第9話もつ煮にタン塩
もつ煮は凄く美味い、この分ならもつ焼きも期待できるな。
もつ焼きは甘めの味噌ダレにパプリカパウダー、胡椒、ごま油とごまをちらして、万能ねぎを飾れば後は焼くだけ、ミノ、ハチの巣、センマイ、ハツ、シビレ、一口大にカットしてある。
焼肉の様に一つ一つ焼くのでも、まとめてざっと焼くのでもいいだろう。
タンは皮を取り除いて、タンの下の部分をカット、白い筋の様な物を取り除いて終わり、言うだけなら比較的簡単である、タンも美味しそうだ、タン元の脂が綺麗に青白く波を打つように脂がはいっている、タンの先の方はちょっと硬いはずなのだが、こちらはこちらで脂が少なめで、さっぱりと食べれていいだろう。
米は鳥の餌と言われたので、今回はパンを用意した。
そうこうしていると、昨日のメンバーが店に入ってきた、リリとねねも一緒である。
「おう!兄ちゃん!食いに来たぜ!」
「いらっしゃい、フィガロさん、俺は納得がいくものが出来たけど、みんなが美味いと思うかはわからないからね、言っとくけど」
「おっとその前に、イールの件を話しておきましょうか。結果的に言って斗真さんの調理法は素晴らしかったです!他の料理人でも美味しく調理する事ができました。ただ・・・初めてだったからなのかはわからないのですが、食べた時の感動や強烈に美味い!と思ったのは斗真さんが調理したイールの方でした。そこに神聖力が関係しているかはまだわかってはいませんが。まだわからないことだらけですが、イールの調理法やタレの製造法は商業ギルドで承認され、無事販売される事になりました。商業ギルドのカードをお渡ししておきます。身分の証明や預金の引き落としなど様々な事に使えるので無くさないよう注意してください」
「ありがとうございます」
「次は聖堂教会から、いつでもいいので教会までお越しください。斗真さんには非常に強い神の加護がついている可能性があるので、それを確認させてほしいのです」
「神の加護の確認ですか」
「教会内でしか確認できないので、ご足労頂く事になりますが、よろしくお願いします」
「わかりました」
神の加護があったら何かいい事あるのだろうか?運が上がるとか物事がいい方向に進むとかかな?
「さて一通り報告が終わったなら、早速で悪いが内臓料理とやらをもらおうか」
「はいはい、リリ手伝ってくれないか、もつ煮をみんなに配ってくれ」
「わかりました~」
俺はその横で、もつ達を焼き始める、タンは最後の方に七輪と一緒に出そうかな。
「こりゃいい匂いさせてんなぁ」
「すぐ焼きあがるんで、先にもつ煮の味をみてください」
「内臓の汁ものかぁ、匂いは悪くないな、どれズズっおお!これいい味だな!」
「程よい甘味は脂の甘味かしら?美味しいわね」
「これが内臓かぁ!くにくにしていて臭くないぞ!悪くないじゃないか!」
「コリコリしてんのは足の部分か!あんな筋ばっかりの所がこんなに柔らかくなるのか!」
「不浄な物だと思っていたのですが、まさかこんなに美味しいだなんて・・・これは」
「教会だと内臓を食うなんて考えられないだろ?でも美味いぞこれ!」
「プルプルして美味しい!」
「東国の調味料使ってますね、これは・・・今後の取引でぜひ手に入れたい!」
概ね評判はいいみたいだな、確かに不浄な場所と言われればそうかもしれない。
「次はもつ焼きです。味噌で味つけしてます」
「すげぇいい匂いだ!美味そう!」
「食欲をそそりますね」
「これは匂いで釣られる人もいますよ!」
「パンも用意したので、よかったらどうぞ」
「うぉおおおこれは美味い!コリコリの食感がたまらんな!」
「サクサクしてたり、コリコリしてたりおもしろ~い!それにパンも美味しい!」
「これはついついパンも食べたくなりますね!」
「あたしはこれ気に入ったな!内臓美味いじゃん!今まで捨ててたんだろ?それがこんなに美味いなんてな!フィガロ今まで損してたんじゃないか!あっはっはっは!」
