第3話気になる異世界 異世界の街

 ゴブリン一匹で銅貨2枚、200円で魔石が売れるとか、さらに装備品なども安いが使い道はあるという、薬草なども銅貨2枚で結構簡単に見つける事が出来るので、子供達に人気なのだとか、他にもホーンラビットは魔石も肉も角もお金になるので、なりたて冒険者にはいいお金稼ぎなんだとか。 

 

 冒険者と言えば聞こえはいいが、要は害獣駆除や薬になる薬草や、街の近くでは生えていない高価な薬の材料など集めて来る、何でも屋と言えばわかりやすいかもしれない、中には街で従業員をやる人や生活必需品の配達、郵便物の配達、ゴミ屋敷の掃除、下水の清掃など雑多な仕事を任される職業の様だ。 

 

 どうしてここまで落ち着いて聞いていられるか、否確かに今もなんかふわふわした、夢でも見ているかのような気分なのだが、俺の家があると言う事といざと言う時、日本にドアを設定してロックしてしまえば、こちらの世界に干渉しないですむって事が、心に何処か余裕を与えてくれた。 

 

 自由に行き来出来る権利を俺が握っているって所がポイントが高い。 

 

 ちょっとだけワクワクする反面、やはり魔物という生き物がいて、人間を襲うのかと考えると、やはり怖い、地球ですら虎や熊、狼なんかちょっと大型の動物ですら怖いし、噛まれたらとんでもない事になるのに、ゴブリンやオーク、オーガ、ミノタウロスなど人型で武器まで振り回してくるなんて、俺がマシンガン持ってても勝てるかどうか怪しい所だ、銃が手に入るアメリカとかならまだしも、俺が住んでいるのは日本のド田舎だし、現代兵器なんてそんな簡単に手に入らない、例え頑張って猟銃が手に入っても、相手に効くかどうか・・・。 

 

 うん、冷静に考えて街の外にはいける武力がないな、冒険者さんに護衛してもらって、いざと言う時の槍とか短剣とか、恰好だけでも護身的な物もってないと不安すぎる。 

 

 ホーンラビットのお肉なんか、ちょっと気になるんだけどなぁ。 

 

 「うん、やっぱり俺の料理は素人料理だし、値段を決める為にも、ネネとリリの意見とか聞きたいから、やっぱり食事は・・・・・」 

 

 そこまでいって考えた、家族はいるのだろうか?もっと早くに気が付くべきだった、親御さんがいたら迷惑になるかもしれない、それに子供達だけって言うのも角が立ちそうだし。 

 

 「その前に二人の親御さんに、挨拶しないと、俺みたいな独り身の男の所出入りしてたら、親も心配するだろうし」 

 

 ・・・・・・・・・・ 

 

 返事が返ってこない、静かな空気だ。 

 

 「あの、両親はもういないんです。私とねねしか・・・父は冒険者で収入も多かったんで、貯金がまだあるので大丈夫ですが、討伐で怪我を負って、父も母もその時の傷や怪我が原因で亡くなりました」 

 

 物凄く聞いてはいけない事を聞いてしまった、そうか・・・やはり安全な世界ではないんだろうな、狐人族って言ってたけど、人間よりは絶対身体能力高そうだし、この世界に慣れてるであろう親御さん達ですら、一つのミスで命を落とす結果になるのか。 

 

 子供二人くらい食費が増えても、水道光熱費や家賃が安いから余裕はある、なにせ使う事があまりないので、溜まる一方だったのが、田舎生活になり、貯金を更に加速させたからなぁ。 

 

 「あ~・・・二人とも、朝はどうなるかわからないけど、昼と夕飯は家で食べていくといい、これから先何があるかもわからないんだし、節約にもなるだろ?」 

 

 「いいんですか!?」 

 

 「その変わり、もし店を開いたら手伝ってくれないかな?」 

 

 「手伝う!ねね手伝うよ!」 

 

 「いつになるか、わからないけどね」 

 

 「なんだかお世話になりっぱなしで・・本当にいいんですか?」 

 

 「二人は街の外に出たりもするの?」 

 

