第15話・スキルの説明

・名前、グレイ・アーセナル 

・性別、男性

・年齢、8歳

・加護、魔法剣士ルーンフェンサー

〈スキル〉

・片手剣術〈レベル2〉

・水魔法〈レベル3〉

〈パッシブスキル〉

・直感〈レベル1〉

・強運〈レベル1〉

〈ユニークスキル※〉※本人のみ閲覧可能

・月光剣・クレール〈レベル2〉


 名前と性別と歳はわかっていた事だし置いておこう。問題は俺の加護である魔法剣士ルーンフェンサーとスキルである。

 まず魔法剣士ルーンフェンサーは『調律の勇者と煌めく戦乙女』では自己バフアタッカーで上級職の中では上の下くらいの能力を誇る。基本的には器用貧乏系になるのだが自己バフがかかった時の能力は火力職に劣らない性能を持つ。


(つまりは当たりを引いてしまったな)


 個人的にはハズレの方が都合が良かったが当たりなら大切な人を守れる力が手に入ると考えたらある意味よかった。


(次はスキルだな)


 片手剣術は名前の通り片手剣の熟練度を示す。熟練度が高いと強いウェポンスキルが使えたりする。ウェポンスキルはゲームでいう特技で、例えば威力の高い斬撃を繰り出すスラッシュや相手に高速接近して切り裂くスライドエッジなどがある。

 他にも使えるウェポンスキルはあるが武器ごとに決まっているので今は置いておく。


「しかしまぁ、水魔法がレベル3になっているとは……」


 水魔法レベル3。熟練度的には物語りの後半に入ろうとするレベル。上級魔法が使えるので威力がかなり上がっている。水魔法は回復やカウンターが得意な魔法なので攻撃力は低いが使い方によっては強い。


(後は直感と強運か)


 これはゲームの時と同じスキルで直感は隠し扉や次の階層を見つけるのに使えるスキルで迷宮攻略用だと思いきや、敵の接近も知らせてくれるので有能なスキルだ。

 強運は幸運の上位互換でレア素材や宝箱が出やすくなるスキル。このスキルが有ればレアな装備やアイテムが手に入るのでこのタイミングで手に入ってよかった。


(最後にユニークスキルだよな)


 ゲームではユニークスキルは存在してなかったので俺はこの項目の説明をあらためてしっかり読んでみる。


『ユニークスキル、月光剣・クレール(レベル2)』

・召喚可能時間は1日20分。

〈武器スキル〉

・身体強化〈レベル2〉

・耐性無効化

〈ウェポンスキル)

・ムーンライト・ストライク〈レベル1〉


 まず身体強化は文字通り体を強化するスキルで感覚が狂いそうになるから練習しないといけないな。

 耐性無効化は敵の持っている耐性を無効化するスキル。例えば物理ダメージ軽減を持つゴースト系やジェム系を無視して殴れるのは強い。

 最後にウェポンスキルのムーンライト・ストライクは前方に剣に光を纏って敵を切り裂く大技らしい。

 

(使った事がないからわかんね)


 名前がカッコいいので使ってみたいが相手がいないので我慢。


「さてと後はスキルレベルか」


 気持ちを切り替えるべくスキルレベルの確認。このスキルレベルは0〜5でレベルが3を越えれば上級クラスになり強さも大きく変わる。

 

(これを他の人に見せる訳にはいかないよな)


 運良くロイドさんはシスターをナンパしているので俺は手に持った鑑定用紙を折り曲げてポケットの中にしまう。

 

「とりあえず見なかった事にしよう」


 嫌な事からは目を逸らす。前世からやっていた事なので俺は長椅子から立ち上がりナンパをしているロイドさんに声をかける。


「ロイドさん、鑑定が終わりました」

「あ、わかったよ」


 シスターさんと楽しく話していたロイドさんは名残惜しそうにしていた。俺は少し申し訳ない気持ちになっているとロイドさんが和やかな笑顔で口を開く。


「それでどうだったの?」

「うーん、微妙ですね」

「そ、そうか……」


 若干肩を落としたロイドさんを見た俺は内心で謝った後、彼と共に礼拝堂から出て行く。


「まあ、落ち込む事はないよ!」

「そうですね」


 俺の気持ちが沈んでいると勘違いしたのかロイドさんが励ましてくれた。


(ロイドさんすみません……)


 正直に魔法剣士ルーンフェンサーと言えば面倒ごとになるので今は黙っておく。


 ーーーー


 ジャグラン騎士爵家に戻ってきた時にはお昼だったので客室で昼食をいただいた。


(ごちそうさまでした)


 柔らかい白パンに塩が効いたソース。野菜やスープも美味しかったので満足だ。


「満足していただけたようですね」

「ええ、ありがとうございます!」


 食器を下げてくれるのはマーナさん。彼女はニコニコと明るい笑顔を浮かべながら話し始めた。


「屋敷に帰ってきてからほとんど話されなかったで心配でしたが大丈夫そうですね」

「え、えぇ……。心配をおかけしてすみません」


 さっきまであんまり話さなかったのは加護やスキルの事を考えていたからで落ち込んではいない。だがロイドさんはマーナさんは俺が落ち込んでいると勘違いして優しくしてくれたみたいだ。

 

(かなり申し訳ないな)


 気持ちに沈みそうになっているとマーナさんが何かを思い出したみたいで自分の手をポンと叩く。


「そういえば旦那様からグレイ様を呼んできて欲しいと言われてました」

「僕を呼んでいる?」

「まあ、挨拶に行くための服を用意するみたいですよ」


 確かに村人の服で辺境伯様に挨拶には行けないか。俺はマーナさんの言葉に頷き立ち上がる。


(さて行きますか)


 カートに乗った食器は他のメイドが持って行き。マーナさんにはガイン様が待っている執務室に案内してもらった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る