PRO
謎の少女の残り香を、鼻にこびりつけたままガッコウに戻る。
通称、プロ高。正式名、ハイスクールPro
その生徒らは、幸か不幸か、一芸に極端なほど発達してしまった学生不適合者らの集団。こんなガッコウ、他にあるんか? 在籍しつつ思う。
もちろん、一般受験で入学したハイスペックな頭脳も多い。本来の高校なら、それプラス顔、運動神経、芸術性、社交的だなんて生徒がいたら、高校カースト最上位に立てるだろう。
しかし、ここプロ高じゃ、そうはならないシステムがとられている。
イメージ的に一番近いのが、スポーツ推薦だろう。そんな特別枠で入学した生徒らが、スポーツばかりじゃない、様々なジャンルで突出しているとしたら?
まさにそこが、プロ高生の持ち味であり、悲劇でもあった。
ある者はテクノロジーで、ある者は数億回再生の配信者で、そして料理研究家でイモグリアイスを開発したりと。
生徒会長を裏校長と呼び、例えばイモグリアイスを開発した調理部は、部というより、もはやベンチャー企業だ。
その利益が部費となり、部費から開発費を捻出、更に良い商品を開発、連続黒字、優秀生徒へ投資。
驚きなのは、それら収益が普通科の生徒の学費と、毎日無償で提供される豪華なランチにあてられる。つまりプロ高では、Pro科の生徒が普通科の生徒を養っている。
よってプロ高じゃ、Pro科に在籍する才子たちの上に、普通科の生徒たちが立てない構図ができている。
しかし逆に言えば、才子才に倒れた学生不適合者どもに、敬意を抱がざるをえないシステムがムリヤリとられていると言えなくもない。
ガッコウ行けず、日がな一日クソ狭く締め切った部屋にこもって、楽曲配信し続け、臆単位の再生を稼ぎ出した音楽バカがいる。が、プロ高以前は暗黒時代だった。
とにかく人と絡めないのに、再生回数が肥大するほど、絡む人が増えまくって、本人いわく「おぶさってくる子泣き爺どもにぶっ潰された」と言う。
一億回再生されれば、その著作性を巡って三億回叩かれるという有様だ。
それが、プロ高ではスタジオとこの手の折衝を得意とする専門家が間に入って、巧みに利益だけを生み出してくれる。
プロ高様様!
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