第33話生姜焼き

 やっと普通の日常が戻ってきた、とも言えない、アーサーさんが帰ってから宿は解放されたんだけど、これが大人気で、今まで娯楽施設などが殆どない街に、簡単に遊べるパーク施設が誕生したわけだから、冒険者はもちろん、街の子供から大人までが遊びにくるわくるわ、アスレチックコースなんかは冒険者達にとってはいい体の動かし場所で、障害物などをどれだけ早く越えるか競争している人達もいるくらいだ。 

 

 ボルダリングは子供から大人まで楽しそうにしている、ビリヤードやダーツなどは完全に大人の遊びになっていて、これも評判がいい、ボーリングは楽しめている人と別れてるみたいだ。 

 

 広めの体育館だった部屋は、バスケとミニサッカーが人気で子供も交えた混合チームで遊んでいるらしい。 

 

 運動して汗をかけば、風呂に入りたくなる、そして大浴場で風呂に入ると、これがまた気持ちよくて悪くない、これに気が付いて施設は大繁盛、問題は飲食だ、まともに食事する所が八百万しかない、商業ギルドが選別した屋台が何件か入っていたが、どの屋台も売れに売れて材料が足らなくなる程、繁盛した。 

 

 八百万も商業ギルドから店員をやとって、焼きそば、お好み焼き、食い応えがあるデカいホットドックなどを販売、アイテムボックスに個包装された物を箸やフォークをつけて渡すだけなのだが、これが滅茶苦茶売れた!最初は孤児や仕事がない人など雇うと思っていたけど、俺が考えてる事なんて、ギムレットさんも考えている事で、腕が欠損した引退冒険者や、冒険者である夫が死んでしまった人妻などを率先的に雇った上に、給料もこの職業だけで余裕ある生活が出来るほどの給料をあげているので、社会奉仕的な部分も強調できてよかったと思う。 

 

 ここ最近、店を開けたり、閉めたりでボケーっとしてたのが、俺にはいい休みになったみたいだ。 

 

 なんかもう宿の施設に屋台だけでもいいのではないか?と何処か肩の力が抜けた感じなのだが、そして今日のご飯は生姜焼き!キャラメル豚という濃厚で美味い豚肉を使って、分厚く切った生姜焼きである。 

 

 豚肉には薄力粉をまぶして、タレがより絡まる様にして、醬油、砂糖、みりん、料理酒、ごま油にすりおろしショウガでタレを作成、くし切りの玉ねぎもいれて炒める。 

 

 キャベツの千切りに肉をこれでもかと三枚、マヨネーズも添えて、味噌汁、煮物にはこんにゃく、牛すじ、サトイモ、人参、とヒジキと昆布の佃煮、今日の漬物は柴漬けをつけて完成だ。 

 

 もうすんごい、いい匂いに、キャラメル豚の肉がてらてらと輝いて食欲をそそる! 

 

 「みんな~ご飯できたよ~」 

 

 一声かけると、ドタドタと足音を鳴らしながら、三人が現れる。 

 

 「いっちば~ん!今日の飯はなんだ!!」 

 

 「二番!いい匂い!」 

  

 「匂いでお腹がなります」 

 

 とみんなが揃った所で、店のドアが開いた。 

 

 「旦那・・・・頼む!俺にも飯をくれ!!」 

 

 ドアを開けたのはレオンさんだった。 

 

 レオンさんの分も生姜焼きを用意して、今度こそ頂こう。 

 

 「「「「いただきます」」」」 

 

 「肉!美味い!これ生姜かぁ~めちゃくちゃ合うじゃん!」 

 

 「甘しょっぱいタレが、お米と合う!!」 

 

 「キャラメル豚のお肉!ぷりぷりで美味しい!!」 

 

 「うぉぉおおおこれだよこれ!!俺が食いたかったのはこれなんだよ!!」 

 

 「もうちょっとで開店だけど、まてなかったのレオンさん」 

 

 「あぐっもぐっあぐあぐ!!んんんっごくん、すまん水飲む!ごっくごっく」 

 

 凄い食いっぷりだ、何日も食ってない人みたいな勢いで食べてる。 

 

