第47話 フライの話
郷里のイモ串フライの話ではない。海老フライでも牡蠣フライでもない。毛針の話だ。その昔、郷里で、僕は渡良瀬川の支流にあたる河川で渓流釣りをしたことがある。それ程魚影の濃い河川ではないけど、まあマスの類いぐらいは釣れた。その後神奈川に移ってからは、宮ヶ瀬ダムの出来る前に清川村までよく出かけて釣りをした。また厚木付近の相模川で毛針を使ってウグイなどを釣っていた。
最近はあまり釣りに行かなくなったのだが、河川渓流、清流専門の釣りだ。先日、ネットの特売欄を見つけてちょっと悩んでいることがある。フライリールと2.4mの専用竿、フライ用ライン、リード、フライタックルがセットで六千円とあった。ちょっと今も悩んでいる。
同じ時、楽器のYouTube番組で、一万円以下のバイオリンは使えるのか? 音が出るのか? とか、一万円の電子キーボードはどの程度使えるのか? などの企画検証をしている方々の番組を面白く拝聴、拝見していた。音大の院生や既卒者たちが真面目に試奏、試弾したレポートを面白がって視ている。
それと同様に僕の疑念は、この格安なフライ釣りセットで釣れるの? という話だ。僕はテンカラという釣法をよく行った。餌づりもしなくはない。でもテンカラが面白い。そのヨーロッパ版がフライフィッシングである。原理は同じなのでやれそうな気がする。物凄くおおざっぱに言えば、リールがあるかないかの違いだ(細かい部分は除くけど)。
宮ヶ瀬あたりは結構通ったので覚えているから今も通えなくはない。なんなら安い常設釣り場でもいい。ローコストで楽しむのが僕流だ。安く気分転換がモットーである。数少ない僕の気分転換法だ。図書館、草木の自然散策などしか最近はない僕の余暇。
それにもともと本気でやる気はつゆもない。夏場にビーサンでくるぶし程度水につかってせせらぎで釣る程度。だから釣果ゼロでも良いのだ。座興だから。おむすびを渓流で食べて帰ってくるハイキングに釣りが付いている程度の比重である。
まあ、僕の身分は何万円も余暇にかけられるほどお大尽ではないということだ。ガジェットやツールにさえ、それ程費用をかけたくない人だ。だからいままでも安上がりなテンカラ釣り。渓流竿と仕掛けさえあれば出来る。
実際の釣りは、現地実費、入漁券と交通費、雑費で、四、五千円もあれば過ごせる。おまけに釣った魚はそのままワイン蒸し、ホイル焼きや塩焼きでおかずや酒の肴になる。庶民の知恵である(庶民と言うより僕に限っては貧乏人かもね・笑)。
そのフライセットを本当に買うかどうかはまた先の話なのだが、下準備としてフライ釣法の動画などで見る限り、テンカラ釣りのポイント見分けや習性の知識は使えそうだ。あとはドライ・フライのキャスト。投げ方をループと言うらしいがそれをマスターするだけのようだ。これ案外難しいかも? テンカラで使う通常のテグス、目印やかみつぶしのおもりなどは使わない。ラインの重さだけで仕掛けを飛ばすという独特の方法。
度胸を決めて「ポチ」ってみるか? もう少し様子を見るか、僕の脳内葛藤は続く(笑)。大昔のお公家さんのように、今場所の横綱、大関の勝敗で占ってみるか? 千秋楽も近いし。まるで
ではまた。
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