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私が決心をした顔を見てクレアは不思議そうな顔をしていたが、授業も終わって直ぐにお昼になった。そこで時間もあるので食堂でご飯を頼みつつ、クレアに分かったことを話した。
私はとんかつ定食。クレアはうどんを頼んでいた。日本だ。ちなみに何でもありそうな雰囲気だった。パスタとかハンバーガーとか見えた気がするし、どうなっているんだか。
「ふーん、リリに相談したら色々考えてくれたのがあのノートだったんだ」
「そう。で、ここからは話半分で聞いてほしいんだけど、フェリア様が死んじゃうかもしれないんだよね」
「そ、それはなんで?」
露骨に顔を歪ませ聞いてくるクレア。
「未来予知、みたいなものじゃないけど分かっちゃって」
「…………」
「そんな怪しいものじゃないんだけど、私の予知的なものによると冤罪をかけられてそうなっちゃうかも、なんて」
「いきなり庇い出したけど、大丈夫?」
「クレアだってさっきは納得しかけてたじゃん!」
「だってそれにしてはフェリア様不器用すぎるでしょ! 何よ、どうなったらそうなるのよ!」
確かに。嫌がらせまがいのことをして伝えるなんてあまりにもありがた迷惑である。
「でも、冤罪って言われても他に情報とかはないの?」
「信じてくれるの?」
「信じないと話が進まないし、それが嘘か本当か私は私で勝手に考えるから」
「さいですか……」
クレア、芯が強いみたいだ。頼りになる。
「情報……は何もないかも。大切なこと以外あんまり覚えてないし」
「覚えてない? 予知なのに、そんなに大切な情報を?」
「うーん、何ていうんだろう、夢みたいな感じだったから、ね?」
「少しは思い出せないの? 感情を人は記憶しやすいって言うし、そっからアプローチできたりしない?」
少し口を滑らせてしまった。クレアが疑うように私を見てくるのが辛い。
「うーん、フェリア様が処刑されるって聞いて、私は……」
思い出そうとすると運のいいことに当時の出来事が流れてくる。
『あのね、冤罪にかけられて死んじゃうんだよ』
『っフェリア様死んじゃうの!?』
『え、そんなに興味あったの?』
『野薔薇が話すの珍しくて、話半分聞いてた』
『なら有栖に話しちゃおうかな。でもゲームもしてほしいからなあ』
『教えなさいよ。フェリア様はどうなるの?』
『簡単に言うと──』
「そう、簡単に言うと市民からの反乱があって、その戦争でフェリア様は冤罪のせいで市民に殺されるの」
「ほら、できるじゃない。反乱、か。そんな様子は全然ないけど」
「そうだよね。でも、いつか起きてしまうことみたい」
「…………」
いつかは分からない日、反乱が起こる。
私はそれに備えて強くならないといけない。
しかし、私はフェリア様を助ける必要はあるのだろうか。憶測だけで何も知らない彼女のことを知る必要があることを悟った。
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