初めてのサボり その1
月曜日。相も変わらず世界中で鎧が影を落としていた。
学校の中も外も影の話題で持ち切りだったが明の関心は教室中央の空席にあった。
今日も太鳳は欠席している。
好きな子を作る気はない。
太鳳の言葉がショックで通話が終わった後も中々寝付けなかった。
恋愛に興味がない訳じゃない。だが諦めざるを得ない事情があって、しかもそれは死ぬまで解消できないらしい。
死ぬまで。
誇張や冗談の類ではない。
まだ短い付き合いながらも太鳳が冗談を言っている時とそうでない時の言葉の温度差くらいは感じ取れるようになっていた。
もしかしたら太鳳は想像を絶するような巨大な秘密を抱えているのではないか。
それこそあの影のような。
「げっ、まただ」
前の席の祥子からうんざりしたような声が聞こえた。
「どうしたの」
「昨日からインスタとツイにDMがどんどん送られてきてる」
「誰から?」
「記者、を名乗る者から」
「記者?」
「アタシが影の日本の第一発見者なんだと」
「あー……、あのインスタに上げてた」
「インタビューさせてくれって。偶然撮れただけなのに話せる事なんかないっつの」
「そのうち謎の秘密結社からもコンタクトがあったりして」
「そんなのある訳ないって言いたいところだけど、今となっちゃ否定しきれないよなぁ」
祥子はスマートフォンの画面に映された影を「こいつぅ」と勢いよくスワイプして消した。
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