第20話 日本神話のつぶやき(後編)

『古事記』や『日本書紀』、つまり「記紀神話ききしんわ」のなかでも上代、古代の伝説が多い部分を指して、「日本神話」のお話としている事が多い。おとぎ話風の日本の起源を描いた部分だ。

 前回も挙げたが「天の岩戸」、「八俣の大蛇」、「天孫降臨てんそんこうりん」などだ。他にも有名なエピソードとしては「因幡の白兎」、「海幸彦と山幸彦」、「国譲り」、「天地開闢てんちかいびゃく」、「三輪山みわやまのイクタマヨリビメノミコト」なんてのがある。まだまだ他にもたくさんあるが、これらの集合体が、前回ご紹介した講談社学術文庫の『古事記』の最初の巻と中巻にあるものだ。どれも「日本神話」としてだけでなく、昔話や民話としても取り上げられることが多いので、そっちで知っている人もいるだろう。知らず知らずに『古事記』の物語の一部を読んでいたということだ。


 神話というのは神さまの役割がある。何かしらの役目が擬人化したものが物語をなすのは、洋の東西変わらない。その神々の中で一番強い、あるいは尊いものが神々の長をなす。ギリシャ・ローマ神話ならゼウスあるいはジュピターである。面白いのは天体になぞらえるとジュピターは木星。惑星の中では一番大きな星だ。すなわちローマ人は知性を重んじたため、知力の化身であり天空神である木星のジュピターを最高神としたのである。学問や哲学の発達したギリシャやローマらしい発想である。

 一方、我が国の神々の長は言わずと知れた天照大神である。太陽の神である。農業国家であった日本は、太陽の恵みこそ生活の基礎を支える最高神としたのである。そして満ち欠けによって、種まきや水の分量を変える時期を教えてくれる暦の神様として、月(時間)を数える作業でツクヨミの神として、月読命つきよみのみことを弟神としたのである(女性神とする説もあります)。農業の恵みが太陽の神、農業のノウハウが月の神というわけだ。

 ちなみにローマの太陽神はアポロ、月の女神がディアナである。欧州の女性の名前にダイアナという名前が多いが、その語源の一つとも言われる。月の女神は美しいのでそれにあやかって親がつけるのだろう。


 ここまでで神の役割がぼんやりと見えてきたと思うので、では役割と祭神に行こう。このエッセイでも、僕は常に神明社が好きと言っているのはご存知と思うが、それは各地にある伊勢の神さまことであり、天照大神とそのグループに属する神々を祀る神社である。

 例えば神明宮や伊勢宮などの名前があるものはアマテラスさまを主祭神としており、相殿、摂社や末社には豊受大神、月読命、猿田彦命、アメノコヤネ、天手力男命、天御桙命、天八千々姫命などが一緒に祀られることも多い。なぜこれらの神々が神明社に多く祀られるのかは、『古事記』を読む、あるいは古代からの役割を当てはめると理解できるのである。

 そして同じくこれらの神々は農業と生活、祭祀にかかわる神々でもある。アマテラスさまが農業神であるからそこから派生した生業や物資を司る神々というわけだ。とりわけ稲穂はもっとも重要な作物であり、祭典の供物である。


 そうすると大国主命や素戔嗚命を中心とする出雲系の神々は、鉱山や武器、そして先に述べた縁結びや運命などを司ることが多い。このあたりは多くの本にも載っているので、調べてみる価値はあるかもしれない。機会があればまたご紹介しても良いが、僕より遥かに詳しい人様が書いた本がたくさんあるのに、素人の僕が出しゃばる必要もなかろうと思うので図書館や本屋さんに行って答えを見つけてほしい(笑)。


 僕は神明社を訪れて、御神酒を頂いて、帰りに一杯ひっかけて、ついでにどっかの飲み屋に軽くひっかかってという以前のような、そんな呑気な散歩を明日の活力とする生活に戻れることを願う。それまでは家飲み、読書、You Tube動画で時間を紛らわすのである。


 ぼっちな時間に彩りを下さるカクヨム仲間のみなさんにも大感謝の本年でした。

       SPECIALな THANKS!って気持ちをお伝えしたい。



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本年は僕のお粗末なエッセイ、小説にお付き合いくださって誠にありがとうございました。皆様においては来年に向けて、どうぞ良いお年をお迎えください。感謝!

  

 


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