第4話 僕の命

「ちょっとお静かに!僕の命、僕の命がかかってるんですよ。

頑張らないでどうするんですか?

アルストロメリア、外にいる他のドールと連絡が取れたりしないかな?

なんでもいい、どこかの監視カメラの映像は残っていないかな?」

「了解、情報収集をいたします。マスター」

「私こいつ嫌いだわ」

「黙って!」


僕の発言で静まり返った室内に排気口の音とタップ音だけが反響する時間が続く

唐突にチーンとベルを鳴らしてエレベーターが到着して、皆の息が詰まった。


「いや、僕だから」

「お前先に言え、心臓が口から飛び出しちゃうかと思っただろ!」

「うわあ、女の人がそんなこと言わない。その手も放して」

「面倒ごとは勘弁してくれ」


赤珊瑚亭の店主の溜息と共に給仕の女に掴まれていた僕の髪の毛から手が離れる。


「ちょっと!ベタベタじゃないのよ汚いわね。掴むんじゃなかった」

「汚いのは知っているので、でも傷ついたかな僕のハート」

「キモいわね、あんた」


給仕の女性が落ちそうな目で僕を見る中、

またタップオンだけが響く静寂な僕の時間が戻ってきた。

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