第3話 接待プレイと災い
方針は決まった。
極力プレイヤーを傷つけぬよう接待しつつ力を見せる、これしかない。
とんでもなく難しいがどうせ死ぬならやるしかない、ヤケクソだ。
「…見たことのないカードだね」
「…そちらに手番を返します」
<真紅の魔導雷>を見たことがない?シーズン8に出て今まで最低でもピン刺しされてるカードを?
俺なんて1000回以上食らってるぞこのカード。
「こちらのターン、<光響騎士サクソス>を召喚し、ロニーでアタック」
光響騎士サクソス 3/2000/4000
盾持ち(相手は、盾持ちを持つユニットを攻撃しなければならない)
ロニーが今度は左腕を狙って来た、超いてぇ!
だがさっきよりはアタックが下がっているぶんマシだし構えていれば耐えられないほどではない。
問題はここからだ、カードラプトはライフが高めに設定される兼ね合いで4マナからユニットのパワーが跳ね上がる。
具体的に言うと3マナの最高アタックラインが4000だが4マナからは一気に7000に跳ね上がり5マナともなれば9000まで上がる
ロニーのダメージを受けた限りでは数値に比例して痛みは増える、あれの5倍7倍のパワーで殴られたらとてもカードゲームどころではない。
つまり、この先相手に攻撃されないように相手の場を破壊し尽くすか、もしくは殺されない盾持ちユニットを立てる必要がある。
俺の腹は決まった。
「3マナ支払い<天災の魔導師ディアドラ>を召喚 召喚時効果を発動する」
天災の魔導師ディアドラ 3/2000/4000
このカードが召喚された時 以下の3つの効果を順番に発動する
1,カードを2枚ドローし、その2枚を相手に見せる
2.選んだカードのどちらか1枚をセメタリーに送る
3.デッキのユニットがすべて[魔導師]の場合、マナが1増加する
このカードがセメタリーに送られた時、2の効果でセメタリーに送られたカードを手札に戻す。セメタリーにそのカードが無い場合、<天災の魔導師ディアドラ>以外の
<魔導師>ユニットカードをセメタリーから手札に戻すことができる
これこそがシーズン7に登場してから10年以上、[魔導師]が環境に居座る要因の1つとなっているトンデモカード<天災の魔導師ディアドラ>である。
もともとはアニメでライバルヒロインが使っていたテーマだったが魔導師が全員女の子な上当時としては明らかにオーバースペックのカードであり一時期は環境が<魔導師>に染まり、大会使用率が7割を超えた事もあった。
「…何だいそれは…一体」
「そちらの手番です」
美形の兄ちゃんの顔からは完全に余裕が消えている、気持ちは分かるが驚きすぎだと思う、あと3枚あるねんぞこのカード。
…いや、まさか本当に見たことがないのか?<真紅の魔導雷>すら見たことがないようだったしあり得る話ではある。
だがシーズン7というのは今から10年以上前だ、ディアドラ自体も人気にあやかって色々なバージョンが出すぎてノーマル版はそこらへんで1枚10円で売ってる。
それを見たことがないというのも不自然が過ぎる、一体どういう事なんだ…?
「もう1枚の<光響騎士サクソス>を召喚し…ロニーでディアドラをアタック」
ユニットを削りに来たか、これでディアドラのタフネスは3000。
次のターンでサクソス+αで処理する腹積もりだろう。
ところがどっこい、そうはいかない。
俺は腹を括ったのだ、相手の場を常に更地にして力を見せると。
「<天災の魔導師ディアドラ>を<大厄災の魔導師ディアドラ>に進化させます 効果により3コスト軽減され3マナで進化します」
「「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」」」
間抜けな声が響く、声の主は美形の兄ちゃんだけでなく兄ちゃんを守っている兵士と
俺の後ろで構えている兵士も含め全員だ。
大厄災の魔導師ディアドラ 6/8000/10000
(進化)[魔導師]カードの上に重ねて場に出すことができる
[魔導師ディアドラ]をカード名に含むカードの上に重ねた場合使用マナを3軽減する。
1ターンに一度、相手フィールド上のタフネス5000以下のユニット1枚を対象に発動できる
そのユニットをデッキの一番下へ送る
[魔導師]が10年以上環境に居座ってる要因その2 最速3ターン目に着地するこのカードにより数々のデッキを虐殺し環境が魔導師に制圧される要因となった
なにせ通常マナで出しても相当強い部類のカードなのだ、それが元から強いディアドラの上に重ねれば3マナ軽減など明らかにオーバースペックで
出た当時は天災とセットで「10年先のカード」と評されたほどだ、実際は10年経過しても強かったのだが。
場に召喚された瞬間、周りの空気が明らかに変わった
俺の目の前に召喚された<大厄災の魔導師ディアドラ>は青色の髪をしたほんわかした雰囲気を持つ巨乳の女性だ、だが持っている杖の先に無数の骸骨がついており
耳を澄ますと骸骨がタスケテ…タスケテ…と囁いているのが聞こえる。
しかしディアドラは対象的に常に笑顔だ。こちらに振り向いて笑顔で手を振ってくれる愛嬌もある、そのギャップが恐ろしい。
眼の前の全員の顔が強張っている。
後ろから刺されないかなこれ…。
「1枚目の<光響騎士サクソス>をデッキの一番下に戻し、2体目の<光響騎士サクソス>をアタックし破壊します」
そう宣言した刹那、ディアドラは2体目の<光響騎士サクソス>に瞬時に飛びついて骸骨の付いた杖で片手で殴りかかりそのまま破壊、空いてる左手を掲げて1体目の<光響騎士サクソス>をデッキの一番下に送った。
サクソスを殴った場所の地面がエグい割れ方をしている。
アタック8000であれかよ…
「残った3マナで<魔導士の彫像>を出して終了です」
<魔導士の彫像> 3/ 2/0/4000の彫像トークンを2体呼び出す
「……4マナでロイヤルペガサスの角笛を使用する」
ロイヤルペガサスの角笛 4/ プレイヤーかユニットに一度だけあらゆる攻撃を無効化するシールドを貼る
その後 2/2000/2000のロイヤルペガサスを召喚する。
「4マナを使用し、<探究魔導師ゾフネ>を召喚し、<魔導士の彫像>に対して効果を発動します 」
<探究魔導師ゾフネ> 4/4000/3000
1ターンに1度、[魔導師]と名の付くユニット1体に対して発動できる。
対象のカードのコストを4にする。
「<探究魔導師ゾフネ>と4コストの<魔導士の彫像>を使用しダブル召喚を発動、<カトブレパス224>を召喚」
「なぁ!?」
そう唱えると、美形の兄ちゃんは今日一番の大声を張り上げた
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
元ネタはアレです、はい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます