第119話 お気に入り音楽のテキトー所感

 何とか潮風食堂も終わって、次のターンに向けた準備考案期に入った。今回の潮風食堂の雰囲気やイメージをつけるために、久しぶりに熊谷幸子さんの曲を結構聴きまくった。

 おそらくファンではない多くの方にとって、彼女の曲と言えば、『風と雲と私』だろうなあ、と思う。理由は『夏子の酒』の主題歌で結構ヒットした。

 僕自身もこの曲からのファンだ。ただそれほど詳しく知っているファンというわけではない。純粋に楽曲の好みだ。でも音楽を愛しているアーティスト独特の香りがする作品を多く書いているので、僕の嗜好性と波長の合う作品が多い。なので独断、恣意的、思い入れから、僕の好きなこの人の曲のいくつかを紹介してみようと思う。好き勝手な僕の感想回であり、同時に今回は休息回である。


『風と雲と私』

 これは自然情景を主だった歌詞に、シンプルで心地よいアコースティック・サウンドで歌われる曲である。作品全体的に歌詞の内容が前向きと評価されている人で明日とか、再スタートなどのコンセプトの曲が多い。この曲も自然現象と前向き心情を組み合わせた内容である。曲は鍵盤リフのシンセとゲインとエコー・リバーブ系のエフェクターでエレキギターっぽさを消したギターが入っているようにも感じる。全体的にキーボード中心の曲だと僕には聞こえる。コーラスはいつもの女性チーム。これも爽やかさを演出しているのでこの曲に合っている。


『白いKiss』

 初々しい綺麗な歌声。クレジットはマイカ・プロジェクトで名前は伏せられているが間違いなく熊谷さんの歌声だ。歌詞は、キラキラの青春恋愛ソング。もう僕には眩しい世界である。出だしはシモンズドラム。八十年代から九十年代に流行ったシンセドラムである。だらだらロックで聞くようなオルガンのぶらぶらパートが上手く爽やかに処理されているのが凄い。『ミラクルガール』なんかでもこのパターンは使われていたなあ。時代を感じる。そこはロック技法でもポップな曲のイメージを崩していない。コーラスは男女混声で、良い意味で熊谷さんぽくない変化を感じた。

 歌詞は太田俊江さん、他マイカプロジェクトの皆さんが知恵を出し合ったとのことだ。スポンサー、クライアントサイドあっての曲なので。タイトルも乳製品のイメージで「白」が重要なのかな? 


『おはよう、ファニーガール』

 この人の声のファルセットは綺麗に馴染む。歌詞の「こだましてた」あたりの裏声が心地よい。スイングするディスコ・ビートに載せた失恋脱却ソング。またも前向きソングね。ブラス系の音を加えたので、音の厚みが力強さを感じる。途中のギターのベンチャーズばりのスライド音で入れるアクセントが面白い。またカッテングもそれとなく入っているのがいい。


『女神とピアニスト』

メルヘンタッチの曲。これは小説や物語好きな人には刺さりやすい楽曲。ビートは八でも二でも取れそうなジャジーのクラッシカルなドラム。まるで童話のワンシーンを歌にしたような可愛い曲である。二十世紀初頭のラグタイムやミュージカルオケの雰囲気を感じるアレンジも楽しさを感じる。ボーカルは美しい高音部だけで無く、低音部の声もしっかりと使って幅のある歌い方も楽しい。


他にも『未来はきみのもの』、『Bye Bye My Happy Days』、『みんな雨の中』なんて趣のある楽曲もまだまだあるのだが、その辺はまた機会があればご紹介しよう。

 のろのろ台風早く去って欲しいモノだ。ではまた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る