第57話復刻メニュー 第四位 チキン南蛮とガレス

 復刻メニュー 輝き鳥のチキン南蛮 

 

 - クラン ラウンズの隊長格 ガレス - 

 

 聞きました!聞きました!!聞きました!!! 

 

 なんでもウェールズで武道大会が開かれたとか!自分も参加したかったのに!アーサー様とガウェイン様だけが参加したとか!アーサー様とガウェイン様が自分から進んで戦うなんて非常に珍しいです、どんな内容か見たかった。 

 

 それ以外にもあの薬の大家ファウスト家の頭首と戦ったとか、ガウェインさんは5大災害・・・・いえ間違えました、5大英雄の深紅の衝撃、鮮血の聖女様クリスタ様と戦ったとか!くぅ~見たかったなぁ、他にもカラミティクィーンのニーア様、最近名前が売れている黄金のレオンにタイタンのレックス、精霊姫エーテルなど聞きなれた名前の人物が大集合とか、ガレスもガレスも参加できるならしたかったです、それでもってラウンズにガレスありと!世に名前を知らしめたかったのです!見るだけでも勉強になりそうな戦いに、伝説の空間のエスメラルダ様に、神刀のガンダルフ様までいたって話じゃないですか!? 

 

 ガンダルフ様とエスメラルダ様については、異名も目撃例も沢山上がってくるためにどの情報が本当に本人の情報なのか見当がつかないのです。 

 

 そんな噂話を聞きつつも、ガレスは謎の大行列に並んでいるのです。 

 

 お祭りは終わったっていっていたのに、ここだけお祭りの様に大行列なのです。 

 

 聞けば、ここはご飯を食べる食堂で、名を八百万と言うらしいのですが、う~んどこかで聞いたことがあるのです!しかもごく最近何度も聞いたことのあるような? 

 

 ガレスにはわからないのです。 

 

 食べ物はなんでも食べればお腹が膨れるのです!戦場で味なんて贅沢な事はいえないのです!腹が満たせればなんでもいいのです!美味いまずいなどは二の次で速さこそが正義!食事に毒を入れられることもあれば、呑気にゆっくりと食べていられる時間なんてないのです!味に現を抜かして、油断の元ばっさり切られてあの世いきなんて目も当てられましぇん! 

 

 それに結局どこの店も同じなのです!高級だろうと平凡だろうと、前菜という名の生野菜だったり煮た野菜だったりが少量、塩とか野菜とか肉から出しのとった似たり寄ったりのスープ、焼いたか煮たか蒸したかの魚に肉、大体の肉も魚もいい素材ならそれなりに美味いのです、そんでもって甘すぎるお菓子、砂糖を使いすぎているお菓子が並べられるのです、思わず顔がキュッとなるほど砂糖漬けのお菓子、それをごまかすお茶と高い所はどこもこんなもんです。 

 

 屋台の定番は串焼き!あれは完成されていて好きです!シンプルでタレでも塩でも美味しくわかりやすく簡単で、すぐ食べれる。 

 

 ガレスに料理がどうのこうのはわからないのです。 

 

 でもガレスは聞いたです。 

 

 あのアーサーさんが!仕事で一度も弱音を吐いたことがないアーサー様が言ったのです!「ああぁあっぁぁあああ八百万のご飯食べたい・・・・なんで自分の領地が目の前にあるのに私は王都にいるんだろうか?お米・・・・・食べたいなぁ・・・・・」といつになく長い溜息をついていたのです!その後ガウェインさんと何やら言い合いになっていたけど、アーサーさんとガウェインさんが最近ご執心なのが、ウェールズの八百万ってご飯所なのを突き止めたのです! 

 

 アーサーさんが言うならきっと何か特別な何かがあるんだと思うのです。 

 

 ガレスにはわからないなにかが・・・・・・・。 

 

 なんだかわからないけど、今日は中でも人気のメニューだとか?チキン南蛮?初めて聞くのです。 

 

 あっ!今ガレスを笑いましたね!いくらガレスでもチキンが鳥な事ぐらいは知っているのです!これでも王都で沢山ご飯を食べているのです。

 

 それなりに知っているはず? 

