第108話 食堂モノ小説のPR? 商店街がキャラクター?

 ほぼ一週間空いての108回目。未だ煩悩を卒業できない僕にピッタリの数字である(笑)。

 とは言っても、女性も、ギャンブルも、煙草もしない僕。お酒だけかな、飲む打つ買うで言えば、飲むだけだし、それも九分九厘は家飲み。店で飲むといっても、高級な店には行かないし、ご飯食べるついでに飲む程度なので、いいところ、英国風のパブ、すなわち庶民的なショットバーであるし、千ベロファミレスのワインやとんかつ屋でビールを飲むぐらいだ。しかも大した量でもない。そう考えれば、僕は結構、いや全くもって健全で真面目くんだ。単にお金がもったいないと言うだけなのだけど(笑)。そうケチではなく貧乏なだけだ(大笑)。


 流行のゲームもしない、流行のドラマもほぼ見ない、話題の食材グルメ嗜好もない。まあ、こう言ってはなんだがおそらく女性からしたら面白みのない男性である(もとの配偶者にもそんな感じのことを言われた・笑)。単なる真面目なら受けも良いのだろうが、クソとかバカが付いた真面目はさほどもてはやされることはない(爆)。


 さて本題。以前原秀則さんのマンガがわりかし好きだったと、過去にこの場でも言ったことがある。読み始めたのは『さよなら三角』の頃からかな? ちょうど同じ時期なのだ。原さんの『さよなら三角』と尾瀬あきらさんの『初恋スキャンダル』の連載時期って。かたやサンデー、かたや少年ビッグコミックである。

 その原さんの名作、先日、『部屋うちにおいでよ』を読み返してみた。懐かしかった。『冬物語』なども含めこの人の描く間合いと背後関係が好きなのである。間合いはテンポというのかな。『タッチ』なんかのあだち充さんの間合いも結構独特の神業なんだけど、僕の中ではそれに匹敵する感じだ。

 その昔知人が『ロングバケーション』というドラマの展開が、この『部屋においでよ』と結構似ていると言っていたのを思い出す。僕は流行のトレンディドラマというのはあまり見ないので、何処がどう似ていたのかはわからない。

 また背後関係でいけば『タッチ』には無台詞回というのがある。フキダシが一切ない重いお話の回だ。『冬物語』の奈緒子さんも十九歳、二十歳なりの結構な重荷を背負っていた。一級のストーリーテラーはこういった苦い人生をもキャラクターに背負わせるのである。


 恋愛術を前面に出すのではなく、なんとなく、そしてかぎりなくゆるい人間関係の延長線上に存在するおぼろげな恋人や夫婦、家族って感じなのだ。色恋いろこい沙汰をごり押ししてくる恋愛モノが多い中で(そういうのもそれはそれでまた角度を変えれば、夢を見せてくれると思うから良いとは思うけどね)、こういう世界観はほっとする。恋愛は味付けで人間ドラマが背後に存在して、物語の後半ではそっちがメインになり、生い立ちや感性、性格といったキャラクター属性の形成過程など、個人のパラメーターを順を追って描くことが重要になる展開だ。恋愛や恋心はそれの導入部として使われている。そんなに世の中の人、ひっきりなしに恋愛していないと思うし、これくらいがちょうど良いのだ。実際、いつも恋愛ばかりしていたら疲れちゃうしね。


 それと少し重くなる人生と生涯を描く僕の創作物語。このところ拙作『思い出の潮風食堂Ⅱ』を書き続けている。これは毎回各話独立形式の短編だ。この作品は、今さっき、フリで言ったものと同類項、恋愛がそれほどメインではない。家族愛や人間ドラマに主体を置いているファンタジー作品だ。前回のパートワン、第一作目もそうだったが、とことん人生が主題である。なので恋愛の部分は二、三割といった感じだ。

 人間の生涯や生活というのは、大きなバランスの中でパラメーターが成立している。全ての出来事から男女愛、恋愛だけをピックアップして物語にするのは片手オチだ。そう人生は意外に全てが密接に絡みあって成立している。栄枯盛衰、諸行無常、万物流転と人生は絶え間なく繋がっている。恋愛は結婚に、結婚は家族に、家族は冠婚葬祭に、冠婚葬祭は親戚付き合いに、親戚付き合いが家督宗教や本家分家制度にと形を変えて人間同士の繋がりは無限に広がる。恋愛のみのクローズアップというのは、若い時代のみ、人生のその一部だけをかいつまんで描いているに過ぎないというのがおじさん的な僕の見地だ(笑)。

 そんな人間の一生のそれぞれの一コマを少しだけ切り取って、日常ファンタジーにしていく。そう幼少期、少年期、青年期、壮年期、老年期とその背後にある絡み合った人生の陰日向かげひなたを、少量のトッピングにして描くのが楽しいのである。そんな僕なりの味付けが『思い出の潮風食堂』のシリーズである。だから人間愛が前面に出ているときは、恋愛や夫婦愛は少量のトッピングだったりもするのだ。創作の動機はこんな感じである。ファンタジーSFではあるが、人間ドラマのジャンルが近い。


 これは、もともとスピンオフの作品でスタートしたのだが、最近は結構読者も付いてくれているので、このまま三シーズン目を書く気分になった。僕の書きたいモノが少人数でも支持してくれる方々がいれば、続けるのである。これはウェブに移ったときに密かに立てた誓いのようなものだ。そこは一貫している。

 第二シーズンは商店街の面々がゲスト出演している。ファーストシーズンはお客さんがメインだった。第一シーズンの唯一の登場人物は久住書店さん。それが商店街会長の松戸酒店さん、フレンチ喫茶の健作くん、写真館の拓さんと、まるで町全体の雰囲気が潮風食堂店内で感じられるようなキャラクター設定にした。賑やかでどことなく懐かしい雰囲気が醸し出せていると思ってもらい、それが伝わっているなら作者冥利となるのだが、いかがだろう。

 気分を良くした筆者は、サードシーズンか、あるいは特別編を考え始めた。こんなの『時神と暦人』以来のことである。裏を返せば、この作品とその世界観が僕の内面で確かなモノになってきたと言うことなのかな? 都合良くそう考えて、今日のところは自己満足で終わりにしよう(笑)。ではまた。


 

 

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