 「薬草捕りにいったり、ホーンラビットを捕まえにいったりぐらいなら、たまにあります」 

 

 「今すぐいこうとは思わないけど、いつかホーンラビット捕まえてみたいとか思ってたんだ、手伝ってくれたりすると、ありがたい」 

 

 「ホーンラビットなら、ねねでも捕まえられるよ!美味しいよね!」 

 

 美味いのか、興味あるなぁ。 

 

 「まぁわかんない事いっぱいあるから、その都度教えてくれると助かるんだ。そのお礼って事で、それに今回みたいに毎回凄く美味しい!とかできないと思うし、レトルトの日も多分あるから・・・」 

 

 「そんな事でいいなら・・・よろしくお願いします。斗真さん!」 

 

 嬉しそうに笑うリリ、美人さんだなぁ、こんな子達だけで住んでたら、変態とかに襲われたりしないか?凄く不安になるぞ。 

 

 「どうします?夕飯の時間まで、早速街を案内しますか?」 

 

 「ああ、いいね!急ぎの仕事もないし、こういうファンタジーな世界を体験できるのは、取材になって助かるよ!」 

 

 お約束の冒険者ギルドから、食料品市場や魔法の道具のお店、鍛冶屋や武器屋なんかも気になるなぁ、街を散策するだけなら危険はないだろうし、面白そうだ!あとは財布に一万円を入れてこっちの世界にきてみよう、俺の推測が正しかったら、銀貨か金貨に変わっているはずだ。 

 

 恰好は普通の長袖の服に、薄手のパーカー、ジーンズで変じゃないかな?いざ逃げる時の事を考えて、ジーンズは止めて動きやすい、黒のジャージにしようか?靴はあのちょっとでも速く走れる構造になってるスニーカーにしよう。 

 

  ネネとリリに案内してもらって、晩御飯の時間になるまで異世界の街を散策する事に、家から出ると、財布の中の一万円は銀貨10枚に変わっていた。 

 

 街での食事の平均的な値段は銀貨一枚あれば、お肉にパン、スープ、サラダがついてくる所もあれば、メインのお肉で銀貨一枚なんて事もあるとか、大き目の串焼きで銅貨3枚、エールやミードも大体は3枚、質を求めると高くなるし、オークとかこの辺の縄張りにいない魔物の素材の値段も、定期的に手に入る所と比べると値段は高くなるといっていた。 

 

 だが運がいい事に、この街から歩いて半日移動した場所にダンジョンがあり、この街には様々なモンスターの肉が入ってくるといっていた。 

 

 運がいいとミノタウロスのお肉が安く売られている事もあるらしいが、硬くてあまり人気がないけど、味は悪くないので微妙な位置のお肉らしい、ミノタウロスは中階層にいるから滅多に食べれないとか、逆に人気なのがハイオーク、人気だけど安くて美味い、その上狩るのも簡単でいい値で売れる、となんとも都合のいいお肉なのだとか。

 

 

 俺の家が街はずれだから、中心部に歩いていく事になる。 

 

 ねねは自然と俺の手を握り笑った。 

 

 鍛治屋や魔道具や薬屋など結構店あるんだな、作りも別段変わった感じはしなかった、何か違和感感じると思っていたのは、道がやたらと広い事が気になった、店の真迎えの店までの道幅が広いんだ、馬車とか馬が移動する際に、店の前に馬車を止めても、他の馬車が通れるように、やたらと広く出来てんだな。 

 

 大きな通りに出ると、屋台なんかもやってる。 

 

 肉串を売っている店が何店舗かあるけど、肉が違うのかな?魚の一本焼きも売ってる!鮭みたいな大きさだな、ああ、店先で焼いて中で酒と頂く寸法か!。 

 

 「魚なんか売ってるね」 

 

 「隣町が大きな漁港で、新鮮な魚が食べられるんだよ!」 

 

 「中にはダンジョン産のものが多いですけど、漁港からのお魚の方が好きって人もいるみたいです。細かな違いはわからないんですけどね」 

 

 うお!うなぎが売ってある!いくらだろう?

 

 「ねぇねぇこの魚はいくらかな?」 

 

 「それは・・・イールですね・・・細かくして・・その・・家畜の餌に」 

 

 ウナギが家畜の餌ってまじかよ!?なんでなん?

