柊弟

第40話

「亮介くん、いらっしゃい」


「あ、あの…結婚おめでとうございます!これ、うちから…」


亮介くんから、紙袋を頂いた。


「ありがとう。柊が連絡してると思ってたから言ってなくてごめんね」


「いえ」


ご両親には話しとけよな。まったく。融通きかないやつだ。


「これ、もらった」


「わざわざありがとうございます」


みどりはぺこりとおじきしたけど、もう出前の飯を並べてる。


「亮介くんにはいつもお世話になってるから。ご飯も食べてって」


「ありがとうございます!なんかすみません!こんな豪華なもの!」


豪華ではないけど…。


「ううん。太郎のことありがとう」


「あ、そうだ…」


亮介くんは座るなりスマホを出した。


「うちの犬小屋と同じでもいいですか?」


「え?なに?」


「私が頼んだのよ。犬小屋」


「え!…あれって、亮介くんの手作り!?」


柊のうちには、大型犬がいる。犬小屋はしっかりしていた。お父さんが作ったんだと勝手に思ってた。


「そうなんです。奥様からインスピレーションで考えてほしいと言われましたが、守さんがうちに来た時、犬小屋いいねと言われたと母から聞いていて。俺が長年改良加えたものなので、自信作なんです」


「そ、そうなんだ…」


みどりはよけいなことを。インスピレーションなんて適当なこと言って。

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