第19話能力の確認 神の祝福に乾杯
優しく温かな光、心地の良い温もりに触れながら、光に飲み込まれていくのを感じる。
すると女神様の声が聞こえて来た。
「この世界は貴方の世界よりもずっとずっと広いとても広い世界、危険や困難が大きく強大な力をもっていても簡単に滅んでしまう世界、こんな過酷な世界に貴方達が来てくれた事をとても嬉しく思う、いつか運命が交差して貴方と彼が出会う事があるかもしれない、貴方達に幸せが訪れますように」
彼?俺以外にも同じ世界の人間が?優しい声は遠くなり、祈りを捧げていた大聖堂に意識が戻された。
目を開くと目の前にはクリスタさんがいた。
「斗真様!?神様にお会いになられたんですね!?」
「すっごい光だったよ!」
「おったまげた~、でもあたしにも神様が声かけてくれたぞ!?斗真をよろしくおねがいしますってさ!」
「私にも聞こえました!まさかニーアにまで!?」
「ねねも聞こえてたよ!ね?お姉ちゃん!」
「私にも聞こえてました!!」
「う~んこの分だとフィガロさん達にもお願いしてるかもしれないですね。それにしても神様が直接降り立つとは思いませんでした!」
「神々しい光だったなぁ、綺麗だった」
「斗真さん神様はなんて言ってたんですか?」
「え~と、俺の料理に喜んでいてくれたみたいだ、それにスキルとか色々くれるって、料理でちょっとずつでも人を幸せにする事を願ってるって言ってたな」
「何か使命でも与えられたわけではないんですね」
「ああ、そう言うのはないみたい。ただいつでも見守っていてくれるみたいだった」
「斗真さんごめんなさい、貴方は望んでないかもしれないけど、貴方は聖人認定される事になりました、神様から直接お声を掛けられ、見守られる存在、そんな方に権力を持つ貴族や王族が無礼を働かない様にする為の処置です。神様のご厚意によって来た貴方をないがしろに扱ったり、悪意ある者にいい様に使われたりすると、恐ろしい天罰が下ります。これは私達自身を守る為でもあるのです。ご理解ください」
「そこらへんはおまかせします。まぁたかだか素人料理人ですから、利用価値なんて元からないようなものですけど、自分でも弱いってのは理解してますから、それに今まで通り店で料理していていいんですよね?」
「もちろんです。神もそれを望まれています」
それを聞いて、リリにねね、ニーアもほっとした顔をした。
「お兄ちゃんともう一緒にいられないのかと思ったよ~」
「私もです。恩も返してないのに」
「もう斗真のご飯食べれないくなるかと思って焦った~」
みんな心配してくれてたみたいだ、今日はお祝いをしようか、なんか俺が神様に受け入れられた記念日みたいな?みんなと会えてよかったみたいな感じで。
「なんにせよ、今日は女神様にあった記念に、ご馳走を作ろう!ご馳走と言えば!お寿司だ!」
「ご馳走!どんなの!?豪華な料理なの!?」
「わ~神様には会えるし、斗真兄さんとは一緒にいれるし、本当にいい日です!」
「あたしもだよな!?あたしもそれ食えるんだよな!」
「私も参加します!ニーアばかりずるいわ!」
ルーカスさんのお店で、新鮮な魚を手に入れなきゃな~、どんなネタがあるかな~他にもからあげはご馳走だよな!シチューやピザなんかも用意しちゃってさ、下処理にちょっと時間かかるけど、煮込み始めれば手がかからないし、ピザも基本生地さえできれば焼き上げる具を乗せるだけだし、寿司も握らなきゃいけないけど、今の時間に仕入れて始めれば夜にはパーティーができるな。
丁度休みでよかった。
ちょっとスキル確認してみようかな?スキルと念じるとスキル一覧が出て来た、スキル 調理、日頃の調理の賜物、作業スピードがアップ、効率化、プロに負けない味つけに!貴方の料理の味に思わず食べた人は感動しちゃう!スキルレベルが上がると、唯一無二の料理人になれる事も・・・。
作業のスピードアップと効率化は嬉しいな、それに今まではネットのレシピ通りだったけど、これからは俺の味付けでも問題ないって事かな?それに俺の料理は他の人にはない旨味が出たりするのかな?まぁ元が素人だからこれぐらいスキルでもないと、本物のプロには勝てないし追いつけないよなぁ。
建築や遊具作成、魔道具作成は俺の願いや願望そのまんま叶えてくれたみたいだ、流石心の中まで丸見えだったから、欲しいスキルもバレてたんだろうな。
毒感知は料理に毒や不純物など入っていないか確認できるみたいだ。
金剛体はゲームで言う、ステータス異常無効で怪我や病気に強くなったみたい。
身体能力強化はまぁそのまんまだよね、あまり深く考えない額面通りの能力だろう。
解呪は呪いを打ち消すものだけど、何故?なんでこの能力がもらえたかわかっていない、最後にものまね、説明欄にはものまねで相手の技をコピーしちゃおう!いざとなった時の為これさえあれば、バトルスキルなんていらないよね!って書いてある。
確かにそうかもしれない、一瞬で本当にコピーできるなら、体が追いつくかわからないって、ああその為の身体強化か・・・・なるほど、え?でも戦闘は一切ないよ、本当になんなら他人の戦闘を見る事もないんじゃないだろうか?
