第18話休日 異世界天丼 会合

 今日はお休みである、ここ最近内臓など沢山手に入ったので休みの日にまとめて出来るだけ仕込みをして、焼き上げストックにしときたいと言う理由と、料理自体もストック出来るので、大量に作れる物を作ってストックしていく作戦である、それに大型魚の頭もあるので、頬肉や頭の肉など食べれるところをカットして保存して置きたい。 

 

 大鍋に牛の薄切りとくし切りの玉ねぎ、水、みりん、醬油、生姜、砂糖、和風出汁を入れて味を見ながらコトコト煮込む、灰汁を取りながら、弱火で煮込んでいく、ちなみにお肉はマウンテンオックスのお肉で非常にデカいので店内に入らないので外で捌いて小分けにしてから中でカットするらしい。 

 

 巨体で筋肉質かと思いきや、赤身はしっとりと柔らかく、さっぱりとしてそれでいて力強い旨味を放ついいお肉である。 

 

 他にも週に一回イールの日の為の、ウナギを捌いたりしていかなければいけない、大量にある中で串焼き用に頭とエリ、肝にレバーにヒレ焼き骨もからっと揚げれば骨せんべいとして食べれる、身の方もくりから串や白焼き用などの身も確保していく。 

 

 朝5時から起きて、内臓の下処理とカット、串にセットをしながら牛丼を煮込み、次にウナギを捌いている、しかもどこかで修行していた訳でもないので、上手くできなかった物なんかもあるけど、見た目は悪くても食えるから大丈夫だろ。 

 

 リリが起きてからは、リリが朝食の準備をしてくれてねねが起きてから、みんなで朝食をとり、リリとねねも野菜の皮むきなど下処理の手伝いをしてくれる、定食に添える煮物やヒジキの煮つけ、漬物などの仕込みをする、アイテムボックスの中の時間が止まってるのが本当にありがたい!まとめて作って保管しても悪くならないのだから。 

 

 外から人の気配がしたりもするけど、でかでかと看板に本日お休み!の看板を遠くからでも見える様に出しているので、問題ないだろう。 

 

 昼食の準備を始める、俺の好物でもあり、ルーカスさんの店や野菜やで食材を吟味して万全に備えた、そう・・・今日は天丼だ!。 

 

 まずはエビ!色々な種類のエビ!しかも異世界のエビがあるなかで、大きさも程よく美味そうだったエビ!花エビ、見た目も綺麗で薫り高いエビだ。 

 

 次に貝!シェルジュエル、ジュエルシェルでもいいらしい、貝を開くと宝石の様な身や貝柱がごろんと入っていて、七色に輝いている様に見える!味も抜群に美味いって話だ!。 

 

 次にスケルトンデビル、見たまんまイカなのだが、締めても白くならずゼリーの様に透き通った身をしている、こっちの世界では珍味に入るらしく人気はあまりないとか。 

 

 軍隊アスパラ、軍隊の様に大量に育つ事からつけられた、アスパラ好きにはたまらない美味さで青臭さもなくシャキシャキとして美味い!。 

 

 ししとうと大葉は日本の物を使う。 

 

 踊りマイタケ、踊り出したくなる程甘味と旨味を放つ。 

 

 甘露レンコン、じゅわっと水分が多めのレンコン、歯ごたえ抜群でこれも美味い。 


 最後に魚のとろメゴチ、小型ながら極上の味わいのある魚。 

 

 これらを炊きたてのご飯の上に天ぷらにして乗せる!そしてウナギでも使っている俺の特性甘ダレをかける。 

 

 やばい!なんて豪華な見た目なんだ!これ店で出すって言ったらいくらするんだろ?銀貨4枚以上はもらわないと厳しいかな?銀貨4枚でも元とれるけど5枚か6枚で売りたい、そう!これは安売りすべきじゃない!まぁ手間とかあるから店のメニューに並ぶことはないんだけどね、へっへっへ悪いね俺達だけで味わっちゃって。 

 

 「えへっへっへっへ」 

 

 「わぁ!いい匂い!お兄ちゃん嬉しそうだね!」 

 

 「とってもいい匂いです~」 

 

 「今日は天丼だよ!見てよこの出来!滅茶苦茶美味そうじゃない!?」 

 