 

 「焼いても、そんなに美味しくないのと骨が苦手って人が多いですね。ほっといても勝手に増えるので駆除対象なんです。貧民食いと言われる食べ物ですけど、貧民も食べないが正解ですね」 

 

 まじか!否でも俺ウナギ捌けない・・・、こっちで手に入れていっそ日本で売るか?否、なんか違法な事になって捕まりそうで怖いし、そう言うのってありなのかな?日本で安く買えるものをこっちで高く売るなんて・・・ただの転売屋じゃん・・・やめとこう、どうしてもお金が必要な時、本当に緊急時の時だけは金策としてありにしよう。 

 

 とりあえず、買ってみよう味が違ったりしたら食べきれないから、俺用に一匹だけ買おうかな? 

 

 「ネネとリリはどうする?俺はこのイールを・・日本のものより大きいな、これ一匹ではらいっぱいになるかな?二人はどうする?」 

 

 「お兄ちゃんイール食べるの!?そんなに美味しくないよ?」 

 

 「俺の世界だと、こんだけデカいと大層な値がつきそうだけどなぁ」 

 

 「えぇ~じゃあ、ねねもイール食べる・・・。」 

 

 凄く嫌そうな顔に思わず笑ってしまう、別に俺の事に気にしなくてもいいのに。 

 

 「じゃあ私もイールにします」 

 

 「初めて捌くから、失敗したらごめんね。他の物も買っていこうか?」 

 

 「ねね、ホーンラビットの串焼き食べた~い」 

 

 「それ、俺も気になってたんだ。俺も買う買う」 

 

 「私も食べます!」 

 

 「じゃあ三本買おう!」 

 

 イールを三匹購入、三匹で銅貨一枚で売ってもらった、店の人は本当は5匹で銅貨一枚でもいいんだけどといっていたけど、次また買いに来たら、その時は安くしておくれと言う事で、リリが持っているアイテムバックの中に入っている、冒険者だった父と母の遺品のカバンだとか。 

 

 ホーンラビットの串焼きは、たっぷりのタレをつけて焼いてある、お客さんに渡す時に何やら香辛料の様な粉をかけて、仕上げみたいだ。 

 

 さっそくかぶりついてみると、甘じょっぱいタレに、ニンニクの様な癖のある香辛料の味、なんと言うか、タレや香辛料に頼った味だ、それとなんかやっぱり微妙にくせぇ、これはあれだな、血の匂いだ、俺の大嫌いなレバーの様な風味がする。 

 

 「お兄ちゃんの所で食べたお肉とやっぱり違う?」 

 

 「そうだな、店前の枝肉見た時に思ったけど、血抜きがちゃんとされてないな」 

 

 「血抜き?」 

 

 「殺したら、直ぐに血を抜いて冷水とか冷たい空間に保存するんだ、そうしないと血が巡って獣臭さが倍くらい違う、日本の物でもハツや砂肝なんかは独特な臭みがあるのに、血抜きされてなかったらこんなにも臭くなるんだ」 

 

 「へぇ~・・・でも血なんて抜いてたら魔物が寄ってきちゃう」 

 

 そうだよねぇ。 

 

 でも血抜きは本当に大事で、今ジビエなどを狩ってる人で冷凍販売なんかしてる会社などは、近くまで専属の冷凍車の様な冷たい空気が流れる車なんかに、生きたまま獲物を持ってきて、その涼しい車内で捌いたり、最新の注意を払ってやっている、会社などもあるくらい、血抜きは重要な工程だ。 

 

 罠猟なんかでも、足に罠をかけてうっ血させてしまった部位などは、市場にはほとんど流れない。 

 

 そのぐらい匂いに慣れてない人には、獣臭さや血抜きの不備などは味の代償となる。 

 

 トゥールダルジャンみたいに、逆に血のソースで有名な料理もあるが、バターや生クリームで血の嫌な風味を打ち消して旨味だけをだした技術だ。 

 

 美味しい異世界お肉が食べたいなら、自分で血抜きしなきゃいけないのだろうか?

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