ものまねは他でも使えそうだからいいけど、お魚捌く動画とか動物の解体に仕込みの動画なんか色々沢山みてるから、ものまねで効率化を図れば、さらに調理スピード上がるかも知れないし、結果的にはいいものもらったかも
さぁルーカスさんの店によって、ご馳走作りますか!。
女神様に会って、スキルをもらって、この世界にいてもいいと言われて、なんだかすごく嬉しい気分だった、居場所をもらえた様な、認められたような、ちょっとソワソワするけど誰かに期待されるのは悪い気分じゃない、こんな時はみんなで美味しい物を食べよう!異物や細菌除去の能力をもらえたのだから、生魚も怖くないはずだ。
ルーカスさんとフィガロさんの所にも顔を出して、今日はうちで盛大にパーティーする事を伝える、もちろんギムレッドさんにもだ。
ルーカスさんのお店で寿司ネタやピザの上に乗せる具になる物を購入して、シーフードピザをそれとマルゲリータや照り焼きのピザ、シチューの中に使う具はなんと!七色シリーズのレインボーバイソンのタンを使う、下処理の段階で魅惑的な見た目をしてる、これタン刺しにしても美味しそうだし、シンプルに炭火でも滅茶苦茶美味そうだ!
料理人のスキルのお陰か、作業が早い!スルスルと体が倍速になった様に動く、なんか色々法則無視してるかの様な動きだけど、ファンタジーだしこんなもんだろって感じだ。
米は日本の物を使う、酢は異世界産の琥珀酢だ、甘味があってすっぱさに棘がないまろやかな酢、すっぱいのが苦手な俺でも、この酢からは旨味を確かに感じる。
寿司は子供の頃に漫画やドラマにあてられて、よく握る練習をしたもんだ、その後も家で寿司パーティーをする時なんかは、自分でも率先的に握ったりもした、漫画を真似ておからで握る練習なんかしたりもしたもんだ、その漫画の影響で煮アナゴとたまご、こはだにも拘った事があった、親戚や家族なんかは俺が寿司屋を目指していると勘違いするほど練習した。
蓋を開けてみると、ただ個人的にこだわっただけで、寿司屋を目指していた訳ではなかったのだ、そばが好きで自分でそばを作り始める人の様に、自分も家庭の範囲内でどこまでやれるかやってみたかったのだ。
マグロのシーザートゥルーに、イカのスケルトンデビル、脂の乗った隠れアナゴに、鮭のゴールデントラウトそしてその卵を使ったイクラ、完美鯛に雪崩ブリ、太陽カツオ、ジュエルシェル、とろけアジ、雫ウニ、珍しい所で桜鯉とクリスタルフィッシュ、英雄魚や霜降りフィッシュなども手に入れた野菜屋で雪芽ネギなんかも手に入った。
これらのネタを握って一人前ずつに仕上げていく、簡単に捌ける、クリスタルフィッシュなんか凄く難しいはずなのに、スキルのお陰か難なく捌けた。
ニーアさんとリリ、ねねはフィガロさん達が来る前にお風呂に入っているから、まだ寿司がどんな料理かわかってない、俺は料理達を並べて布をかけてあえて隠した。
「ふぃ~気持ちよかった~!斗真の家の風呂!良く出来てるな!いいなあれ!」
「も~ニーアおねえちゃん子供みたいにはしゃぐんだから~!」
「お腹すきました~」
「もうちょっとでフィガロさん達もくるって・・・早速きたみたい」
外からフィガロさん達の声が聞こえる。
「おう!きたぞ!昼間俺の所にも女神様の声があったぞ!なぁルーカス!」
「あれには驚いたな!まさか俺に神託が下るなんてよ」
「斗真さんをよろしくとの事ですが、クリスタさんが聖人認定の手を回しているので、そうそう厄介ごとに巻き込まれる事はないでしょう」
「私達の身を守る為でもありますからね、不手際はないはずです。ってニーアあんたここに住み着くんじゃないでしょうね!」
「風呂でさっぱりしたぜ!お前らまってたんだから、早速食おうぜ!」
「はいはい座って座って!じゃあお披露目しますよ!今日の料理は・・・・・お寿司で~す!」