 「ぷは~・・・一心地ついた・・・・だってよぉ~ここ2~3日八百万休みだったろ?夜の部はやってたけど、昼の部の飯はお預けだったからなぁ、他所の店いくんだけど、これじゃない感が強くてなぁ、今先頭にならんでるのも、相当溜まってるぞ、なんつ~か八百万じゃないと満たされない、なんかがあるんだよなぁ~、まず米が美味い店っつったら八百万よ!値段も安かったり、手頃だったりでいい肉に魚なんかが食える!値段の安さはまぁ二の次だな、問題は味よ!これだってそうだ!ジンジャーを肉に使うなんて、他の料理人がやるかぁ?そんなの聞いた事もねぇ、そんな料理が出て来るし、それにここでは腹痛に絶対ならないってのも噂で広まってるからな、安全に美味い物、生もの食いたきゃ八百万ってな」 

 

 「しかも毎日メニューが変わるからな、一日くいっぱぐれた時の飯の話を聞くとさぁ、滅茶苦茶損した気分になるんだよなぁ」 

 

 「そうそう!!流石ニーア嬢よくわかってる、次いつ作ってもらえるか分かんないってのもなぁ、これめっちゃ美味い!って物も次の日は違うメニューになっちまうからなぁ、遠出して地龍狩りにいった時は、飯時になると今八百万ではみんな何食ってんだろうなぁ、なんて考えてたもんよ」 

 

 「ここは王都にも近いし、ダンジョンも日帰りでいける、更に漁港も近い、ただでさえいい街なんだが、この頃他のクランなんかも、この街に拠点か支部を作ろうって話が出ているらしいね、有名どころが何件か私の所に話もってきてたよ。アーサーもラウンズ連れてこの街に来ようとして、王様に何考えてるんだ!って怒られたらしいぞ、だっはっはっは」 

 

 「王都の要のラウンズ動かしちゃまずいでしょ、流石に」 

 

 「グラナダの奴はこっちに拠点構える気で動いてるみたいだな、あたしにこれからよろしくって言って帰ってたし、斗真宛てにグラナダ鉄砲貝をこれでもかと送ってきたり、ぜひ店で使ってくれってさ、仕入れってレベルの量じゃないけど、流石グラナダファミリアの長だな」 

 

 「王家からも七色シリーズ色々頂いたんで、また今度の休みにみんなでパーティーしようよ。折角の最高級品だもん。それに流石王家、送ってくる量が多い事、でも安値で店に出しちゃうとうちの店睨まれちゃうから、出しづらいんだよねぇ、それにこんなにもらっていいのかもさぁ」 

 

 「いいんじゃない?従者部隊序列1位のルーファウスが狩ってきたやつだろうし、遠慮するだけ無駄だぜ」 

 

 「無敵艦隊のルーファウス・ヴァレンタインかぁ」 

 

 「その内ルーファウスも遊びに来たりしてな、あいつは先代の稀人とも仲良かったらしいから」 

 

 「先代の稀人ってアーサーのお爺さんが若かった時にあったっていう?ルーファウスさんって何歳で何者なんだ?」 

 

 「さぁなぁ、わたし達が子供の頃から見た目変わってないな、ずっと老執事って感じの見た目だ」 

 

 「こわぁ・・・・」 

 

 「アーサーとグラナダとガウェインが自慢したって話だから、これから別領地の貴族や有名冒険者なんかも遊びにくるだろうなぁ、あと商業系の富豪とかも、まぁギムレッドとクラウスにいがいるから、変に手を出す事も、無礼な真似もできないんだけどな、煮物うまぁ」 

 

 「八百万にVIPが集まるねぇ、やっぱ肉やわらかくてうまぁ!おれいつの間に箸の使い方うまくなったろ?」 

 

 「そんなもん、あたしだってそうさ」 

 

 「ねねも!箸って便利だよね」 

 

 「慣れればフォークより便利です」 

 

 「もらいものが多いから、なんかフェア?祭りやりたいね、グラナダ鉄砲貝祭り!みたいな」 

 

 「マジか!?いいなぁそれ!ここなら安全だし!滅茶苦茶食いにくるぞ!」 

 

 「面白いかもね!ねねは楽しそうでいいと思う!」 

 

 「わたしもいいと思います!」 

 

 「わたしは食う側にまわりたいね!美味そう!!」 

 

 貝祭りとか、うちだから出来る刺し身とか海鮮丼の日とかあってもいいかもなぁ、刺し身定食とかもいいし、うちなら生で安全に食べれるって所もっとアピールしたいな。

 

 

 

 

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