その強さ……鬼神の如く
王国クリストン
この国は寒冷や土地の悪さによって、長きに渡り食糧難が続き、クロヤの発明のおかげで、魔物の心配はないものの土地や食料によって人間同士の争いは絶えず、また、この国の王はなにもしようとはしないため、各地でデモ活動が起こっていた。
☆クロヤ視点
夜10時
王国への街道にて
今回の仕事はデモ活動の鎮圧か……。
一応カノンには出張という体で、一週間開けるとは言ったが……間に合うか?
さて、どうしようか………。
と、そろそろ着きそうだ。
☆傭教施設から王国まで片道1ヶ月はかかるものの、クロヤの能力<風渡り>と、神国に伝わる<縮地>を応用したものを合わせて使うことによって、なんと2日で着いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
☆王宮 玉座の間にて
「まだ、デモ活動は止まないのかっ!?」
そう言うのは、
王国クリストン現国王チャリーツ=グラン=アザーダである。
「ご、ご心配なく、こ、国王様。す、すぐにあの<鬼の万事屋(よろずや)>に、い、依頼しましたので……。」
そう慌てたように返すのは、大臣である。
「ええい!分かっておる!そやつがいつ来るか分からんのか!?」
「だ、代理人によ、よると、2日以内にこちらに挨拶に来るとのこ、ことで……。」
「そうか!ならばそろそろ来るであろう!!ハッハッハー!!これで世の世代は安泰じゃ!!民衆のデモなぞ知ったことか!!この世は世の思うようにできておる!!おっと、そうだ!!報酬は弾むと言っておけ!」
「りょ、了解いたっぐふ!?」
しかし、その言葉は最後まで続かなかった。
「さっきの話本当だったら、まずはこの王宮にいる全員を片付けないとな。」
クロヤの手によって殺されたからである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
☆クロヤ視点
依頼主は王様直々か……。まずは王宮に行って挨拶と……。
しかし、気配を探った感じ王宮までの道のりはデモの集団によって閉ざされているな。
丁度いい、話を聞いてみよう。
そして中央街でデモ活動をしている中年の方に話を聞いた。
「すまない、旅をしている者だが。少し話を聞かせてもらってもよろしいか?」
「なんだい?兄ちゃん。この王国は見ての通り、今は来ない方がいいぜ?
まあ、少しならいいけどよ……。」
「寛大なお心遣い感謝する。」
そして俺は、この国の情勢について教えてもらった。
「貴重な時間を無駄にしてすまない。しかし、おかげでこの国について知ることができた。本当に感謝する。」
「いいってことよ!あんたは話しやすかったしな。とにかく気をつけて旅を続けろよ!この者に鬼神の加護を…。」
「鬼神の加護?」
「この国に伝わるおまじないさ。昔、この国は帝国に植民地支配を受けていてな、でも、先住民だった鬼人族(オーガ族)が立ち上がって帝国と全面戦争を繰り広げてなあ、最終的には勝つんだが鬼人族は全員死んじまってな、だが鬼人族の長は最期に、
「また、この国が危険に脅かされたとき、必ずやまた我らが解放する…。」
この戦争は後に解放戦争と呼ばれてな、今も語り継がれているんだ。
そして、この国の英雄である鬼人族にちなんで鬼神の加護を、って言うようになったんだ。今から150年前の話だ。」
「そうだったのか……。感謝する。それでは……」
そして俺はそのまま、一直線に王宮へと飛んだ。
「おおーい。ってええーー!!あ、あの兄ちゃんなにもんなんだ?」
そして、今に至る。
☆三者視点
「そ、その仮面……。まさか、貴様は<鬼の万事屋>か……?な、なぜこのようなことを?」
「デモを終わらせるにはこうした方が手っ取り早いからだ……!」
その声にはこころなしか怒りを帯びていた。
「よ、世は国王であるぞ……。そして、貴様の依頼主でもある……。」
「関係ねぇよ。俺は依頼されたからには最善を尽くす、それだけだ。」
「くっ!やれっ!お前たち!!」
玉座の間の入口から6人の若い少年少女たちが出てきた。
「こやつらは、世が直々に育ててやった暗殺者だ!奴隷だから脅せばすぐに言うことを聞いたわ!ハッハッハー!!」
「そうか。やはり、俺の判断は間違ってないようだ……。あの時の罪、ここで償わさせて貰う………!」
6人が一斉に襲いかかってきた時、
「俺の封印を解け……!」
そんな声が聞こえたとき、クロヤの周りに鎖が出たと同時にその鎖が一斉に粉々に崩れ去った。
クロヤがつけている鬼の仮面が赤黒く光る。
クロヤが6人を見ると、6人同時にそこに倒れ込んだ。
しかし6人の子達は、意識がないだけのようだ。
「貴様ー!?なにをしよった!!」
「あんたに教えてやる義理はない…!」
そう言うとクロヤの右手から、赤黒い光が発されたと思うと、直後に国王にその光がぶつかり……
大爆発を引き起こし、王宮全てを破壊した。
クロヤ視点
終わったか……。
俺は6人の少年少女を見ながらそう思った。
あの後は、知っての通りあのクズを殺し、その事を公にした。
もちろん、俺の正体はバレないように。
あの大爆発でクズの他には王宮にいた全員が死んだ。
まあ、この子達は、俺の近くにいたためあの大爆発を喰らわなかった。
この子達、どうしようかな……。
騎士団に預けるのもいいが、説明するのはめんどくさい。
そんなことを思っていると1人の少年が起きて、状況を確認した後残りの5人を庇うようにして立った。
俺はできるだけ怖がらせないように、
「もう心配いらない。あのクズは俺が殺した。」
そして、少年は驚いた顔をして崩れ去った王宮を見て、それが本当なのを知ると、この少年も泣き崩れた。
その後6人全員が起きて、事の顛末を話すと、全員泣き崩れた。
俺の服はビショビショだ。
そして、全員が落ち着き、自己紹介やらなんやらして、あることを聞いた。
「君たち、家族はいる?」
「ぜ、全員い、いない。あ、です。」
と、さっき泣いていたからか恥ずかしそうに最初に起きた少年(リーダー的存在)が言った。
「そう恥ずかしがるなよ?それよりそうか、家族がいないのか。俺と同じだな……。だったらいい話がある、受け入れるかどうかは君たち次第だ。」
そう言うと全員が、
「「「「「「受け入れます。」」」」」」
と口を揃えるので、
「ちょっ、ちょっと待て。話してないのに受け入れるのか?」
「はい。行くあてはないし、それにクロヤさんなら僕達は信じれるので。」
「断言して言えるのか……?」
と、少し怖めに聞いてみた。すると、
「はい。僕達、人の顔をみて育ってきたので。クロヤさんは真剣に僕たちのことを考えて、そして僕たちのために動こうとしているのが分かりました。」
そんな純真無垢な瞳で言われて、
「そ、そうか……。怖めに聞いて悪かったな。悪い大人にホイホイ捕まりそうだからちょっと聞いてみたんだ(笑)。悪かったな。」
と謝る。そして、
「さっき言った、話ってのは………」
端的にまとめると、俺の傭教施設でのお手伝いをする代わりに、衣食住やその他諸々のことを保証するというものだ。
それを聞いた6人は二つ返事で快諾。
そして、
帰ってくると、それはそれはひどい有様だった。
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