episode No.7 薄影と狂い人

「君に聞きたいことがあるんだが、いいかな?」


(あっ!この人関わっちゃいけない人だ!)


「え、まぁはい。」


「そうか、ありがとう。じゃあさっきの試合、どうして勝てた?」


「勝てた.....?まぁ.......さっきの試合は相手が舐めプしてくれたのも大きいですけど、やっぱ相手の能力を土壇場で把握できたからじゃないっすかね.....」


「へぇ〜なんで?」


(この人謎の圧力掛けてくるのなんなんだろう......)

「えっと.....相手が能力使ってる時に自分を叩きつけるような風しかなかったんで、あれ?と思って。もしかしたらコイツの能力気温次第で吹く向き固定なんじゃね?って思って。風の性質的に気温が上がれば少しマシになると思ったんで。」


「へぇ、なるほどな。うーん。ありがとう。じゃあそろそろ試合始まるから、じゃあ。」


「あっ、はい。」

(.........マジでなんだったんだろう......?まぁ今のは忘れよう......ああいう奴とは関わらないのが吉だ........)


「スタート!!!!」


「おっ、始まった。密幽は大丈夫かな〜」


 試合の開始と同時に密幽の姿が薄くなった。密幽の能力的に相手は見えていないはず。そのせいか、どうやら対戦相手は困惑しているようだ。


(そりゃあ困惑するわな.....)


 対戦相手はヤケクソになったのか、なんかいっぱい炎を出している。広範囲の炎には流石に相性が悪い.....どうする?


「くぇあ......」


 そう聞こえた気がした。瞬きした瞬間、ヤケクソになった相手が目をかっぴらき、口を大きく開け、前のめりにぶっ倒れた。完全な不意打ちだった。


(えぐいなぁ......やってること悪役と変わらんだろ......でも......)


「かっこいいなぁ.......」


 ついぼやいてしまった。高校生という1番頭がパッパラパーな年頃、しかも異能力がある世界で無能力者なら尚更続いてしまうだろう、厨二病。さらに厨二病なら誰しも憧れる暗殺系の能力!これがカッコいいと思ったことがない人は多分正直真面目に生きてきた素晴らしい人間だと思う。


ビッビッビー


 そんなことを考えていたら、試合が終わった。妄想と愚痴は時間を浪費させる。まぁ言わなきゃやったらんないけど。


「はぁ.......そういえば次の俺の試合って相手誰だろう。どうせわからんけど。」ポチポチ


 そう思い次の対戦相手について調べると、


「え?これ本当に男か?」


 俺は自分の目を疑わず、運営のミスを疑った。なぜなら次の対戦相手が、ぱっと見紫と黒が混ざった髪のめちゃんこ可愛い美少女だからだ。


(こういう顔が良い奴ほどロクな奴じゃないからな!気を付けよう!)


「戻ったよ〜」


(コイツも顔が良い......コイツもロクな奴じゃないのか?」


「えっ......急にどうしたの............」


「何でも無くは無いけど知らぬが仏だな。」


「悪口かい?」


「他の人の悪口の風評被害。」


「感情が行方不明!」


「ヤバい人の風評被害を受けるまともな人。」


「あまりにも謎。」


「まぁ、それはそうと、お疲れ〜。」


「どうも〜」


「そういえば、」


「うん?」


「さっきラリってそうな水色の髪の人が話しかけてきたんだけど、知ってるか?」


「知らない......と思う..........」


「そうか......ありがとう。とりあえず次の対戦まで雑談しとくか?」


「そうだね〜」





次回に続く













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