第7話:最後の鍵、そしてボス戦
義眼を付けて4日目。やっと起動することが出来た。相変わらずこの手の魔法具起動するの難しすぎない?
いやまぁ、その分効果が高いからいいんだけどね。
さて、左に付けた義眼の機能だけど、まず目が見える。ただ、視える色は普通とは違い、魔力が色として見えているようだ。そのため魔力がない物はモノクロにしか見えない。色は魔力の属性によって異なるようだ。それから複眼なのか動体視力がやたらといい代わりに解像度が低い。自分の動きが非常にゆっくり見える。・・・見えるだけで、実際のスピードはそのままだから、最初は凄い違和感があった。まぁ、すぐに慣れたけど。
けど、右と左で見えている景色が違うから、両方とも開けていると頭が痛くなる。だから普段は左目を閉じている。戦闘時には左目、日常は右目という使い方になりそう。これは中々慣れそうにない。
「よーし、じゃぁ最後の鍵を回収しにいくかぁ」
大広場左の奥側の通路を進んでいく。道中、魔物とすれ違うこともなく奥まで行くと、そこにいたのは狼の群れ。ざっと50匹くらいだろうか。大量にいる。それに気持ちその辺にいる狼とは別種な気がする。なんか大きくて精悍な顔をしている。
一旦離れて、
再度狼の群れがいたところに向かう。どうやら
さて、一気に片付けよう
「
猛吹雪が狼の群れを襲い、多くの狼が吹き飛んでいく。今の一発で殆どが死んだ。
オオオオオンンンンン!
生き残った狼が吠える。その際に発せられた魔力の波が部屋全体にいきわたり、殺したはずの狼が生き返っていた。
「生き返るの!?
そして生き返った狼共々私に向かって襲い掛かってくる。私は
あの感じからして、生き残りがいるかぎり、あの咆哮、というより魔法?で蘇るのだろう。群れの全てを同時に倒さないといけないらしい。
ウォン!
「うわっ、そういうのも使えるの!?」
狼は水に流されながらも水弾や風弾を放ってくる。一発一発の威力は低いが、数が多いため何回も打たれていたらあっという間にやられてしまいそうだ。
「まぁ、そんなこと許すつもりもないけどね!
エリア一体に猛吹雪を起こし、更に雷の嵐も発生、地面からは大量の槍が次々と生えてくる。さすがにここまでやれば取りこぼしはないはず。
一通り収まると、狙い通り狼は全滅。無事宝箱と鍵が現れた。
「ゴリ押しだけど何とかなるものだね。宝箱の中身はなんだろ・・なっ!!」
宝箱を開けると中には謎の卵、それと従魔の本が入っていた。恐らくこの卵を孵化させると従魔が手に入りますよっていうやつだとは思うけど、それはダンジョンから脱出してからやろう。一旦はアイテムボックスに保管だ。
「よーし、一旦戻るか。」
そして拠点に戻ってきた。
「ふぅ~~・・・疲れたぁ。ちょっと寝よう」
ボスに行く前に数日間の休息を取り、その間に持っていけそうなものはアイテムボックスに詰め込んでいく。初期地点の魔術本しかり、館にあった家具とか道具とかその辺も全部持ってく。売ったらいい金になりそうだし。・・・身分を証明できない私に売れるものかはわからないけど、裏ルートとか使えばまぁ売れるでしょ多分。
「よしっ!もうこの場でのやり残しはないね!じゃぁ、最後のボスに行こうか!」
大広場正面にある通路を進み、ダンジョンの最奥へと向かっていく。道中、初日にみた巨大狼やドラゴンに遭遇するかもと思っていたけど、特に何事もなく最奥にたどり着く。
明らかにボス部屋ですっていう雰囲気のデカいドアがある。が、取得した鍵を嵌めるような場所が見当たらない。とりあえず鍵をアイテムボックスから4つ取り出すと、突然その4つの鍵が光だしドアに向かっていく。そのまま鍵がドアに吸い込まれ、大きな光と共にドアが開く。
ギギギギ・・・
「あれが、ラスボスかぁ」
ドアの奥には大きく、そして豪華な装飾が施された部屋が広がり、その最奥にあるこれまた豪華な扉の前に巨大なゴーレムが仁王立ちしていた。
「よし!頑張るぞ!っと、その前に準備しておこう。」
明らかに強そうな相手なので、今回は頑丈さを優先して
そして中に入っていくと、後ろの扉が自動で閉じ、そして扉自体が消える。それと同時にゴーレムが起動する。
「途中退出は出来ないと。まぁ、いいけどねっ!」
一先ずは先手必勝で
「うっそ!?」
巨体の割に移動速度が速く、その丸太のように太い腕を振るってくる。
「これはダメ!」
明らかに受けたらヤバそうな攻撃のため、直ぐに避ける。直後、私のいた場所の地面に大きなクレーターができる。
事前に身体強化施しておいて本当によかった。
それから何発か魔術を放ち、腕や脚を砕いたりしたが、直ぐに再生して攻撃してくる。今のところ、向こうの攻撃手段が腕で殴るか足で踏みつけてくるかの2パターンしかないから何とかなっているけど、体力の消耗がヤバい。早く攻略の糸口を見つけないと。
「身体のどこかにコアがある?あと見てないのは背中側か!
