NANTOKA
高校生にして、早くもタワマンから運転手付きの勝ち組車で、重役出勤してくる登校風景、遠巻きに仰ぎ見る普通科の生徒たち。
なんつう高校だ。
ひょっとして・・・プロ高の普通科って、Pro科のために集められたエキストラなんじゃ?
そんな高飛車思考のぼくはと言えば、ここプロ高ではなんと科、なんとか! Pro科にこびりついている人間っす。
いわくつきのレースだったが、ロードレースの全日本チャンプを獲得したバイク野郎。しかし今はもう、過去の話し。
過去の栄光に浸りだした瞬間から、「過去進行形」な人と、皮肉られる。Pro科では、現在なせることがすべてだ。
トイレに直行し、泣き濡れた瞳をハンドドライヤーに突っ込んで、顔面サハラ砂漠になるまで乾燥させる。
なんと科! 陽キャにもどらんと!
Pro科のレッスンが二時限目を終了する直前。
ぼくは外庭から開いた窓へ向かい、謎の美少女と繋がる空を背負ってジャンプした。
「やはり、このような放物線を描いて・・・」
教壇から声が聞えたのと同時に「ズボ!」
映画のワンシーンで、足元に違和感がして確認。そこにはゲロとか肥溜めが、ほとんどネガティブシーンだ。
ぼくが右足を突っ込んだのも、ピンク色の不気味な溶液が入ったバケツだった。
湯川が教壇で腕時計を確認して言った。
「予測通り、彼の体力測定の数値を参考にして、その初速度から、解放された高さ72cmの窓を飛び越える場合、外庭の定点Fより方程式通り放物線を描いて、着地点に仕かけたバケツ内に落下成功」
「どわ!」自分でも発したことない感慨が口から漏れる。
バケツに突っ込んだ足を浸す溶液が次第に固まってゆくからだ。
この訳の知れんピンクの沼から抜け出すために歩いたが、バケツごとくっついてくる。
「青矢、無闇に歩き回ってないで席に着け」
バケツに足突っ込んだまま近くの机にへばりついて着席。Pro科には特定の席はない。そして、特定の教師もいない。え? それ、いいの?
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