も違う、更に自分の舌に驚くのはそんな濃厚な二つの味をしっかりと分けて感じれる所だ、そしてその濃厚な二つが口の中で混ざりあうと、第三の味に変わっていく、それがまた官能的で妖艶で下の上で存分に転がして、鼻から抜ける空気までも堪能してから飲み込むと、はっと息を吐く・・・・・美味い!うますぎる!!。 

 

 タケノコ、メンマのコリコリ感を楽しみ、また麺をすする!ショウガがまた爽やかでまた麺が進む!それでもってチャーシュー!炙られたチャーシューが香ばしく、それでいて甘味を感じる脂!これは!?と思い、横に置いてある米を問答無用で口に入れると、まさに正解の天使が頭上に満面の笑みで私を祝福してくれる。 

 

 肉の味、甘味、にスープの濃厚さ塩味が米と絡み合って、咀嚼していると、喉奥が早く!早くこっちに運んでくれと催促する。 

 

 しっかりと若干硬めに炊かれた米をスープと一緒に咀嚼してごくんと飲む時の喉の幸せ感が半端ない! 

 

 ズルっとすするこの勢いと鼻から抜ける風味が大事なんだ!ズッっと勢いよくすする事で駆け巡る空気が脳を酢激する、香りこそは料理の初歩なのだと実感する。 

 

 嗅覚を遮断して食べると、食べ物の判別がつかなくなる、野菜と果物の違いに気が付けなくなるなど、嗅覚とは旨味を感じる重要な機関なのだと知る。 

 

 こんな食べ物は食べた事がない!麺の小麦感!ネギのシャキシャキ感!メンマのコリコリ感!卵の濃厚さ、肉の存在感!このとろりと濃いスープの中で懸命にこれでもかと存在感を発揮し、それどころかこの濃いスープと掛け合わせることで、自分の存在感もスープの良さも引き立て、それでいて別側面の美味さを表現する。 

 

 濃い味とはただ単純に塩味が濃いと言うだけではないのだとしっかり主張する、それと同時にこのラーメンの主役一本の柱は麺と見せかけて、実はスープなのだと実感する。 

 

 こんな凄い食べ物が毎日日替わりで出るの!?今回のこのラーメンですら凄いのにこんな凄いのが日替わりで出るの!?マジで!? 

 

 そして麺を食べ終わると、残るスープに米・・・・・そして卓上の調味料には豆板醤やらニンニク、胡椒やガーリックチップなどもある。 

 

 周りをみると答えはそこにあった。 

 

 とろとろのスープに米を入れる、そしてニンニク、ショウガ、ガーリックチップにネギ、酢を少々。 

 

 ああっ!見た目は悪い!確かに見た目は悪いさ!でもね、食った事のある人間にしか到達しない美味さってものがそこにはあるのだ。 

 

 慌てずゆっくりとスープに浸った米を口に入れる。 

 

 ごくじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!

 

 これが本命といわんばかりの美味さ!米、スープ、ニンニク、ショウガ、酢一見雑に混ざり合ってるだけかと思えば、どの味もしっかりと機能している!! 

 

 美味さの大爆発!米がどっしりとスープと混ざり、塩味は丁度良く最後まで食べてしまう!気が付けばどんぶりを持ち上げて、米を掻っ込んでいた。 

 

 やばすぎるわ!これ!最高に美味しい!そして綺麗に最後まで完食してしまった! 

 

 これ!次はいつ?いつ食べられるの??確か・・・ああっ!八百万は日替わりだから、これいつ食べれるかわからないんじゃない!!今はお腹いっぱいだけど、また物足りなくなったらきっとこれを求めてしまう・・・・・それなのにいつ食べれるかわからないなんて・・・・・。 

 

 こうしてまた一人、ラーメンと言う沼に沈んでいく人達が増えるのであった。

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