「「「「「「おお~~~~~・・・・・・」」」」」」
寿司を見てなんとも言えず、固まる面々、見た目は綺麗なはずだ。
「斗真・・・あの、なんだ?これ生じゃないか?」
「そうだよ、寿司ってのは生の新鮮な魚を酢で味つけたご飯に乗せて食べる物なんだ!スキルのお陰で病気になる様な菌も寄せ付けないし、寄生虫や異物の心配もない!こんなに安全安心に食べれる生の魚なんて、そうそうないと思うよ」
「安心安全っつってもなぁ」
「お前ら斗真の料理をまだ疑ってんのか?あたしは食べるぞ!いただきま=す。んぐんん!んお!斗真!これめちゃくちゃ美味いな!シーザーの身か!鼻を抜ける香もいい!」
「私もた~べよっと!スケルトンだ!もぐ!もぐもぐ!んん!コリコリしてあま~い!何これ!?焼いたとも煮たとも全然違う!?」
「私はゴールデントラウトを!?もぐもぐ!ねっとりとした旨味!独特の脂の甘味がなんともいえないです!?ふしぎ~!それにさっぱりしてる!」
「私も食べます!ニーアに負けてられないんで!?ふわ!ぷりぷりの触感にほんのり甘い!しゃきしゃきの触感が!これ凄い!完美鯛ですか!?美味しい!!!」
「私もいただきますよ!これは雪崩ブリですか!ザックザクの触感にとろっと溶ける旨味!濃厚ですね!焼いた時のほくほく感とは全然違います!生って臭くないんですね~!これは凄い!ルーカスさん!魚屋ならこんな珍しい料理があるなら、ぜひ味わってみないと!」
「ええい!わかってるよ!どれも俺の店の魚だ!悪い魚なんてねぇ!だが太陽カツオはちょっと癖の強い魚なはずだけど・・・どれ!おお!こいつはいい!上に乗ってるネギやニンニク、ゆずで臭みを消してんのか!悪くないじゃないか!くぅ~濃い旨味を放ちやがる!酒がのみてぇ!」
「どいつもこいつもおっかなびっくりしてた割に美味そうな顔しやがって」
フィガロだけがまだ食わずに様子を見てる。
「まぁまぁフィガロさん、これでもどうぞ」
「これは?」
「霜降りフィッシュを炙った物だよ、これなら大丈夫じゃない?お肉に使うタレも塗ってある」
「炙ったって半分生じゃね~か、肉も魚も昔から生はあぶねぇって教わってんだぜ・・・・まぁそこまで言うなら食ってみるけどよぉ・・・・・ん?んんん??こりゃ!極上にうめぇ!炙った事で香ばしさと脂がじゅわっと溢れやがる!生の部分も悪くねぇ!味のコントラストか!」
「ほれ!美味いじゃないか」
「ぐぬ!斗真の料理だから安心して食えるんだ!他所だったら腹痛になって寝込んでるわ!」
「まぁそりゃそうだ!おおほんとだ!うめぇ!霜降りフィッシュ!とろける美味さだ!」
「醬油につけて食べるともっと美味しいし、お好みでちょっと刺激的だけどわさびをどうぞ」
「醬油・・・・東国の調味料ですね。これは・・・・つけるとつけないとでは段違いに美味さがかわりますね!前に味見したしょぱっさだけじゃなく、まろみと濃くがある!これは生魚に合いますね!」
「はぅ~雫ウニのとろ~りとして濃い味が酢飯とあう!美味しい!」
「クリスタルフィッシュはコリコリとして弾力があるのに、見かけによらず噛めば噛むほど濃い味がする!」
「英雄魚も繊維がシャキシャキのサクサクで独特の旨味を出すなぁ!醬油とわざびがまたいい仕事するな!斗真~酒も出しておくれよ~」
「ニーアさんにはかなわないなぁ、ちょっとまってて」
俺は貰い物で保管している酒を出す事にした。
「はいはい!酒好き共!純米大吟醸、千代の亀、銀河鉄道だよ」
「随分透明な酒なんだな!うぉ!美味いぞこれ!」
「酒は飲めないんだけど、貰い物でよくいただくんだ。おすすめとか送ってくれるみたいでさ」
「これ!米のお酒ですか!米で酒とは!驚いた!辛さの中にまろみ豊かな味がする!」
「おおぉ~こいつは!他じゃちょっと味わえない酒だな!美味い!」
「これはいい酒だ!寿司にもよく合うじゃないか!いいよこれ!」
