第3話 衝撃


複数の小学校から集まり1つの中学校になる。

入学式は知っている顔から全く初めての顔もあり希望と不安が交ざりあい、えもいわれぬ感情で溢れていた。

あいうえお順で席決めされた椅子に腰かける。

矢島は後ろから数えた方が早い。後ろを見ると満面の笑みを浮かべ手を振ってくる母。

矢島は照れ臭く小さく手を振り返し前に向き直る。

前方に一際目立つ赤毛が見える。

(うげっ? 何あれ、ヤンキー? 嫌だな)


訳のわからない中年達の祝辞を聞かせれた後1年2組に、のこのこ移動する。

このクラスに矢島と同校の生徒はいなかった。

自分の前を歩く二人連れがいた。

「石本と一緒のクラスになったな」

「あいつさ~林とつるむようになってから、めんどくさくなったよな」

「だよな~ちょっと前は憂さ晴らしにあいつ殴ってりゃスッキリしたのにな」

「全くだよ」

(わっ! 何か変なこと話してるよ。嫌だな、絶対、友達にはなりたくないタイプ。別のクラスにならないかな~)矢島はその二人を追い越して1年2組の教室を探し入って行った。

(あっ、赤毛! そう言えば一緒のクラスだったな)


担任が来るまで10分ほどあったであろうか、先ほどの二人連れが赤毛に何かいちゃもんじみたことを告げている。

「馬鹿じゃない」赤毛は呆れながら二人連れの顔を見ながら鼻で笑った。

「ムカつくんだよ~お前のその顔 」一人が思い切り殴り付け赤毛は椅子ごと倒れた。他の生徒は見て見ぬふりをした。

矢島は見過ごすことができない「大丈夫? 」と声をかけながら赤毛を起こした。

その時、初めて赤毛の顔をしっかり見た。

雷に打たれたように頭が痺れた。

それくらい赤毛は美しい顔をしていた。矢島の普段から大きな目がより一層大きくなり鯉が酸欠しているみたいに口がパクパクと動いた。

「お前には関係ないだろ。こいつがムカつくんだよ」その言葉に我に反った。

「よく分からないけど、いきなり殴ることはないだろ! 」

「テメェもムカつく奴だな! 」言いながら矢島にも殴りかかろうとしたが逆に矢島がそいつを殴った。

大喧嘩になりそうになった時、担任が現れた。

「テメェ、覚えてろよ」

捨て台詞を残しそいつは席に着く。

その後は担任から軽い挨拶と説明で解散になった。


そんな出会いだったが矢島は恵に強く感心を持った。











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