第76話 プレゼント
九州場所が始まって楽しい気分である。両国で無いのがちと寂しい。両国なら時間を見つけて行ってしまいそうだ。
タイトルの話。昔、大学生の頃、ジッタリンジンというバンドのヒット曲はこんなタイトルだった。もう知っている人も、少ないだろうな(笑)。本日は、それとは全く関係ない、僕の自分へのプレゼントの話である。
今年が離婚十年目の記念(?)の歳だった。結婚と違って、特に離婚の場合は離婚記念日というのは無い。でも十年前の秋に正式に離婚したので、今年はその記念としてCDを自分に贈った。これを中島みゆきさん風に言えば「ひとり上手」という。本当か?
冗談はさておき、僕が今回離婚十周年記念に、自分に贈ったのは薬師丸さんのCD。十年前のごちゃごちゃで買いそびれた、あの頃発売のアルバム、『時の扉』初回生産限定盤を見つけ出して購入。このアルバムは文部省唱歌や童謡、文学、詩歌に通ずる歌がたくさん入った大人向けの優しいコンテンツである。
十年前の発売時には、それどころじゃ無くて、買いそびれとなった。表向きは穏やかな離婚劇だった。特に両者大問題があった訳でない、人間関係の諸事情、一般的な性格の不一致だ。犬も食わない。
さて話をCDに戻そう。でも探せばあるモノだ。てんてこ舞いのあの頃だったけど、ようやく失った2013年を自分の中で消化できた。この音楽入手によって失ったあの時間と時代を返してもらえた気分なのだ。音楽とはそう言うモノだ。そして素直に良いモノは良いとなるのである。このアルバム、借りてきて録音はしていたのだけれど、現物を自分の手元に置いておきたい一枚なのだ。
ちなみにその別れた僕の元配偶者さんは薬師丸さんの歌は好みでは無いようだった。まあ、嗜好性のあるモノというのは人それぞれである。それは仕方ないし個人の自由だ。今は堂々と部屋で聴けるのは嬉しい。
「冬の星座」や「椰子の実」、「浜辺の歌」、「秋の子」など、郷愁を誘うものから、大滝詠一さんが生前最後に携わったというカバー曲の秀逸作「夢で逢えたら」は感動モノ。
既に入手済みのオールタイム・ベスト盤『IndianSummer』にも「夢で逢えたら」は入っているけど、何度聴いても良いモノは良い。そんな感じだ。あとは薬師丸さん関係だとライブ盤の春日大社コンサートが手に入ればいいなあ、と思っている。
「風に乗って」や「プリマベーラ」などの高尚で幻想的な曲も未だに心に響く。やはり同様に良いモノは良いのである。薬師丸さん自身も離婚後に人生の良い伴侶を見つけたと聞くが、離婚を乗り越えた先達。そう言う意味でもこのCDは、僕にとって縁起物かな? まあ、僕についてはお相手とかは、特にいまは考えていない。でも人生のディレクション、良い方向に風が吹いて欲しいなと思うだけだ。
こんな話をしているが、離婚して十年、色々なことがあってようやく落ち着いたなあ、というのが実感である。結果、「落ち着いたとき=現在」なのだが、既にもう僕は「良いお歳ごろ」になってしまった。人生の円熟期を全部失ったような気分である。色々な事が人生に彩りもモノクロの景色も添えてくれた。そして僕自身は前に向かって歩けているのだろうか? 自分では退廃した、後ずさりにしか見えない自信を失った今日だが、人様から見れば、いかがなものかは分からない。
人間関係では、「苦労した分だけ幸せになりなされ」と言ってくれる人とだけ付き合うことにしている(笑)。苦難やシリアスなのは少し、いや生涯エスケープすることに十年前に決めたからだ。仙人の誓い? ってか。わざわざ落ち込むものごとに首を突っ込んだり、自らの身を置く必要は無いしね。
そして僕がようやく少しだけ動き出せたのが、離婚のあと、それから三年後、すなわち七年前に、とあるピアニストさんと知り合って、彼女のコンサートで聴いた「月光」、「ノクターン」、「幻想即興曲」がキッカケだった。勿論ベートーベンとショパンだ。ショパンは昔から良く聴いていたが、ベートーベンはあまり聴かなかったのであの「月光」を聴いた夜の帰り道、勇気づけられた夜。とっても月が綺麗だったのを覚えている。
音楽とはそういう力がある。その演奏者さんについては単なる知人である。でも色々な人との出会いに勇気をもらったことで感謝している僕だ。
だからもちろん、このカクヨムの皆さんや小説好きの皆さんとの出会いも僕を前向きにしてくれたと思っているのだ。さらに感謝だ!
そんなわけで今年の離婚十周年記念品、いやモトイ! クリスマスのプレゼント。自分にプレゼントである。良いクリスマスを! と自分に言っている僕(笑)。こじつけである。だってクリスチャンでは無いし(でも幼稚園は新教の教会だったので、毎週土曜はお礼拝だったし、クリスマス劇で東方の三博士役をやったなあ)。
ちなみに小学校では、中学年の時は桃太郎、高学年の劇は
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