「はぅ~葡萄酒とは全然味わいが違いますね!」
飲みすぎないように気をつけてほしい。
「みんなにしか出さない特別なお酒なんだからね。シチューにピザもどんどん食べてね!」
「おうさ!寿司の美味さにばっかり気を取られてた。俺はシチューをもらうぞ」
「これ!この前よりお肉がとろっとろで美味しい!濃厚な味~美味しい!」
「七色シリーズのタンを使ったんだ」
「どれもこれも高級料理店に並んでも遜色ない否、お前の料理の方が美味いかもしれねぇ!王族や貴族の料理を食った事あるが、こんな独創的な料理でてきた事なんか一回もねぇ!なぁギムレッド!クリスタ!」
「ええ!見ればお寿司一つ一つにしっかりと味の違いを出す仕事がされています。これだけでもご馳走と言っていいでしょう!それにシチューこれも舌と言う事で嫌がる人もいるかもしれないですけど、素材は極上!味も濃厚でまるで爆発する美味さ!まさに衝撃的美味さです!ここまでの味を出す料理店が果たしてそうあるかって所です。それに今何気に食べているピザ!クリーミートマトのソースとチーズそれに乗せた具が混然となって美味い!これは一般大衆にも受けるし、なにより乗せる具で差別化も図れる素晴らしい料理です!」
「何よりも味よ!どれも驚かせる味の物ばかり!お寿司なんか一つ一つがビックリ箱みたいに美味しいわ!こんなに美味しくて楽しい食事、外でも中々できないわよ!」
「昼に食った天丼も滅茶苦茶美味くてな!宝箱みたいな料理だったぞ!斗真はすげぇな!美味いもんばっかりつくるんだもんな!」
「ニーアお前休みの昼にも入り浸ってんのか?たまには休ませてやれよ」
「だって美味そうな匂いしてさ!お預けなんてきついよ~、それに斗真がいいっていったからいいんだも~ん」
ギムレッド達はニーアの子供の頃に返ったかの様な言動に溜息をついた。
「はぅぅ!お寿司美味しい!幸せ~!この隠れアナゴが雪解けみたいに口の中で消えていく!」
「よかったわね、ねね!それにしても本当に美味しい!イールでも思ったけど、斗真兄さんの料理はそれ専門店っていってもいいくらい美味しい!毎日メニュー変える方が大変そうだけど」
「最近はアイテムボックスにストック出来るから、楽だよ。それにスキルで調理スピード上がったし、二人も手伝ってくれるからね、毎日ありがとう」
「そんな!?斗真兄さんにあって幸せになったのは私とねねだよ!美味しいご飯に、お風呂にふとん、なんでもない事でも兄さんはとっても褒めてくれるもの!兄さんにあってから毎日が楽しくなったんだもの」
「そうだよお兄ちゃん!ねねもなんとか出来ないか色々頑張ったけど、何もできなかったもん。このままず~と何も変わらないのかな?って思ってたんだ」
「リリ嬢ちゃん達はいい出会いをしたもんだ!もちろん俺達もな!斗真にイールの調理を頼んで本当によかったぜ!あれから毎日美味いもん食わせてもらってるんだからなぁ、ほんとありがとうな斗真!」
「自然とみんなの顔が明るくなったのは斗真さんが来てからですねぇ。食べるものでこんなに幸せになれると我々に教えてくれたのは斗真さんですよ」
「女神様の導きに感謝を」
人の交流が冷たい都会から離れて、一人でひっそりと静かに好きな事が出来ればと思って田舎にこしてきたけど、俺が求めていたのは人の温もりだったのだと改めて理解した、不思議な体験をして神様に導かれてこんな事になっているけど、なんだかんだで毎日が楽しくて仕方だない、本業の片手間で店をやるつもりが、お客さんがき始めてからは熱が入ったように真剣に取り組んだ。
もちろん神様の気まぐれでいつこの生活が終わるか分からないけど、もう少しみんなと楽しい毎日を過ごしたいと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます