SKYROAD
椿がイモグリアイスのレイアウトを指示している。
雑にイモグリアイスが扱われていることに心外。ホント顔によく出るタイプだ。
朝一番、ムリお願いしてイモグリアイスを販売してくれたおばちゃんが、辟易しながらぼくに助けを求める視線が痛い。
「椿! きょうの目的って、販売戦略だっけ?」
椿がむっつりしながら出てくる。ホント、顔にだしすぎ。朝一のイモグリアイス、ちょっと緩かった。なんて、とても言えない。
期待していたおばちゃんは、青葉のこと、ガッコウに繋がるヒント、なにも知らなかった。青葉さえ見ていないと言う。
そう言われると、あの小さな口で、イモグリアイスを瞬殺した鮮烈な映像は現実だったのだろうか?
「青葉さん」口にだして言ってみる。
ううん。あ、おばさん、に聞こえるかも、微妙。「あおばっち」「青葉ちゃん」
女友だちか!
「青葉って、ほんとここ来たの?」
怪訝な眼差しで辺りを窺いながら椿が言った。
「青葉! やっぱ、青葉は青葉だよな? いいよね? オレもそう呼んじゃって」
「いいんじゃない。変態だし」
「なにが、変態だ!」
「かわいい制服着た子の後、駅からこんなとこまでつけてきたんでしょ? 鼻の下のばしながら。変態じゃん」
「変態ちがう! ストーカ・・・う!」
「それ、リアルすぎて、避けてたワードだったんだけど」
うーん、そうであろう。椿よ、おまえも後をつけたくなる魅力を身につけてくれ。という返しを嚙み殺した。
「それで? 青葉、かわいい制服、修学旅行生。それ以外は? あんた、わたしが探偵じゃなく、料理家だって知ってるよね? 探偵だって、そんだけじゃどうにもできんわ」
「だからあ! スマホ、ロッカーに置いてきちゃって、写真も撮れん、連絡先も交わせん。連れて帰ればよかったん? マジで、イカれたストーカーじゃん」
「なんで、スマホ、置いてきちゃったの?」
「ええと?」登校拒否するため。とは言えず、手持ち無沙汰にスマホを見ると、ロック画面に「今日、来る日だよね?」椿からぼくを心配するメッセージが。
ちょうど、ここで青葉としゃべくりながら椿のイモグリアイス食べてた時刻だ。
気まずくなって、ベンチから立ち上がる。
「ヒントはここだけじゃない。ここから、すぐ近くの商店街をいっしょに歩いたんだ。店の人が誰かしら目撃してるさ」
「いっしょに、スカイロード、歩いたの?」
急に椿が神妙な面持ちをして尋ねた。
「あ、歩いたさ。地元民として案内するために」
「ふーん。わたしが中学の頃、男女でスカイロードいっしょに歩いてたら、それ、付き合ってるって、意味なんだよね」
「そうなん?!」
「あくまで、知ってる者同士のはなし。知らない人と歩いてたら、それって、変態のナンパ野郎なんだけど」
「あのさ! さっきからオレを貶めようとしてるよね?」
「それじゃ、行ってみようか? わたしたち知ってる者同士、スカイロードへ」
椿はたじろぐぼくを、例の目力で引っ張って、スカイロードへ向かった。
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