ちょっと魔力消費が多いが、
「隠したところで弱点の場所がわかっていたら関係ないね!
弱点があった部分に狙いを付けて、首ごとコアを切り落とす。するとゴーレムは倒れ地面に消えていった。
「ふぅ・・・これで終わっ・・・がぁ!!!」
終わったと思ったその時、どこからか攻撃をうけ左腕が落とされる。
「ま“た”か“よ”!!
自身の周囲を鉄で多い、
「
「はぁ、これ以上はきっつ。
鉄の
「そこか!!
左目に映った魔力の中に、先ほどのゴーレムと同じような魔力を持ったものが動いたのが視え、そこに向けて
「
その小さなゴーレムのコアに対して、
「っっ!
ドンッ!
私が張った盾はギリギリで間に合い、何とか相手の攻撃を防いだ。が、ミシミシ音が鳴っていて直ぐに割られてしまいそうだ。割られる前に
その隙に相手との距離を稼ぎ、
すると相手も魔術を使用してくる。放ってくる魔術は
「
バリン!
そして隙を見て放った
「っっ!
目を開けると私の目の前にまで迫ったゴーレムが今にも腕を振るって来ようとしていた。私は咄嗟に
ドンッ!
そして
「威力あがるのかい!」
私は先ほどと同じような形でカウンターを放ち、回避したところに更に牽制を放ってゴーレムと距離を取る。よく見ると先ほど破壊したコアが治っている。しかも魔術の威力も上がっている。
「嘘でしょ!?」
どうもあの5つを同時に破壊しないといけないらしい。それに失敗すると相手の攻撃力が上がるという理不尽っぷり。本当にふざけている。
「けど、やりようはあるよね!
強力な嵐を巻き起こし、相手が放ってくる魔術を吹き飛ばす。そして相手からこちらの姿が見えてないうちに私の周りに相手を捉えるための罠を仕掛ける。
嵐が収まると同時、私の予想通りゴーレムは地面を走ってこちらに来た。そして私まであと少しといったところで仕掛けた罠が発動し、相手の足元に粘着性の泥が現れて引っかかり、前のめりに転ぶ。更に転んだ先で
すると、ゴーレムはそのまま地面へと消えていき、部屋の奥から岩で出来たネズミが大量に出てくる。
「何となく予想はついていたわよ。次は犬かワームのどっちかの特性を引き継いだものだとね。」
第一形態が通常モード?で、第二形態は人形、第三形態は蜂、残っているのは狼かワームだからどちらかの特性を持ったものが来ると思っていた。
「とすると、これをいっぺんに破壊しないといけないのよね。」
一先ず
「
この部屋の全体に対して、
そして全てが収まると、ゴーレムは消え奥の扉が開いた。
「・・・え?これで終わり?」
もう一形態あると思っていたが、どうもあれで終わりらしい。もう一形態あると思ってたけど、最初の形態がワームだった?それとも蜘蛛?何かスッキリしないけど、クリアしたならいいや。報酬は何だろう?