 「わぁ~美味しそう!」 

 

 「二人の分もあるよ~早速食べよう!」 

 

 「「「いただきま~す」」」 

 

 まずは二本あるエビの一本目を、サクサクのフワフワでありながらプリンとした身!油とエビの甘味が調和されてうんまい!!!。 

 

 ここですかさず米を食う!タレのかかった米が硬めに炊いたお米と相性が良く、喉を喜ばせる!このグイグイと米が喉に運ばれていく感覚がまたたまんない!!!!。 

 

 シェルジュエル!弾力があり、繊維一つ一つが立っていてくにくにとして美味い!宝石級の美味さ!。 

 

 誰が名付けたのかスケルトンデビル、見た目は悪魔っぽいけどくにくにこりこりしてこれも美味い!刺身で食べても絶対美味い!サクサクの衣とコリコリの触感がいい一品だ!。 

 

 軍隊アスパラもほこほこして美味い!甘露レンコンはゴリゴリとちょっと固めだが独特な甘みがあって楽しい!。 

 

 そして踊りマイタケ、こいつが美味い!サクフワの後にしっとりこりっとしているのにキノコ臭さはなく、旨味をしっかり主張する!甘いタレとマイタケの旨味が舌の上に広がり、そこに雪崩れ込む米の三重奏! 

 

 最後にとろメゴチ!ふわっとした身がしっとりと舌でとろける様に淡く消えてゆく、まるで氷を食べたかのようにふっと消えていく!淡泊な白身をタレが支えて、エビに負けるか!?と自分が主役です!と言わんばかりの美味さ!それでいて消えていくのは潔くふっといなくなる! 

 

 異世界天丼!驚きの美味さだ!素材を変えたらまた違う美味さを放つんだろうなと考えたら、天丼だけでどんだけ種類ができるのかわからない!ああっ俺でこんなに美味く仕上げられるなら、プロが作るのはもっと格段に上の美味さなんだろうなぁと考えてしまった、否それにしても自分でも驚くほどうまくできた!。 

 

 「ふわわ!エビ!すっごい!美味しい!ぷりぷり!野菜もシャキシャキ!でこのお魚なんかふわふわで最後とろける~!!!」 

 

 「フリッターより軽いですね!甘めの味付けなのに嫌になる事なく素材たちの美味しさを底上げするかの様!野菜もご馳走みたいに美味しい!油ものなのにどこかさっぱりしてくどくない!」 

 

 「自分でも自信作だよ。箸休めの柴漬けがまたなんとも・・・・」 

 

 「サクサクのフワフワなのに!エビはプリンとしてて!シェルジュエルはしっかり噛み応えあるし、コリコリしてたり触感が色々楽しい!」 

 

 「一つ一つの素材の味も濃厚に感じます!なんか完成された味って感じでなんとも言えない美味しさです!」 

 

 「合格かな?」 

 

 「合格も合格!大合格だよ~!これお店で出すの!?」 

 

 「今のところは出さないかな、僕達だけ特別って事で」 

 

 「わ~!私これ大好きだよ!美味しすぎるよ~!」 

 

 「色んな味が楽しめて、とても豪華で美味しいです!私も好きですこれ!んん~~」 

 

 三人で幸せを噛みしめている時に、店の外から声が聞こえた。 

 

 「うにゃぁ!?今日はお休み!?そんなぁ~!こんな美味そうな匂いさせて!それは生殺しだよ~!どんどんどん!斗真~!あたしにも食わせてくれ~!?」 

 

 店の外でニーアさんが半べそかいてる声が聞こえた。 

 

 ニーアさん達にはお世話になっているので、この幸せを分けてあげよう。 

 

 ドアを開けると、さっきまで泣いていたのが嘘の様に笑顔になって店に入ってきた、きっとこの天丼くったらびっくりしてまた笑顔になる事だろう。 

 

  流石にそろそろクリスタさんのいる教会に行ってみないといけない、色々あってどんどん後回しにしてたからなぁ、クリスタさんが言うには凄い力が眠っているかもしれない?何かしらの加護があるかもしれない?って可能性だけど、う~ん物語によくある戦闘系のスキルや技能はもらっても宝の持ち腐れだし、どうせなら包丁捌きが早くなるとか、味付けのセンスがあがるとか、そっち系の能力がいいなぁ、浄化とか寄生虫除去とか体に悪い細菌の除去とかできれば、お刺身やレバ刺しとか、生肉系の料理も出せる様になっていいかも、ユッケとか刺身は美味しいからなぁ。 

