第29話 神社と神話とエトセトラ

 今回は神社さんと神話の話。僕の小説、拙作に神話は欠かすことの出来ない原点の一つである。


 僕の曾祖母そうそぼの実家は維新後までは神主だったようで、明治の初め頃まで占いをやっていたようだ。昔はそういう神職がいたということを各方面で大人になってからいくつかの神社さんでお聞きした。近代化のルールの中で消えていった神主の役職らしい。その名残で命名や九星暦、おみくじなどを扱っていると書く本もある。なので南瀬家みなみせけ(あ、これペンネームですけど、僕の家系って意味で使ってます)、僕の直系の身内は、そういうのが好きな人も多い。今現在、僕自身は特に神社さんとは職業上、何の関係もない。単なる神社好きのいち参拝客であり、いち崇敬者である。


 話を戻すと、かんながらの道というのは興味深い。僕は神棚にほぼ毎日お参りをするのだが、「かけまくもかしこき……」で始まる祝詞のりとの多いこと。神さまを敬う常套句じょうとうくのような感じと僕は認識している。


 もっとも僕の場合は熱心な信仰というよりも、愛着と習慣に近い。好きな神社の好きな神さまとともに日々を送って、無事安泰にいられることを願うことが多い。いわゆる伊勢まいりの「おかげさま」というイメージだ。あまり込み入った願いや思いはない。そんな思いを頼まれても神さまが困ってしまうだろう。

 だから幼少期から祖父母と拝んできた習慣で留めている。まあ、信仰としては標準的な日本人で、少しその度合が強いかな? というレベルだ。おおよそ、その対象は伊勢・神明系の神々だ。


 神明系ではないが、それに近い存在としてのご祭神でお稲荷さんと庚申さまがある。特に庚申さまは内宮のほど近くにおわす神さまだ。

 習合時代は稲荷や庚申などは神仏両方の神さまを意味していたが、現在の区分けに習い、僕は稲荷と庚申の神さまは、宇迦之御魂神うかのみたまのかみ猿田彦命さるたひこのみことを想像する。

 特に庚申信仰の解釈としては、道祖神どうそじんともつながるので、猿田彦命の妻である天鈿女命あめのうずめのみことと重ねた夫婦和合の神としてお慕いしている。道祖神の石像もそういうお雛様のようなモチーフが多い。

 なので、仏教的な庚申や稲荷の姿は全く意識していない。僕にとって、庚申の神は、尊い夫婦和合神と道の神、道開きの神である。そう考えて、より身近に猿田彦珈琲も美味しくいただいている(関係あるのかな、あれって? 笑)。

 そして寺院で拝みに行くのは、主に弘法さまと大日さまである。菩提宗旨ゆえだ。稀に深川のお不動さまや浅草の観音さまも行く。心が落ち着くので結構好きである。


 記紀神話上、天孫降臨てんそんこうりんの際にはアマテラスさまの遣人つかいびとであるニニギノミコトさまの道案内役をした国津神くにつかみとしても知られる。ここから世俗信仰、民間信仰の道の神さま、道祖神になったという話も聞く。即ちこの夫婦、ニニギさまの良縁で夫婦になったようなものだ。そして伊勢の夫婦岩で有名な二見興玉神社ふたみおきたまじんじゃや方位の神である猿田彦神社にもご祭神として繋がっている。ちなみにニニギさまにお会いしたければ、箱根神社にお行きなさい。ご祭神である。


 そんな訳で僕は神道と神話、そしていにしえよりの習慣や我が家の流れからの土台として、結構、文学としての「神話」というのが好きである。とりわけ伊勢系と大神おおみわ系の流れは興味深い。もともと伊勢や奈良を、余暇をつかって闊歩かっぽしていた経緯からかも知れない。出雲はまだ訪れたことがないので、もし行くことになれば間違いなくハマるんだろうな……、などと考えながら今宵も「日本神話」に親しむ僕がいる。


 今回は神社さんと神話の話でした。それに合わせて、前回に続き、ちょっと面白いというか興味をひく、神社や神話などに関連するカクヨムさんの小説二作品、僕のおすすめをご紹介して、今回は幕引きにしたいと思う。興味があれば、ぜひ読んでみて欲しい。素敵な物語だ。ではまた。


糀野アオさん 『女神は月夜に降臨する』

https://kakuyomu.jp/works/16817330650230093396


山田トリさん 『僕と座敷わらし 時々こまいぬ』

https://kakuyomu.jp/works/16817139558922589885


※お二人にはいつもカクヨムの作品訪問なんかで、お世話になっております。ゆえに、せめてもの感謝の気持ちとして、僕の目から見ても楽しい各人の小説をご紹介させていただきました。

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