そう思っていると、扉の前に宝箱が現れた。いままでよりも豪華な装飾が施されている。
「パンパカパーン!」
宝箱を開けると、中には拳サイズの綺麗な水晶球と、謎の紙、それとアイテムボックス
その紙を手に取ると、私の目の前にゲームのアイテム交換のような画面が現れる。画面中央には『レベル×10ptが付与されます。ダンジョン退出後、レベルは1に戻ります』というメッセージが表示される。画面右上に表示されたポイントは『3750/4000pt』となっている。どうやら今の戦いでレベルが400まで上がってたようだ。ま、結局Lv1に戻ってしまうみたいだけどね。
「んー、何と交換しよう。てか何で最初からポイント減ってるの?」
色々と見た中に、アイテムボックス持出権というのがあり、チェック済だった。説明欄によると、身に着けているアイテムボックスを外に持ち出す権利と書かれていたので、これはこのままにしておこう。
そういえば左腕に付けていたアイテムボックス、腕ごと落とされたけどどこに・・・、って右腕についていた。ついでに服も治ってて綺麗になってるし。いつのまに。
「えーっと、魔法テント?未展開時は緑色の球体で、魔力を流して地面に投げるとテントが展開される。見た目はただの野営テント。しかしその中はキッチン・トイレ・風呂・寝室・リビング・書斎が全部ついている?さらに魔物除けと結界付き。魔物除けと結界の動力は魔石を入れるか魔力を直接流すことで使用可能?・・・これめちゃめちゃよくない?ポイントは2000とかなり高いけど。」
えーっと、チェック付けたいのはやまやまだけど、まず何が必要か考えよう。荷物の持ち運びはアイテムボックスでOK、あとは住む場所。この二つは必須かな?
他に何かある?金はアイテムボックスの中の物を売れば問題ない。武器も別にいらない。義肢はなくても困らない。てか高くて交換できない。8000ptとか無理。あぁー、そういえば錬金と調薬の本と道具があるからそれ用の部屋が欲しいかな。魔法テントを拡張するような形で使えるとなおよし。
「あっ、あるじゃん。魔法テント拡張機能。錬金も調薬も両方とも400?かなり安い?いやでも魔法テント持っていること前提って考えたらそんなものかな?ついでに鍛治も付けるか。残り550かぁ。んー・・・試験場が500。“様々なことを試す場として使うことができ、外部に影響を及ぼさない”。これでいいかな。」
残った50で1ヵ月分の食料(パンにスープに処理済みの肉)と交換して決定を押す。すると“アイテムボックスに選択したものを送りました”とメッセージが表示され、ウィンドウが消える。確認するとアイテムボックスに先ほど選択したものが全て入っていた。
「試しに魔法テントここで開いてみるか。」
アイテムボックスから取り出すと、説明通り緑の球体だった。これに魔力を流して地面に投げることでテントになると。
「おお、ちゃんと展開された。見た目はただの小さいテントだね。人一人寝れる分くらいかな?」
中に入ると、玄関があってその奥にリビング。キッチンと寝室、トイレもあり、書斎もある。拡張オプションの鍛冶・錬金・調合の部屋も揃っている。家具・道具も基本的なものは設置されているようだ。
「これすごくいいね。全体で100㎡くらいあるんじゃない?とても広い。あとで道具とか家具は置き換えよっと。あと魔物除けと結界の魔法具も確認しよう。」
どこにあるんだろうと思ってると玄関に設置されていた。丁寧に魔法具の名前も書かれているので間違えることはなさそう。
「えーっと、魔石を入れればいいんだよね?」
アイテムボックスにある狼からドロップした魔石をいれて試しに起動させる。
「おぉ、ちゃんと起動したっぽい?」
魔物除けはわからないけど、結界の方はしっかり機能しているみたい。
「オフにするには魔石を抜けばいいのかな?」
魔石を抜くと機能が停止したようだ。
「よしっ!じゃぁ、出るか!」
一通り確認も終わったので、テントをしまい、ワクワクした気持ちで奥の扉に入っていった。
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