豆つぶシリーズⅡ 「ぐっど あふたぬぅん編」


お昼ご飯には、お部屋の湿気をたっぷり吸って、梅雨時の嫌なベタツキを防止します。

お昼ご飯には、水道の水をたっぷり吸って、お部屋に放散!冬場のカサつきを防止します。


豆つぶだって、社会に貢献しているんですよ。




さてさて、一仕事終えたら… 次のお仕事の下準備です。

今日の夜ご飯は何にしようかしら。と悩んでいる おかあさんの耳元で こっそり

「炊き込みご飯なんて、どうですか。」

とささやいてみるのも、豆つぶのお仕事です。


どうして、豆つぶがそんなことを…って?

だって、他のモノじゃ、大きすぎておかあさんに気付かれてしまうでしょう。

あんまり小さすぎたら、おかあさんまで声が聞こえません。

だから、豆つぶがベストサイズなんですよ。


さあ、今日の夜ご飯は炊き込みご飯!

そうと決まれば、大変大変。

次に豆つぶが行くのは 冷蔵庫です。




ねぇねぇ しいたけ君、君は今日炊き込みご飯になるんだよ


おお やっと料理してもらえるのか。もう少しで腐りそうだったんだよ


そう思って 炊き込みご飯は?って提案してみたんだ


そうかそうか、ありがとう 豆つぶ君




ねぇねぇ ニンジンさん、貴方は今日炊き込みご飯になりますよ


あら そうなの?


ええ、しいたけ君が腐りそうだったからね、おかあさんに提案してみたんだけど


あらあら それじゃあ 毛を抜いておかないとね、少しでも 楽させてあげたいわ


ありがとう、気持ちは嬉しいけれど バレない程度によろしくね


ええ もちろん




ねぇねぇ コンニャクちゃん、君は今日炊き込みご飯になるよ


えっ 炊き込みご飯?それは光栄!


しいたけ君が 明日あたり危険だと思ってね、おかあさんに提案してみたの


それはいい考えだわ。さっそく 身体を磨いておくわね


うん よろしくね。くれぐれもビニールを破かないようにね


わかったよ 豆つぶくん




今日はなかなか順調ですが、みんながみんな、賛成してくれるわけでもありません。

さて、次は鶏肉さんのところです。




ねぇねぇ 鶏肉さん、貴方は今日炊き込みご飯に入ってくださいね


炊き込みご飯?アタシはイヤよ、そんな安っぽいもの


そう言わずに…炊き込みご飯は 小さい子供からおじいちゃんおばあちゃんにまで ポピュラーな食べ物ですよ


イヤったら イヤよ、 アタシはもっと 豪華に華麗にお皿のステージに乗りたいの。炊き込みご飯なんてイヤよ。いやったらイヤ


そんな事いわないでください、鶏肉さんがいないと 炊き込みご飯に花がないんです。お願いしますよ


んもー 仕方がないわね。わかったから さっさとあっちいってちょうだい  うるさいわ




ふぅー鶏肉さんは結構プライドが高いから大変です。

あとは お米くんたちです。お米くんたちは とっても賑やかで大好きだけれど、

豆つぶは ちょっと行くのがイヤです。



ねぇねぇ お米くん、今日は炊き込みご飯だよ


おっ 豆つぶ君。炊き込みご飯かぁ いいねぇ


いいでしょ?じゃっ、僕はこれで…


待てって 待てって。ちょっと話をしないかい


い いやいや まだまだ忙しいからさ


そういわずにさっ 豆つぶだって沢山いるんだろ


お米くんたちで たのしくお話すればいいんじゃない?


いや、お米は仲間は沢山いるけど、野菜とかと違って、冷蔵庫に入れないからね。話し相手がお米しかなくて つまらないんだよ


え と…


そもそも 炊き込みご飯ていうのはね…


あっ きっ 急用を思い出したよっ お米くんっ またねっ


お… いっちまったよ…





ふぅー お米くんは 話が長いんだ。

話し出すと、止まらないんだよねぇ。


さて、みんなに知らせ終わったぞ。そろそろ お日様も傾いてきたことだし

おかあさんも 夜ご飯の準備を始めそうです。

おかあさんが台所に立ったとき ザルの中に 豆つぶがいなかったら ビックリしちゃう。

さぁ さぁ みんな  ザルに帰るぞ



あっ 今日は僕が内側だよっ

イヤよっ 私昨日も外側だったわっ また網目がついちゃう

もーっ 押すなよ

こらっ さりげなく オレの上に乗るなよ 形が歪むだろー

ねぇ 今日の鶏肉さんの言いっぷり。聞いた?あいかわらず 我侭よねぇ

アタシたち 豆つぶなら 何の料理になってもしあわせなのに 自分を高く評価しすぎよねぇ

悪口言うなよ 聞こえたら失礼だろ

あら この前あなたも ブロッコリくんがイタズラするって言ってたじゃない

ブロッコリくんといえばさ 白いタイプもあるんだぜ 知ってた?

あれは カリフラワーでしょ  そんなことも知らないの

そいえばさ、明後日あたり エリンギさんが 危ないぜ

おかあさん すぐ忘れるんだよな  何が冷蔵庫に入ってるのかってこと

そうそう この前トマトちゃんを腐らせてたんだよ

えー カワイソウだね

あのあと 畑のコンポストの中に入ったらしいよ

コンポストって臭いんでしょー

でも、入ってしばらくしちゃうと わかんなくなるらしいぜ

へぇー

要は慣れって事じゃない

そっか 慣れかぁー

じゃあ、網目模様がつくのだって 慣れれば どうってことないわよね  ハイっ 貴方が外側!

おいっ それはないだろーっ

あ セコいぞっ

うるさいわよ しずかにできないの おかあさんが来るわよっ





あふたぬぅんも 豆つぶたちは賑やかです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る