俺はやばい子達を迎え入れたのかもしれない

(これは一体、どういうことだ?)


凄惨な傭教施設を見て俺はそう思った。


まず最初に、寮だ。


寮の壁はボロボロに崩れており、中もひどく荒れ果てていた。


そして次に、傭教施設だ。


俺が担当している傭教施設は元々、依頼人から頂いた屋敷で、それを俺が個人で改装したのが今の傭教施設だ。


それが今は半壊しており、自然で壊されているわけでは無いのがなんとなくわかるほどひどかった。


人の気配は感じるし、なんなら生徒達の気配なのでとりあえず安心した。


でも傭教施設の破壊痕……これってカノンが使ってる武器のような……?


「と、とにかく、誰かいるかー?いるなら返事してくれー!」


すると、


「先生ー、ここですーー。」


寮のあたりに声がしたので行ってみると、


「やっと会えましたね♪せーんーせーい♡」


そこにいたのは俺の生徒とカノン、そしてなぜか縄で縛られてただでさえ可哀想なのにその他にも色んなところを出血してぐったりしているサナカがいた。


なんか様子がおかしいな?


例えば女性陣。


皆、目に光が宿ってないし、なんなら俺の後ろにいる6人の子達を睨んでいる。(特に少女たち)


少年少女達は俺が名前をつけてあげた。


まずは6人の中で最年長(15歳)でリーダー的存在の少年(?)。


(なぜ分からないのかというと、まず見た目が中性的で、声も変声期を過ぎているはずなのになぜか高いし……それに、誰もこの子の裸を見たことがないから男か女か判別できない。まあ、自分で男って言ってたからきっと男なんだろう。)


名前は、ナギ・フォードだ。


俺の苗字をあげた理由は、この子達には話したが、戸籍上、俺の兄妹だからだ。


その方が騎士団には目をつけられないし、義理のとすれば顔が似てなくてもなんとかなるだろう。


ナギは、神国に伝わるある波の状態らしく、非常に落ち着いているんだとか。


そのため彼にぴったりだと思い、そう名付けた。


なぜか彼含めた少女たちが定期的に名前を呼んでアピールしてくるんだけど、そんなに気に入ったのかな?


他の5人はまた別の話で。


「一体、これはどういうことだい?」


「あはっ♡クロヤさぁん、それはこっちのセリフですよ♡このアマからクロヤさんのことを根掘り葉掘り聞かせてもらいました♡」


そう言うのは少しテンションが高いカノンだ。目に光がない……。


なんならむっちゃ甘い声だし。


機嫌が悪い時に俺に出す声だが何か気にさわることでもあったのか?


しかも、えっ?今この子なんて言った?


「ううっ、す、すみません……。ある生徒に盗み聞かれていたみたいで…これまでのことを聞かれました……。」


サナカが申し訳なさそうに言う。


俺はサナカに治癒魔法をかけつつ言った。


「そうか……。痛い思いをさせてすまなかった…。」


「大丈夫っすよ。これは私にとっての罰なんです。」


みるみると傷が癒えているが、その顔は今にも泣きそうだった。


「ちょぉっとクロヤさぁん、ボクのことを無視しないでくださぁいよー。まぁこれも悪くない、かも♡」


「なぜサナカを傷つけた…?生徒やこの施設まで巻き込んで…!俺に聞けば良かったじゃないか……?」


今回の件はさすがに看過できない。少しばかり怒気と殺気を混ぜて聞いてみた。後ろの6人には申し訳ないが…。


「どうせ、クロヤさんはボクたちのことを巻き込まないようにするために隠してたんでしょ?なら聞いたって言わないでしょうし。それになに言ってるんですかー?生徒達は自分からやったんですよー。」


「は?」


言っている意味が理解できなかった。


「いいですねぇー♡その顔♡いつもの凛々しい顔もいいですが♡」


「どういうことだ…?生徒が自らやったって?」


あの、優しそうな子達が今回の件に自分から加担してた?


そう考えてるとイリルさんが、


「だって先生、私たちを捨てて仕事を優先したってことですよね?」


と、いつものように顔は笑顔だが、目は笑ってなく、なんなら俺にその豊満な胸を押し付けるほど近くでそう言う。


「俺が君たちを捨てる…?」


「私たちを一番に考えてるって言ってたのに!たった数ヶ月で仕事にうつつを抜かして!なんですかその子達は!?先生は巨乳より貧乳好きなんですか!?私は先生のことを信じていたのに!」


と、さっきとは一転。とても強い口調で言う。というか俺は別に乳の大きさで好き嫌いを分けません!中身で決めます!


他の子達も、


「先生が、僕たちを捨てるわけない。そう思ってたのに……。嘘ですよね?嘘って言ってください…先生」

と、ラナト君。


「先生?僕を捨てるって冗談ですよね…?そうだきっと冗談なんだこれは僕が考えているだけのただの妄想だ幻覚だ。」

と、セドナ君。


「先生…私バカだから言ってることわからんないの…。でも先生はずっといてくれるよね…?お願い先生捨てないで…!」

と、クレーナさん。


「兄貴は中途半端に俺らを捨てるわけがねえ。きっとなんかの冗談だ。そうだろ兄貴…?」

と、レオン、レオンは俺のことを信じている。嬉しい。でもなんで君はそっちにいるんだい?


「お兄ちゃん?私のことを捨てるの?そんなの許さない。絶対に許さない。お兄ちゃんを殺して私も死ぬ。」

物騒なことを言うなエルさん。そして当たり前のように武器を俺のところに投げようとしない。


「やだなぁ先生…。冗談でしょ?ボク達のことを捨てるなんて絶対ありえませんもんね?ですよねっ!?」

と、ツバキさん。


「ま、待て。俺が君たちを捨てるなんてそんなことあるわけない。それにカノン、君にはこう言ったはずだ。一週間あけると、そして今日で何日経った?」


と言うとカノンは、考えこむようにして…そして彼女も気づいたらしい。


「まだ4日しか経っていません…。」


「もし、俺が君たちを捨てるならわざわざここに戻ってくるわけないだろ。

それに……」


と、間をおいて言う。


「俺は君たちのために急いで仕事を終わらせてきた。でないと、こんなに早く帰ってこれないからな。」


そして、生徒達はすぐに己の間違いに気づいたらしく、次々と謝罪していった。


「いや、今回は君たちを巻き込まないようにと伝えなかったことが裏目に出た……。俺もごめん、皆。」


今回の件は俺の責任とのことですぐに傭教施設を復旧してもらうよう手配してもらった。


その間、6人の自己紹介をしたり、代わりの住むところを探したりと、俺は帰ってもいろんなことに明け暮れていた。


そして…


「どうしてこうなった……。」


目の前の景色に俺は絶句した。


それは、俺が寝ていたベットに生徒(セドナは女だった。)やカノン、そしてサナカが、


    












    裸で寝ていたからだ。















俺、もしかしてーー
















童貞、捨てちゃった?

















生徒の代わりに。



☆一部修正しました。(スイマセン)










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