第34話グラナダ鉄砲貝祭り 猫獣人 ミニャ
今日はグラナダ領から大量に入荷した頂き物のグラナダ鉄砲貝祭りの日、生に焼き、ワイン蒸しにカキフライなど選んで食べ放題!!小金貨1枚ときたもんだ!。
冒険者ギルドではニーアさんが、商業ギルドではギムレットさんが、本日八百万!グラナダ鉄砲貝食べ放題の日!となっていると宣伝の張り紙をだしてもらってる頃だ。
さてここで日本の牡蠣とグラナダ鉄砲貝の大きさの違いを説明しよう。
日本の物でも拳一つ分の大きさがあったりする牡蠣だが、グラナダの物は更に拳三つ分はデカい!ぷりぷりして複雑な味わいがあり、豊かなこくがあり、どこかクリーミーな味を感じるとっても美味しい貝、ただ雑食な為、人体に有害な物を食べたりすると、それを食べた人間が腹痛になってしまう事がある。
だが神の加護で、寄生虫や病原菌などを寄せ付けないスキルをもってる八百万では安心安全に食べる事が可能で、更には毒物なども除去してくれる為、その後腹痛になる事もないのだ。
ただここで注意するべき点がある、蟹の身や水分たっぷりの貝は食べすぎると、その水分が吸収しきれずに便として排出される事がある、腹痛とは別の理由で下痢になる事や水が出るなんて事があるので食べすぎには注意が必要なのである。
グラナダ・フォン・リナリア嬢に気に入られた八百万に、グラナダ領から船にでも積み込むのか?ってくらいの量が送られてきた、仕入れでもこんなに買う事はないとはっきりといいたい。
その分お値段も相当だと思う。
グラナダ嬢は「何、私のおこずかい程度の金額だ!気にするな!」と言われたが、食べ放題で相当数出しても、最低でも10回くらいは祭りができる量だ、なのでつまりはとんでもない量の牡蠣がただで手に入ってしまったのである。
八百万を通してグラナダ領の貝を楽しもう、改め、グラナダ・フォン・リナリア様のご厚意に感謝して、ウェールズの街とグラナダ領の更なる発展を目指し、グラナダ鉄砲貝祭りは開催された。
まずは生でレモンに醬油、これがたまらなく美味い、ぷりぷりの身を噛み切ると跳ね返ってくる程よい弾力、むっちりとした食感に口に広がるのは独特の貝の風味、一口じゃ食いきれず二口めを口に入れるが、全然違う風味が鼻を抜ける、海の味をどことなく感じるそんな味。
そして焼き牡蠣に、レモンと醬油でもぐもぐもぐ!これが美味い!夢でも見てるかの如く美味い!そしてデカい!頬張った一口をぷっつりと噛み切ると、後二口分くらい余っている。
食いつく場所でも味の濃厚さは変わり美味い、さっぱりしてる所もこりこりの所もある!。
日本の牡蠣の三倍くらいのデカさの貝に、味も複雑に違いまた満足度も変わってくる。
ここで変わり種、ホワイトソースにパン粉チーズで牡蠣グラタンだ。
ホワイトソースの甘味とチーズの塩味、パン粉の香ばしさ、こいつは贅沢な一品だ!美味い!
おっと一人で味わいすぎた、ねねやリリも呼んでやらなきゃニーアさんもそろそろ来るはず。
「ねね~リリ~」
ねねとリリを呼ぶと、先に店のドアが開いてニーアさんが顔を出した。
「はぁはぁ!斗真先に食ってただろ!めっちゃいい匂いただよってた!」
ニーアさんの嗅覚は恐ろしいな、まずはお水を飲んで落ち着いてもらおう、何も走ってこなくても。
「牡蠣だぁ!」
「ねね牡蠣食べれるの?俺がねねくらいの時は生牡蠣苦手だったなぁ」
「ねねは大丈夫!」
「私も大丈夫です」
「私ももちろん大好物だぞ!」
「じゃあとりあえず生3個焼き3個蒸し3個グラタン1個で、足らなかったらいってね」
「うひょ~生のグラナダ貝!滅多に生じゃ食べられないぞ!グラナダ領にいっても生じゃあぶないからって出さない店の方が多いんだ!ぷりぷりで美味い!すっごい濃い味だぁ!」
「むっちりこりこりで濃厚!噛み応えもいいし、これは人気でちゃうよ~」
「生ってちょっと前までなら考えられないのに、手を加えてないのにこんなに美味しいなんて不思議です~」
「焼きも美味いよ、引き締まってくにくにして、生も美味しいけど焼きが好きって人も多いだろうね、グっと風味が変わるのも面白い」
「初めてなら生より食べやすいかも、ちょっと小さくなってるけど、それでもまだ大きい!」
「焼きの醬油とバターが最高にあう!美味すぎるよ!斗真!昼もエールだしたら売れるぞ、ワインや日本酒もいいかも!」
