第49話 内行花文鏡と鏑矢

 ようやく書き終わった。『時神と暦人』の「飯倉山の隧道はもみじ、山桜、梨の木を結ぶ-桜が秘めた物語-」の(上)と(下)である。一応アップの後デバッグ、誤植拾いを終えて、まあ読んで頂ける程度になっているかな? でもあと数日は推敲がいるかな? もう二〇時半を過ぎてようやくである。


 その後いつものメンバーの作品を読みに行こうと思い、四、五名ほどお邪魔してタイムアップになった。今書いているこの文章をあげたら、もう明日の用意である。なんだかなあ。

 書き物の合間をぬって、ベッドパッドの洗濯、部屋着はんてんの手洗いをした。今年はまだ寒い日がありそうな気がするのは僕だけだろうか?


 僕の作品でもう二〇年以上書いているのがこの『時神と暦人』。いい加減にしろ! とはまだ言われていないのでしばらくは書き続けるつもりである(頼まれもしないのに・笑)。今回はガジェット(ミステリーで言うトリック・アイテムみたいな感じかな?)に鏑矢と内行花文鏡を使っている。


 鏑矢は現在でも道具として、流鏑馬神事や歩射神事などで使われることも多いので見る機会はあると思う。弓矢の中でも霊力、魔除けの力を備えたモノを破魔弓、破魔矢という。お正月などに飾り物としてオブジェ用神具を売っているが、それとは別に、実は実際に魔除けのアイテムとして射られるモノもある。


 内行花文鏡は、出土する銅鏡の中でも割とメジャーなもので、多くの派生デザインがあることでも知られる。伊勢神宮のご神体は八咫鏡の銅鏡と言われていて、このデザインに近いとも言われている。日輪が中央部の蔕を囲むようにデザインされているので知る人も多い。また一般に有名な銅鏡としては三角縁神獣鏡もあったが、太陽というお伊勢さんと繋げたかったのでモチーフ重視でこっちを選んだ。

 内行花文鏡(八咫鏡)の写真はこちらでどうぞ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E5%92%AB%E9%8F%A1)。ちなみに『古事記』では八尺鏡と書くこともあるようだ。


 今回の改稿で櫻子は内気な礼儀の正しい子から、今時ギャルに大変身。まあ僕の作品では『「メビウスの帯」がつくるミラクル』に出てくる主人公の女の子に近い性格に変えている。理由はフランクにしたかったから。扱うモノが歴史用具や用語が多い回だったので、中和剤にした(笑)。

 そして改稿最大の理由である画像に頼らず文章で説明をすることで、香澄流れの海という地形の説明をしている。この湖はかなり大きくて陸路は難しく、海上交通路のみが存在した古代の関東東部を魔法の通路で行き来するというSF設定を使って話を練り上げている。


 実際にこの香澄流れの海がどれぐらい大きな汽水湖だったのかという推測論としてよく使われるのが、鹿島神宮と香取神宮が邪気払いのために河口の両岸に位置していたなんて言う人もいるから、結構大きな湖だったと推測される。現存するその湖の一部である霞ヶ浦でさえ日本で二番目に大きな湖なのだから、そのままあれば日本一大きな湖だったのかも知れない。


 とりあえず今週の書き物は無事、日曜の晩に終了とあいなった。来週は他所様の作品を読みに行く方にウエイトをおくつもりである。ではまた。

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