 

 建築スキルとかあれば俺でもマジックハウス建てられるのかな?それならリリ達の為になっていいかもなぁ、それなら思いっきり豪華な宿建てちゃうんだけどな、楽しそうじゃないか?そしたら小道具や遊具とかの作成のスキルもいいな、見た限り娯楽がお酒に偏りすぎてる世界だから、将棋やチェスなんかあってもいいと思うんだ。 

 

 もしも建てる事が出来るなら、リリやねねの遊び場も作ってやりたいな、大きなトランポリンとかで部屋中跳ねて遊ぶとか、体操選手が使うしなる鉄棒とかさ、アスレチックやジップラインとかって夢ばかり広げているけど、実際俺の中に眠っている力がどんなものかわからないからなぁ、そんな大層な力が眠っているとはとても思えないんだよね、あっても調理スピードアップとかそんなもんだろ多分・・・・。 

 

 ねねと手を繋ぎながら街を歩くのだが、ねねはあっちいったりこっちいったりで制御の効かない子犬の様にいったりきたりする。 

 

 ねねの興味は完全に露店の食べ物に向いている、本当に娯楽が少ない、お洒落とかには興味はまだないみたいだな。 

 

 ニーアさんも俺の能力に興味あるとかで、一緒にきているのだけど、この人冒険者ギルドのトップなんだよな、こんなにふらふらしてていいのか?。 

 

 「これはニーア様、ようこそいらっしゃいました」 

 

 「おうよ!クリスタに呼ばれてな、あたしは付き添いだ。クリスタに呼ばれたのはこっちの斗真だ」 

 

 「さようでございますか。急ぎクリスタ様をお呼びいたします。どうぞ中でお待ちください」 

 

 教会の内部は広い、大聖堂と言うのだろうか?いざと言う時に避難所にも指定されているから、大勢の人が入れるような広さになっている、教壇みたいなものがあり、その後ろには大きな女神像がステンドグラスに照らされて綺麗だ。 

 

 まっていると、いつもより神々しい衣装のクリスタさんが現れた。 

 

 「ようこそいらっしゃいました!斗真様!ねねちゃんにリリちゃんも・・・ニーアがなんでいるの?」

 

 「付き添いだよ!聖人様なんだろ、護衛の一人でもいないと何かあってからじゃ遅いからな!」 

 

 「そんな事言って、どうせご飯が・・め・・あて・・・ってもしかしてもう!?」 

 

 半べそかいてたニーアさんは、天丼を大層気に入って、それはそれは嬉しそうに、宝物でも食べるかのように大事に大事に天丼を食べてたなぁ、めちゃ幸せそうな顔してたからこっちも嬉しかった。 

 

 ニーアは照れた様な顔をして「えへへ」と笑う。 

 

 「ずるいわ!?何食べたの!?貴方から物凄く幸せのオーラが出てる!?」 

 

 ニーアはにっこりと笑って。 

 

 「今までにないくらい美味かった!七色豚並みかそれ以上に幸せってあるんだなって」 

 

 「信じらんないこの子!人出し抜いて置いて何幸せ語ってんの!?」 

 

 「悪かったよ、今度斗真にまた作ってもらおうぜ!あれは分かち合うもんだ!」 

 

 なんとも言えないキラキラとしてニーアの笑顔に溜息をつき。 

 

 「それでは斗真様、女神様に祈りを、女神像の前で祈りを捧げてみてください」 

 

 言われるがままに祈りを捧げる、目を閉じて・・・・・もういい?1分くらいはたったと思う、目を開けてみると、真っ白な空間に俺はいた。 

 

 「えっどこ!?」 

 

 「初めまして、八意斗真さん」 

 

 「もしかして、女神様ですか?」 

 

 「そうです。創生の母ティアマトといいます」 

 

 聞きたい事は色々ある、どうして俺の家と異世界が繋がっているのかとか 

 

 「それは貴方が選ばれたからです」 

 

 もしかして心の中も読めちゃいます? 