「確かにお酒とセットで出せば売れそうだけど、昼の間は出さなくてもいいと思う、よりつけなくなっちゃう人も出そうで」
まぁ昼は飯処だから、お酒は夜にって事で。
「ワイン蒸しも美味しい、香が違う、なんだろう身も全然違うものに感じる!しっとりして美味しい!」
「日本酒で蒸しても美味そうだよなぁ」
「香りならワインかと思って、そっちにしてみた、これもいけるね」
「高級なお店で出てきそうです」
最後はグラタン。
「ねねはこれが一番好き!はうあう!美味しい!!」
「貝だけでも美味いのに、これはもっと美味いな!あぁそういえば貝のタルタルも美味かったよなぁあれはやらないのか?わたしも牡蠣のフライのタルタル最高だと思うぞ!」
「揚げも注文にいれようか、タルタルもストックあるし、実は牡蠣で米を一緒に炊いた牡蠣飯もあるんだけど食べる?」
「「「食べる!!」」」
振り洗いと醬油洗いをして、牡蠣を最初に調味料と煮込んで味をつけておくことがポイントと、米が沸騰した状態の時に牡蠣をいれるのが、美味しく炊けるポイントだと、プロのレシピって書いてあった。
醬油、酒、塩、昆布だしのタレに沢山の塩で汚れを取った牡蠣を投入して味付け完了。
調味料ごと炊飯器に投入してかき混ぜてまた蓋をすれば、後は炊きあがるのを待つだけ。
「くっは~お米つやつやで美味しそう!」
「牡蠣の身の旨味を吸い込んだ米!」
「美味しそうです!」
おこげもあってめちゃ美味そう!。
「「「「いただきます!」」」」
「あぁ~やっぱり美味しい!うちの常連さんなら絶対ほしがるよこれ!」
「牡蠣も全然違う!焼きとか蒸しと全然違って!こいつも美味い!そんでもって米も美味い!」
「なんて贅沢なご飯なの~!むっちりした牡蠣とお米!おかずなくてもこれだけでご馳走だよ~」
幸せそうな顔で一番美味そうに食ってるのが、牡蠣の炊き込みご飯とは、やっぱりお米が美味いのもあって牡蠣と合わせると、日本人の心を揺さぶるなぁ、他の炊き込みご飯ももっとやっていきたいなぁ、簡単で美味しいって凄い事だよね
-猫の獣人ミニャー
王都に用事があったけど、王都の一部の人間はあまり獣人が好きじゃないみたいで居心地がわるい、だから素早く用をすませると、ウェールズを経由して海辺の町にいって、好きなだけ魚をたべるのだ!!。
ミニャは港街を中心に旅を続けるのだ、港街でもとれる魚も違えば、大きさも違ってくる。
船の様な大きさのシーザートゥルーがいると思えば、小さなリバイアサンしかとれない街やクラーケンも小さいければ、大きなタイガーシャークの縄張りの街もある、黄金ヒラメが大量に捕れる街があればレインボートラウトが船に山盛りで捕れる街もある。
街によって特産の魚は変わってくる、その地域でしか捕れない魚を商人がマジックバッグで大量に運んで分け合って発展していってる。
ミニャは生の魚が好きなんだけど、生の魚は新鮮でも腹痛になるかもしれないから滅多に食べれない、生好きのミニャも腹痛でのたうち回った時は流石に駄目だと思った。
それでも生の魚は美味い!ぶっちぎりで美味い!でも腹痛は怖い!尻から水が出るほどお腹が痛くなったりもする。
グラナダ領名産の鉄砲貝、身が大きくぷりぷりのこりこりで磯の香が鼻を抜ける、生のサクサク感も最高で滅茶苦茶美味い!腹痛になってもいいから食いたいと思うくらい美味い貝なのだ。
港街の前にウェールズの冒険者ギルドに寄ったら、なんと八百万なる店でグラナダ鉄砲貝祭りが開催されると聞いた、ぐぬぬっ興味がある、グラナダから離れているけどきっと新鮮な貝を大量に手に入れたのだろう。
新鮮でもなぁ~腹痛いなるかならないかは運だからなぁ~。
そう考えているとこんな声が聞こえて来た。
「おい!八百万でグラナダ鉄砲貝の食い放題祭りだってよ!」
「マジか!?流石旦那!!わかってる!折角神様の加護で腹痛にならない加護もらってんだから、生魚や貝にチャレンジしなきゃな!」
「海辺の街でも安心して生で食える所なんて滅多にないぞ!ウェールズでそれが食えるんだから、俺達は幸せだよなぁ」
「馬鹿!そんな事言ってないではよ並びにいくぞ!今頃列絶対できてるって」
「急げ!」
その声をミニャは聞き逃さなかった、グラナダ貝が食べ放題でしかも腹痛にならない??。
神様の加護?聖人認定されたとかなんかといってた稀人って奴なのだ?
