騎士 その3

 渋谷駅を中心に五百メートル圏内。

 影が出現した範囲に奴らも出現している。

 そして奴らが動けるのもこの範囲内。

 確定情報だ。明確な境界線が存在している。

 被害はその範囲内に留められる。


 問題はその範囲が広すぎる事だ。

 これだけの広範囲を君一人で対処しなければならない。

 援軍は望めないと思いなさい。多くの犠牲を覚悟しなければならない。

 扉を閉める方法が分からない以上、奴らの殲滅以外に事態の収束方法はない。


 骨伝導イヤホンは付けたか。の世界なら電波が使える。

 新たな情報が入り次第、追って報告する。

 

 死ぬんじゃないぞ。


 老紳士は扉を潜る彼にそう言葉を掛けた。

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