第19話 地上に戻ってきて

 ダンジョンから地上へ無事に戻ってきた私達は、今後の方針について話し合った。


 ロバンとダイロンの2人は、これからのダンジョン攻略に向けて戦闘訓練を行う。これから先、より深い場所まで潜れるように鍛えるという。


「マリアンヌの魔法に頼ってばかりじゃ、ダメだからな」

「僕達がマリアンヌさんを支えられるように、しっかりと鍛えてみせます」

「頑張ってください、ロバンにダイロン!」


 そして私は、ゼノさんの体力を取り戻すトレーニングを指導することに。ダンジョン内で交わした約束を果たすために、彼専用のトレーニングメニューを考える。


「体力を取り戻すためには、しっかりトレーニングする必要があります。回復魔法ですぐに体力がつくなんてありませんからね? 日々の努力が必要です」

「わかった。君の言う通りに従うよ」


 そんな話し合いを行っている最中に、ゼノさんがこんなことを言い出した。


「俺も、君たちのパーティーに加えてくれないか?」


 突然の申し出に戸惑う私達。


 ゼノさんは、ギルドから紹介されたダンジョンの案内人という関係。それは、仲間じゃない。


 それをゼノさんは、私達の正式な仲間に加えてくれと真剣な眼差しで、お願いしてきた。


「ダンジョンについての知識は君達よりも豊富だろう。だから、攻略について有用なアドバイスが出来ると思う。役に立てると思う。どうだろう?」

「でも、俺達は初心者のパーティーだぜ? ゼノさんが体力を取り戻した後は、元のパーティーに戻れるんじゃ?」

「いいや。以前のように動けるようになったとしても、前のパーティーに戻るつもりはないよ。君たちと一緒に冒険したいんだ。きっと、役に立てると思う」


 ゼノさんの言葉を聞いて、三人で顔を見合わせる。どうしようか。受け入れるか、拒否するのか。


 彼の言葉には嘘偽りはなく、本気で一緒に冒険したいと思っているみたい。それなら。


「情報は貴重だから、ゼノさんが僕達のパーティーに加わりたいというのなら、僕は賛成です」

「ダンジョンの奥に潜っていくために、情報を知っておくのは非常に大事でしょうね。私も、豊富な知識を持っているという彼をパーティーに受け入れて、問題ないと思います」

「二人がそう言うのなら、俺も別にいいと思うぜ」


 三人の意見が一致したので、ゼノさんがパーティーに加わることが決定した。つまり、これからは四人パーティーになる。


「ありがとう。これから、よろしく頼む。皆の役に立てるように、頑張るよ!」

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