走り出した男たちに軽くついていくと、列が出来ている店がある、あれが八百万?
「お兄さん達、ここ八百万の列であってるかにゃ?」
「うん?ああ、そうだよ、お前さん他所からきたのか?そりゃ運がいいなぁ、今日はグラナダ鉄砲貝の食べ放題祭り、小金貨1枚だそうだ。しかもここの料理人の加護でな、魚も貝も肉でも生で食っても腹痛にならない加護をもらってるんだ。俺は生肉を食った事があるけど、極上だったぞ!ぜひ八百万の飯を食ってみたらいい!」
「はぇ~腹痛にならないなんて凄い加護なのだなぁ、しかも貝が食べ放題小金貨1枚!!港街でもグラナダ貝は一個銀貨2枚はするのだ、それが食べ放題・・・・」
「並ばなきゃ損ってもんだろ?」
「まったくなのだ!!」
そのまま並んでいると時間はかかったものの自分の番が来た。
もう口もお腹も貝が食べたくて食べたくて仕方ない状態なのだ!
「いらっしゃいませ~、お一人様!こちらへどうぞ!本日グラナダ貝食べ放題小金貨1枚となっております。生から焼き、蒸し、揚げ、炊き込みご飯もあるのでお好きにお選びください!」
「まずは生5個!焼き5個!揚げ?も5個なのだ!!」
「かしこまりました!」
牡蠣は驚くほど速く運ばれてきた。
「醬油にレモン、塩、チリソース、揚げはタルタルソースがおすすめです!ごゆっくりどうぞ!」
まずは生をそのまま!もぐもぐ!うみゃい!新鮮そのもので身も厚くぷっちりと噛み切れる!
くにくにと噛み切ると香りが広がっていく、ああっこれ大好きな奴!
次は醬油とやらで・・・・うまぁあ!全然違う!味が変わる!ああっレモンも爽やかでいい!
焼きも、身が締まって風味が強くなって美味い!ねっとりとして濃い旨味だ!。
次はバターと醬油で!バターでクリーミーになって、また醬油と合う!。
揚げ、さっくりとした衣にほくほくの身がぎゅ~っとつまって美味い、溢れ出る汁がまた美味い!
タルタルなるソースをつけると、これはもう表現できない何とも言えない旨味!主役と主役のぶつかり合いで口のなかでカーニバルが開催されている!。
無我夢中で食べていると、貝はあっという間になくなってしまった。
「あにゃ~すいません、お替りを!」
「はい!次はグラタンと牡蠣飯なんてどうですか?」
「グラタン?牡蠣飯?」
「グラタンはホワイトソースにチーズパン粉で焼き上げたもので濃厚で美味しいですよ。牡蠣飯も牡蠣を調味料で煮込んでご飯と一緒に炊いたものです」
「わかったにゃ!それくださいにゃ!」
「かしこまりました!」
ちょっとして熱々のグラタンとほくほくのご飯が運ばれてきた。
熱々は苦手だけど、ちょっと冷ませば熱くても食べれる。
のびるチーズ!豪華だ!この白いソース、ミルクみたいで美味い!そしてチーズと一緒に貝をもぐもぐもぐ!うんんみゃああああああい!まろやかで濃厚で、喧嘩なんかしてないのだ!ぷりぷりの身は健在で磯の香とチーズの塩味、甘味!美味い!。
続いて米?ご飯?スプーンで米と牡蠣を持ち上げて、口に運ぶ、これ最高に美味い!もちもちの米とむっちりこりっとした貝!なんて相性がいいんだにゃ!この味は醬油で味付けしたのか、米にも貝の旨味がしみ込んでいて、とてつもなく美味い!
ああん、飲み込む瞬間が快感だにゃ!貝と米!なんて贅沢な!これだけ食べて堪能しても腹痛にならないなんて、最高すぎる!!
生が一番だと思ったけど、焼きも揚げも最高だった。
グラタンも炊き込みご飯も生では味わえない美味さ!まさか調理したものがこんなに美味いなんて初めての事にゃ、これが料理!聞けば生の魚も出るって話だにゃ。
港街にいくより、ここで食べた方がいいのかもしれない、ちょっと当分この街で八百万に通って様子見をする事にした。
あぁ~それにしても美味い!!
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