 

 そんなこんなで待っていると、小さな銀髪の狐人族の子です!あわわわわかわいらしいのです、お手伝い偉いのです! 

 

 「今日は復刻メニューのチキン南蛮だよ!タルタルも豪華にのって美味しいよ~!ご飯とお味噌汁はお替わり自由だから遠慮なくお申し付けください!」 

 

 大振りの鳥肉に何かタレがかかっている、それでもって更にその上に白いタレ?卵かな?小鉢が三つもついて、お米とお味噌汁がある。 

 

 お米・・・・知ってるのです、東方の島国の主食で、硬かったり、ぶよぶよのどろどろだったり、よくわからないのです。 

 

 まずは鶏肉、タレがかかっているし、分厚いこれを・・・・もぐもぐもぐ!!!!???? 

 

 なんなのです!?むっちりのしっとり!酸味と甘みのあるタレが電流の様に口の中を駆け巡る! 

 

 「ふわわわわ!こんなの初めてなのです!!」 

 

 つい大きな声を出してしまう。 

 

 お米・・・知っているのよりしっかりしてる、これもパクリ・・・・うん?ほどよく硬くて、噛めば粘りもあり甘味もあり、うん?まぁ悪くないですね、ああっ!主食!って事はお肉を食べた後にお米をっ!!!やっぱり!凄く合う!お肉の甘味と酸味をお米がどっしり受け止める!なるほど!お米を食べるためのおかず達なのですね!ガレス、理解しました! 

 

 サラダもキャベツ、大根、ニンジンを細切りにしてタレがかけられている。 

 

 食べやすくてシャキシャキの食感が楽しいです!これなら野菜もいくらでも食べられますねぇ~。 

 

 小鉢には塩オクラ、さくさのとろとろでこれも癖になる! 

 

 ピリ辛の万能ねぎ!万能ねぎのキムチっていってましたが、これもお米が進みます! 

 

 大根、ニンジン、シイタケ、サトイモの煮物、どこかホッとする味です、そして味噌汁、程よい塩味と魚介の風味、わかめにネギに豆腐が丁度いい、このスープは凄い!口の中を洗い流す事も、お米と一緒に食べる事も出来る!なんて考えられているんだ。 

 

 凄いのです!どれもこれもちゃんと考えられていて、なんとなくで出しているわけではないのですね!どれもがお米にあう様なものばかり! 

 

 またお肉を一口、今度は白いタレが乗っている所をバクり・・・・・おんぎゃぁああああああああ!!!このタレがかかっていない所も十分に美味しいのに!白いタレ、それでいて濃厚な卵の黄身!これが合わさる事でまた一段と美味しくなってる!。 

 

 サクサクの食感にむっちりの鶏肉のアピール!酸味と甘みのタレの次に顔を出すのはクリーミーで濃厚なタルタルの味!淡白でさっぱりしがちな鶏肉を濃厚でたまらない味わいに昇華してる、それでもって米を食う!掻っ込む!!一見肉だけでも完成していると見せかけて、米!米が凄く美味い!頬一杯に米を食い!飲み込む!ああ美味い!これだけでは終わらない!ここで味噌汁をごっくんと飲めば、絵にも言われぬ爽快感! 

 

 おかず!米!味噌汁の三連打! 

 

 一息ついた時の、塩オクラと万能ねぎのキムチがまた美味い!そして口直しのサラダも食べやすく、野菜独特の甘みもいい。 

 

 凄いです!ご飯を食べる事でここまで感動したのは初めてです!なるほど!みんなこの快感や感動を求めてお店にご飯を食べにくるのですね!ただ膨れればいいわけじゃないってガウェインさんの言葉今になってわかったのです! 

 

 美味しいってこういう事を言うんだ! 

 

 美味しいを知ってしまうと、今度は他のメニューも気になってくる、それよりも王都の食事ではこんな事考えもしなかったけど、今食べてみれば違った発見をするかもしれない、ガレスの報告書にウェールズの八百万でチキン南蛮を食べ、食事についての今までの考えや価値観が変わったと言う報告書がアーサーとガウェインの元に届く事になる。 

 

 それと同時にガレスの美味しい物探しが始まるのだった。

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