第20話 順調な冒険者生活
それから私達は、四人組のパーティーとなった。そして、本格的に冒険者としての活動を始めた。
戦闘訓練をしつつ依頼をこなして、ダンジョン攻略の計画を立てて、実際に潜り、各自でトレーニングも行って鍛えた。
新人で無名だった私達は、三ヶ月ほどで街でも名が知られるようになった。依頼の達成率も優秀で、多くの経験を積んで成長した。
ダンジョンの攻略も順調で、モンスターを倒して入手した数々のアイテムを地上へ持ち帰り、それをギルドで換金して大金を稼いでいた。
私達の冒険者活動は、非常に順調だった。
「今日も無事に、地上へ帰還することが出来ましたね」
「俺も、ダンジョン内でバテなくなった。体力が全盛期よりも増えているみたいだ」
「それじゃあ次は、もっと奥まで進めるな」
「あまり無茶はしないぞ。ダンジョン内で怪我をしたら大変だからな」
「それなら、マリアンヌが居るから大丈夫だろ?」
「えぇ。私に任せて下さい」
「あまり彼女に頼りすぎるな。ダンジョン内では何が起きるか分からないからな」
「はい!」
「わかりました」
「わかってる、って」
地上に戻ってきて、手に入れた報酬を四分割にする。
ダンジョン内での活躍は関係なく、配分の比率は同じというルールで決めていた。これは皆の意見が一致したもので、この比率は嫌だという者が一人もいなかったからでもある。
それに、四分割されても十分すぎる額だったから、誰も、何の文句もないようだ。私も当然、納得している。自分の力で、これほど稼げるなんて思っていなかった。
実家を出た私は、この世界で生きていく為には強くならないといけないと思っていた。生活の為にお金を稼ぐ必要があった。冒険者になった今、それが達成できた。想像していたよりも簡単に。
どうやら私は、冒険者という生き方が性に合っているようだ。
冒険者として名前が知られるようになると、私は色々なパーティーから勧誘されるようになった。魔法使いというのは、常に需要がある人材のようだ。どうにかして、今のパーティーから引き抜きたいと考える者達が多いようだった。
もちろん私は、全ての勧誘を断っている。今のメンバーとの活動に満足しているから。他のパーティーに移るつもりは一切ない。
パーティーの引き抜きだけでなく、街にある診療所から応援に来てくれと、助けを求められた。この街には怪我人が多いのに、怪我を治療するための回復魔法を使える魔法使いが足りなくて困っていたらしい。
そちらの要請は、快く引く受けた。ゼノさんの体力増強トレーニングが一段落したので、空いた時間に怪我人の治療をして働くことに。仲間にも相談して、許可も得ている。
多くの冒険者達を回復魔法で治療して、経験を積ませてもらった。おかげで魔法の腕前も上がり、新たな魔法も習得した。
そして、私の活動は街の人達から感謝された。母と同じように人々を助けることが出来たことを嬉しく思った。
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