3話 -宮原琉衣- もしもの未来で神様を殴り飛ばす
「琉衣って男のこと好きすぎじゃない?」
「男なら、誰でもいいんでしょ。」
「私、そういう女本当に無理〜笑」
女子トイレ。
それは、女子しかいない空間。
男子の目を憚らず、女子だけの秘密を語れる場所。
私は個室に入って、その話を聞いていた。
━━━━━またか。また失敗しちゃったか。
私は、自分でいうのもあれだが、モテる。
それを自覚した上で、沢山の男子と話す。
男子と話すのは、別に告白されたいからじゃない。むしろ、私は告白をされるとその人の事が嫌になってしまう。
私は、男が嫌いという訳じゃないが、恋愛というものが苦手だ。
顔だけで近づいてくる奴。
いけそうな女だから告白する奴。
そういう奴に沢山出会ってきた。
私が男子と話すのは、ただ単純に楽しいからだ。女子よりも冗談が通じる。女は建前が八割だ。男はそんなことがない。
ただ、男友達が欲しい。それだけだ。
好きな人がいたら、何かが変わるのかな。
他の女の子と話していたら嫉妬とかしちゃうんだろうか。
私は好きな人が出来たことがない。
だから、周りの女子の好きな人と普通に話してしまった時もどうして咎められるのかよく分からない。
最愛の人が出来た時、私はこの行動の何がいけなかったのか気づくことは出来るのだろうか。
個室から何事もなかったかのように出ていくと、そいつらは青ざめた顔で言ってきた。
「別に、そういうつもりはなくて、、」
そういうつもりってどういうつもり?
別に気にしてないけど。
「別に薄々わかってたし大丈夫だよ。私もあんたらのこと好きじゃないからさ。」
今の私は、とてもかっこよかった。と思う。
凄く綺麗に笑っていた。
最後にあいつらの苦々しい顔が見れてよかった。
トイレから出た時、私は自分の心を綺麗に取り繕うことは出来なかった。笑えなかった。
また失敗した。また友達がいなくなった。自業自得なのはわかってる。それでも辛かった。
「あれ、琉衣?わっ!!どうしたのっ!」
私の中一からの友達、晴だった。
私には、この子さえいればいい。
この子さえ、友達でいてくれればそれでいい。
「晴、、大好きだよ。」
「何急に〜、照れちゃうよ〜、ってそんなことより!!なんで泣いてるのっ!!!」
晴は凄く優しい。
この子に好きな人が出来たら、私はその男の子に話しかけないだろう。
一般的にはそれは嫌な事だから。
晴はそれが嫌って言えない子だから。
もし、晴と好きな子が被ったら、私は晴の方を応援するだろう。
晴もまだ、好きな人が出来たことがないらしい。
もし、晴の初恋と私の初恋が被ったとしたら。
そんな偶然を作る神様がいたら、殴り飛ばしてやりたい。
晴と私が幸せになれる世界線じゃなきゃ許さない。
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