4話 -結城日向- 俺の人生観

小学生の頃、当時好きだった女の子が教室でゴキブリ見つけて悲鳴をあげていた時、素手で掴んで外へ逃がした事がある。


小学生の頃、みんなでゲーセンに行ったのに、1人でチュウニ○ムに没頭していたことがある。


小学生の頃、運動会でどうしても勝ちたくて、障害物競走の練習を1人で四六時中していたことがある。


小学生の頃、正義のヒーローに憧れて虐められていた子を助けたことがある。


俺は、いつでも全力だった。いつでも本気だった。でも、全部失敗した。


ゴキブリを外へ逃がして、好きな子に君を守れるぜアピールしたつもりが、逆に嫌われた。

「きもい、触んないで」って言われた。


ゲーセンの件については、チュウニ○ムは死ぬほど上達した。だけど、いつも一緒にいた友達はみんな仲良くなくなった。残ったのはチュウニ○ムの技術だけだった。


障害物競走の練習は、俺一人が頑張ったとて結果は変わらなかった。2分の1の確率で俺ら白組は負けた。

運さえなかった。


正義のヒーローぶった時だってそうだ。

俺如きに、世の条理を変えることなんてできなかった。

守ろうとした虐められていた子は転校をして、標的が俺に変わった。


━━━━━全力でやっても、結果が変わらないなら。余計最悪な未来になるなら。



全てを適当にこなした方が、うまく人生を過ごせるのではないか。

俺は、全力で生きることをやめた。


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