第41話

「同じもの、作れる?」


「設計図があります。これが図面です」


亮介くんは紙を取り出した。…わぁ、柊並みに細かい。


「太郎くんのサイズと、うちの犬のサイズはほぼ一致してるので、サイズはこれでいきます」


「うん、わかった」


「では材料費はこちらで出しますね。おいくらくらいになりますか?」


みどりはすぐ金の話をするんだから


「いえ、廃材ですので。いりません」


亮介くんは、優しすぎる。マイペースで、お父さんに似ている。柊は、わがままなとこあってやたらうるさい。お母さんみたいにしっかりはしてるけど。


「ありがとう。じゃあお言葉に甘える」


「…守、本職は舞台装置なのに。お金取るくらいしたほうがよろしいと思いますが?」


「いいんだよ。さ、食べよう」


俺はまた、亮介くんと会えて嬉しい。きっかけがないと、なかなか会えないから。


「絵里ちゃんは、元気?」


「別れました」


「そうなんだ…柊から聞いてなくて」


余計なこと言っちゃった。


「誰のこと?」


みどりは余計なことばかり聞いてくる。


「前の彼女です。振られました」


亮介くんは律儀に答える。


「…劇団にはまだいるんだよね?」


「はい。絵里は、忙しそうですよ」


「話したりは…する?」


「いえ。避けられてますね」


可哀想…。

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