「うるせぇ!まさかこんなに美味いなんて誰も思わないだろ!?教会だって内臓は不浄なと言ってたよな!クリスタ!」
「頂いた命に感謝し、余す事無くいただく、神はそうおっしゃりたいのですきっと」
「流石欲深い聖女、ころころ考えを変えますねぇ」
「何かいいましたか?ハイエナ商会長?」
「お兄ちゃ~ん、ねねはご飯の方がよかったかも~」
「あっ!私もです!」
「二人はご飯の方がよかったか」
「だってこれ絶対ご飯に合うよ!」
「斗真さんのお米は美味しいですから!」
俺が炊いただけで、生産者は別にいるのだが、こちらの世界の米はどうなんだろう?ギムレッドさんが東国といってる国が、米やら味噌やら作ってるって話だけど、美味しくないって訳ではなさそうだけど、炊き方を知らないとかかな?。
七輪を用意して、最後はタンをいただきましょう。
「次はブルーサファイアタウラスのタン、舌の部分ですね」
「うぇえ、舌ってこの舌だろ?流石にちょっとなぁ・・・」
ニーアは嫌そうな顔をした、周りの人もう~んって顔してる、まぁ食べてみればわかると思うけど、凄く美味いんだけどなぁ。
「この状態なら抵抗もすくないんじゃないですか?」
「確かに見た目はただの肉って感じだな」
「タン元から焼きましょう。厚めに切ったので両面焼きます、じゅわじゅわ脂が出てきたらネギを乗せて、レモンはお好みで・・・うん!うんまい!!!」
「お兄ちゃん!ねねも!次はねねが食べるよう!」
「私も食べます!」
リリとねねは美味しいものには積極的だ。
「んんっサクサクいってる!ふわぁ!美味しい!おいしいよ~!」
「ほんと!美味しい!なんとも言えない濃厚な味です!あぁ~消える様にさっていく後味!」
「おい!あたしにもくれ!」
「私も食べます!」
「もちろん私も!」
「俺にもくれ!」
「俺が用意したんだ!俺にも焼いてくれ!」
はいはいっと頷き、どんどん焼いていく、塩ダレがまた肉にあって、ああっ米食いたい!
「うんまぁ!サクサクいってるのが気持ちいい!」
「これが一番好きです!美味しいですねぇ!」
「イールだけじゃなく、内臓も商売になりますよ!これは名物になるんじゃないですか!?」
「美味いなぁ!ついパンを食っちまう!」
「俺は今までこんなに美味いもんを捨ててたのか・・・悔しくて涙が出て来るわ!」
「斗真のあんちゃんはすげぇな!汁物も美味い!味噌で焼いたのもまた、たまんねぇ!それに塩味のタンこいつもすげぇ!お前さんなんで飯屋やんないんだ?俺は通いたくなるぞ!」
「えぇこれなら繁盛間違いないですね、商業ギルドからもすぐに認可が下りますよ!」
「他じゃ味わえないと思うと、え?嘘?もうこれ食べれないの?」
「そりゃなぁ、内臓が美味くても、挑戦する奴がいなきゃもう食えないだろうなぁ、挑戦しても斗真みたいに美味く調理できる奴がいるかどうか・・・」
怖い怖い、目が怖いよ。
「その点ねねとお姉ちゃんはいつもお兄ちゃんと一緒にご飯食べるから、いつでもお兄ちゃんが作ってくれるんだぁ~」
「そうね、私達もお手伝い頑張ろうね」
「そりゃないぜ~斗真~あたしにも作ってくれよ~」
「私も次もまた食べたいですね、それに商業ギルドからも近いですから」
「斗真さんのお陰で新たな発見が出来ました。この素晴らしい行いは続けるべきかと」
「俺もルーカスもお前さんが店開くなら協力は惜しまないぞ!なぁ!」
「あぁ!ダンジョン産の魚も肉も、美味い奴からレア物までなんでもござれだ!」
「いきなりは無理ですって!まぁまぁ!まだ肉ありますから!」
俺は誤魔化しながら肉を焼く、飲食店を始めるなんて、そう簡単には言えないよねぇ
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