 

 「はい、まず第一に、この世界に呼ぶ人は誰でもいいと言う訳ではありませんでした。無垢な心、善性を持つ優しき心の持ち主を選び、貴方が選ばれました」 

 

 「なるほど、そんな善性って言われる自信もないのですが」 

 

 「こちらの世界に来たがる人間は多いです。そして多くの人がダンジョンに興味を持ち、個人の武力求め、そしてその武力をもって人の世界に介入しようとします。多くの人が知らずか流れにまかせてか、英雄や王の様な道に進んでいきます。ですが私達はその道とは違う可能性を持つ人を選びました。それが貴方です。貴方の世界の神々達の推薦でもあります」 

 

 「あっちの世界の神様の推薦?」 

 

 「貴方達の世界の神は嘆いておりました。多くの人間が教養があり、可能性に満ち溢れているのに貴方方の世界には大きな困難があり、絶望し命を絶つ者が多いと、貴方方の世界の神は嘆いておりました。素晴らしい人間が沢山いる、優しさに溢れ人を思いやれる人間達、多くの困難にも冷静に立ち向かえる事が出来る知性ありし人間達、長い年月をかけ神ですら創造してしまう人間達、時に迷い人を傷つける事があっても、正道を歩む者達、多くの違いを許せる者達、可能性の申し子達、貴方の世界の人間は、一つの世界を跨いだだけで、その可能性を開花させる者が多く、自分の為といい世界に貢献した事柄は多くいます」 

 

 無駄口、陰口、人を貶める人間、暴力にものを言わせる人間、正義に酔い人を死に貶める人間、成功した人間を成功したい人間の足を少しでも引っ張ろうとする人間、創作や創造を笑い可能性を自ら断とうとする人間、自分の人生が上手くいかないから、人の足を引っ張る人間、追い詰める人間、俺には俺を含めて人間がそんな綺麗な存在には見えない。 

 

 「本当に?小さな異世界の子を受け入れた人間、そんな貴方が人間の善性を疑うのですか?」 

 

 「それは・・・・善性じゃなく欲望だよ。一人は寂しいって誰かといたいって欲望だ、善性ではない」 

 

 「貴方の欲望で二人の子は救われました。それでよいのでは?」 

 

 「結果論だ。あの子が救われたのは俺が何かしてやったからじゃない、自然とそうなっただけで」 

 

 「それでよいではないですか、そんな貴方だから神々は貴方を選んだのです」 

 

 「それで、俺に何か用事でもあるんですか?」 

 

 「ええ、貴方はこの世界で生きていくには脆く弱い、危険な事もあるかと思います。そんな貴方に特殊な能力を与えましょう」 

 

 スキル!もらえるなら確かに嬉しい。 

 

 SF映画の様に自分の目の前に画面が現れる。 

 

 -魔法ー

 

 浄化 清潔 異物除去 細菌除去 寄生虫除去  

 

 -スキルー 

 

 毒感知 魔道具作成 建築 アイテムボックス 調理 遊具創造 ものまね 金剛体 身体能力強化 解呪 無毒化

 

 「他に欲しい能力はありますか?」 

 

 「どれがどう効果あるかわからないけど、十分すぎるかと・・・・」 

 

 「貴方の作る料理は私達もこっそり頂いています。貴方のお店が多くの人を幸せに導くように願っています。もしなにかあれば神像に祈りなさい。スキルは多くあれど貴方は万能ではありません。この世界では貴方を殺せる者や魔物が沢山います。それを忘れないように注意して生きなさい」 

 

 なんか最後に爆弾落とされたんだけど、俺の料理神様達がこっそり食べてるの!?あと俺は異世界人だから確かにこの世界で生きてる人達より弱いけど、殺されるなんて怖すぎるよ!折角スキルもらったのに簡単に死んだらもったいないじゃないですか!?まぁなんか使命でも与えられたわけでもないので、今まで通り料理作って、自分の世界の本業も頑張って普通に生きますけども・・・・ありがとうございました!こっちの世界に呼んでくれて!正直楽しいです!いい人達にあえて幸せです!。 

 

 次第に消えていく女神様が最後満面の笑みで消えていった。

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