仲間たちの記憶
俺があいつらと組むことになったのは、10歳の頃だった。
その頃は俺もガキで、いろんなところに行ってはバカやって隊長(俺がガキの頃に所属していたときの)にゲンコツ食らっていたかな。
今ではいい思い出だ。
だがある日、隊長から、
「今日からこいつらと組んでもらう」
と、俺と対してあまり歳の変わらない
3人の傭兵見習いを連れて俺にそう言ってきた。
俺は嬉しかったさ。
今まで俺と同じ歳のやつと組むことなんてなかったからな。
(この頃は、
依頼でバカするやつと、塩と砂糖を間違えるやつは別のところで傭兵見習いをしていた。)
俺は、歳の離れたベテランのおっさんたちや隊長と一緒に仕事をしていて、
(あれ?俺、必要なくね?)
みたいなことが山ほどあった。
なんでって、隊長やベテランのおっさんが強すぎて、俺の出る幕がなかったのだ。(あっても足手まといだが...)
俺の仕事といえば、依頼人と一緒に乗っている、赤子や子供の世話をするぐらいだった。
(本当は外に出て魔物の警戒をしなければならないのだが、隊長たちに先を越されるので渋々。)
しかも、仕事終わりには、
「お前も将来は俺たちのようにこれぐらいの仕事はやらないとダメだぞ。」
と、酒の匂いのする隊長たちに何度
言われたことか。
そしていつものごとく、
「やかましいっ!!大体あんたらが先に魔物を殺るからじゃねえか!!」
と俺が怒鳴って、笑いが起きる。
今思えばこれもまあいい思い出だったかもしれない。
傭兵見習いの3人を見ながら、昔を思い出してしまった。3人は不思議そうにこちらを見る。
俺は、
「わりーわりー。ちょっと考え事をしててな。俺はクロヤ・フォード。
君たちは?」
そう、ここから始まったのだ。
5年にも及ぶ俺たちの.....
☆
ある男の手記
○月*日、今日からクロヤとあの3人を組ませた。クロヤは物事を考えすぎて行動が遅れる癖があるが、実力は
あと1年すれば俺と同等、もしくは
それより上に行くかもしれない。しかもあいつは、
「10歳の若さで魔物を殺せる。」
これは前代未聞のことだ。そもそも、魔物を殺すには、武器に魔力を込めなければならない。だが、それを教える前にあいつは、感覚で魔力を武器に込めて魔物を殺した。また、普通は魔物を殺したあとは、精神的に来るはずなのに………
あいつは震えたり、吐いたりなんかせず、ただ平然としていた。あいつには
心がないのかと疑いもしたが、
才能……
という言葉で全て片付いた。
他にも30体の小型魔物と1体の中型魔物を単独で撃破したり、(どちらもあいつは覚えてないという。)
本当にいつもあいつには、驚かされる。
クロヤ以外は傭兵見習いのため、
まだまだ実力不足だが、まあ、あいつならなんとかなるだろう。
しかし、あの3人を組ませるとは、
上はなぜこんな指示を?
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