これだけでも我々日本人が忘れてはならない「大きな悲劇」が待っている事がわかる。昭和20年8月6日、たった一発の爆弾で、9~16万6千人が被爆から2~4ヶ月以内に死亡し、56万人が被爆したとされる。この数字の一つ一つに、人々の人生や青春や生きた証があった。あの瞬間まで、精一杯に生きていた。この小説は「数字の一つの例」かもしれないが、路面電車を通じて青春を謳歌していた少女達の物語である。目を逸らさないで、最後まで読んで欲しい。
戦前の様々な地域事情を背負った少女たちの個性が際立ち、「同志少女」の狙撃小隊を彷彿とさせました。これから迎える原爆投下を頂点にした過酷な状況に彼女たちがどう向き合っていくのか、物語の展開に期待大。