第93話 人間模様の創作について

 三月に入った。如月から弥生へ。忙しいのは変わりなく、正直今日は帰宅後寝落ちした。なかなかの疲れっぷりだ。先日たまたま故郷の銘菓古印もなかが百貨店で手に入ったので買ってきた。ラッキーだった。何のことは無い普通の最中なのだが、あんこの自然さが良い。味の濃厚さが良い。なによりこの味であんこを知ったようなものなので、これが基準といった感じだ。また暖かくなったら足利に買いに行こう。


 ではタイトルの話に移る。重そうなタイトルだが、重いのはイメージだけで中身はすかすかの僕の創作活動の話なのでご安心を(笑)。

 今さっき、同じ角川系の媒体で、神明社シリーズの阿佐ヶ谷編のアップをした。その媒体主催のコンテストに久々に出品したためだ。以前はその媒体に定期的に応募していたのだが、このカクヨムさんに主軸を移してから少なくなった。答えは簡単、その媒体の読者対象年齢は大人が多いので、そこは僕の作品の対象と合うのだが、恋愛の嗜好性が合う物が少ないためである。女性向けで、多種な恋愛のパターンを拾い上げるテーマが多いのだ。ほのぼの系の恋愛しか出てこない僕の作品と違い、そこは僕の思考回路では手の届かない何かで満ちあふれていることが多い。大人ゆえのスリリングや秘密の恋は僕の作品とは真逆の位置である。

 それが最近では僕の書く世界にも近いモノが募集内容になってきて、そして僕の作品の中にも完全大人世界の舞台での嗜好性に近いモノがわずかだが存在したので応募してみた。


 そもそも僕の作品には恋愛要素のあるモノもそこそこはあるのだが、人間模様や家族愛といった文芸主題などにテーマをおく物も少なくない。

 キャバ嬢という大人の世界にどっぷり浸かった元クラス委員長の女性と元彼の話。その二人の同級生で、超弩級のお嬢様だった女性の子供染みた恋愛とそこから覚醒して、自分の価値が下がったときに口を利いてくれた人間、お金との立ち位置のという、僕の作品にしては珍しく深い人間模様が入っているお話の三話分だ。


 このように、この阿佐ヶ谷編は上手いこと作品の主題とコンテストの応募趣旨が一致したため、そしておまけに字数も合致していたため、表紙を造り、作品解説を書いてなんとか間に合わせた。またこの作品、僕の意志での選択肢としての理由は、神明社のシリーズの中では三部作、全てが書き上がっていて、揃っていたことと、物語の流れが自分のなかで結構好きなパターンで気に入っているからだ。今回この応募がスカでも、手直しして応募を続けられる作品に仕上げていく予定である。それぐらい気に入っている物語だ。


 恋愛だけに軸を置いてしまうと、僕の場合、それほどネタの多いタイプではないので、創作が枯れること必須。そこでよりストライクゾーンを広めにして、人間愛や運命などの要素も入れることにしている。

 恋愛を軸にした作品は、気をつけてはいても、どうしてもどこかで自分の好きなタイプの女性や場面を書きたくなる。あるいは書いてしまいそうになる。誰でもそうだ、と思う……たぶん。まあ、話の流れ上、ここではそういう事にしよう(笑)。それを押さえて書くと筆がのらないということも多々あった。バイアスをかけて誤魔化してもさほど多くは作れない。そこからスランプのスパイラルに突入するのだけは避けたいのだ。なので恋愛もの三割、オチの整ったSF物三割、ハートウォーミング・ストーリー三割、その他一割という割合でぐるぐると回って書いている。勿論、大雑把な話なので割合に少々の誤差は生じる。


 最近、自分の作品全体を俯瞰して対峙するようになったためこういうことが分かる。以前と比べると随分自分の創作傾向が変わったなあ、という客観的な実感を感じるようになった。二十から三十代は、四コママンガの様な原型のプロットに小さなエピソードも間に差し込んで、話を膨らませて書くことが多かった。だが、この十年はもう少し複雑なプロットを立てるようになった。なので書くのにも時間がかかってしまう。でもやっと人様に追いついたかな? というレベルになった。ようやく五十過ぎてからのこれなので、苦笑しか無い。


 総括すると、マリン嬢の物語や神明社シリーズのおかげもあるのだが、SFオンリーという作風では無くなった。これは完全にというレベルでとなるとここ四、五年のことだ。自分で言うのも何だが、僕なりに間口を広げたジャンルに変化している気がする。あくまで自分のレベルの話だ。これが良いことか悪いことかも一概に判断できないけど。

 馬鹿真面目な作風からおふざけも少々アリというのも変化のひとつである。これは暦人シリーズからの変化、そしてマリン嬢では完全におちゃらけモードが多い。対して神明社シリーズの方には以前の僕の馬鹿真面目な愚直さが残っている感じだ。


 今回は拙い自分の創作と作品における傾向を自己分析してみた。勿論、レベルの低い僕の作品でのはなしだ。もっと高尚で、プレビュー数のある諸賢、諸君には到底及ばないことも重々承知の上である。そんな底辺作品として理解した上で、それでも拙作を楽しんでくれている読者の方々には感謝あるのみ。深いお辞儀と「ありがとう」ということばで形にさせて頂きたい。


 次回はおちゃらけモードで久々に手料理の話を用意している。ではまた。

 

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