第37話

「すみません、守は忙しくて。よく散歩の件、受けてくださいましたね」


「いえ、散歩くらいしかできませんが」


「たしか…劇団に所属ということでしたね。私の姉が座長してるところですよね?」


「え…以原さんの…親戚でいらっしゃいますか?」


「そうなんです」


「…全く知りませんでした」


似てなくない?とは言われなかった。


「あなたは、どういったお仕事を?」


「舞台装置を担当しています」


「そうなんですね。守が舞台を観に行ったりしたと言っていたので、てっきり役者さんかと」


「いいえ。守さんは舞台に興味を持ってくださり、忙しい中遊びに来て頂いていて。…でも、最近…私は舞台にあまり関われなくて、チケットをお渡しできていません」


「…新人が入ったからでしょうか?」


「いいえ。舞台に関わっていますが、公演ごとについて行くことがあまりなくなって…設計が主になってて」


「どんなものをお作りですか?」


「え…あ、写真お見せしますね」


携帯を見せてもらう。ほう…これは街並み。そして、風景が描いてある。この人が描いたのかしら?


「あの、木工とかもできるということですよね?」


「はい、できます」

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