第110話 企画倒れになりそうな新作の話(笑)

 年末に向けての、『時空魔女マリン嬢の回想日記』のプロットを練り始めた。まだ夏のような梅雨なんだけどね。勿論、八月末までには、第二シーズンを終わりにしたい『思い出の潮風食堂Ⅱ』のプロットと並行してのことだ。


 マリン嬢の第二シーズン。内容は? うーん。

 時刻表ミステリー? 松本清張か? いやいやムリ。旅情推理? クリスティ? いやいやムリ。ご当地ミステリー? 山村美紗か? いやいやムリ。久々に春先あたりに図書館や大型書店などうろついていたが、そして棚から引っ張り出して、「赤毛連盟」、「斑の紐」、「踊る人形」などを眺めてみた。プロットだけの二次的なモノなども読んだ。いわゆる斜め読みである。さらにはネット小説のホームズもの、「ボヘミアの醜聞」、「孤独な自転車乗り」……。うーん、本格的なのは僕のオツムではムリだ(爆)。絶対、僕にこんな凄い推理は思いつかない、そうじっちゃんの名にかけて! どこのじっちゃんだ? 佐野のじっちゃんか?


 なんかこのおちゃらけ具合のエッセイ文章、相ヶ瀬さんや山田あとりさん、っぽいって自分で思ってしまった(笑)。お二人とも、僕と一緒にしてごめんなさい。僕のと違ってあちらは楽しいエッセイですよ。

 ちなみにそのホームズの翻訳ウェブサイト、結構二次資料の相関図、時代考証なども充実しているので、興味ある方はどうぞ。(https://221b.jp/)

 ついでといってはなんだが、この場を借りて、奈那美(=^x^=)猫部さん、晁衡さん、いぬたぬさん、真野魚尾さん、いつも拙作へのご訪問ありがとうございます。大感謝祭です……ってなんかラジオのパーソナリティみたいな、だな。では皆さんのリクエスト、ペトラ・クラークで『DOWNTOWN』ってか(笑)。


 閑話休題、だって逢野安間郎おおのやすまろうが実質上の主人公だもん。彼には毛利小五郎のように、麻鈴の推理の最中は眠ってもらうか? いやいや体は大人、頭脳は筋肉、血液はお酒というおじさんである。眠り薬など効かなそうだ。


 大体にして、自分で書いていてなんなのだが、あんなふざけた物語に真面目な推理が適するはずがない。魔女の麻鈴が、そう魔法使いが推理をして、探偵の逢野を捨て置きながら自分だけが一山ひとやま当てるというおかしな設定が定番になっている逆説話のような半分ギャグだ。おまけに逢野の方はと言えば、麻鈴に美味しいところ全部持って行かれて、最後に居酒屋に駆け込んで酒に逃げる迷探偵だ。まるで落語のハチクマの天丼オチのようだ。

 毎回書く度に、僕は自分に「これは所詮お馬鹿な物語だ」と言い聞かせている始末。真面目なSFやハートウォーミング物語が得意な趣味人物書きだ。一回や二回のおちゃらけてるお話は書けるが、それが毎回なのだ。しかもおまけに出来の悪い推理要素を混ぜ込む物語という定石は完全に出来上がっている。


 さてさて『思い出の潮風食堂Ⅱ』の次は、『時空魔女マリン嬢の回想日記』と『「みはしらのうずのみこ」が願う帝都ものがたり』の構想を練っている段階。後者はおおまかなプロットは出来ているので、慌てることもないのだが、問題は前者マリン嬢だ。僕の頭の中でおかしな物語が思い浮かばないと新作が出ないのである。あの作品はそんな微妙な、奇妙な駄作であることは間違いない。ではまた。


 

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